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June 1, 2008

JEA meeting@Tohoku University

この土日に,日本経済学会2008年度春季大会が川内北キャンパスであったので,もぐりでのぞいてきました。「大会参加料は3000円です。」なんて記載はカレーにするーです。

基本は,「知人の報告を冷やかしに行く」だったけれど(てか,知り合いばっかってどーよ?),某ポスターセッションでは,UofC ECON同窓会(3人も集まった!)にもなってました。みんな久しぶりだねぇ。

学会のお作法という点で,法学が見習った方がいいかなと思ったのは:
- 20分の報告に対して,必ず「討論者」に10分のコメントが割り当てられ,さらにフロア5分の質問時間が割り当てられてること。痛い討論者(もちろん,痛い報告者も)がいないわけではないけれど,基本的にはその報告に近い人を事前に選定しているし,ペーパーを事前に読んでいるので,まともなコメントが出やすい。
- 時間管理が厳格。持ち時間経過の3分(?)前になると,チーンと鐘が鳴らされ,持ち時間が経過すると,チーンチーンチーンと3連で鐘が鳴らされて,「さっさと終われ,ゴルァァァァ!」という形になる。
特に後者は,法学は見習うべきで,例えば,星野御大なんかのしゃべりに対して使うと効果的ぢゃないかと思う次第。とはいえ,松村せんせに聞いたら,この慣習が入ったのはつい最近だとのこと。

報告の中身についてはいろいろあるんだけど,ちょうど,最後にさっきまで聞いてた報告があれ?って思ったので,簡単なコメントを(フロア質問は名前と所属言わなくちゃいけなくて,参加料払ってない身でカミングアウトするのも何だかだったから,沈黙):
それは,「私立高等学校授業料補助(≒教育バウチャー)が高校中退に与えた影響の実証研究」(by 赤林英夫+荒木宏子)というのだけど,報告者も,討論者・フロアからの質問者も,「授業料補助は,生徒の借り入れ制約を緩和するから,中退率を下げる」という前提に立って議論していたけれど,それって逆じゃん?というのが僕の直感的な感想。
実際,このペーパーの分析でも,確かに普通のOLSだと授業料補助によって中退率が下がるという結果が有意に出るものの,fixed effectsを入れると,有意性は一発で消える(し,場合によっては中退率が上がるという結果も出る)。
僕の直感は単純で,USのaffirmative actionと同じ。affirmative actionは,マイノリティな人種に大学の入学なんかで特別なアドバンテージを与えるものだけど,あれはかえって逆効果になる,ってのが最近の研究のトレンド。affirmative actionが適用されると,「自分が本来入学できたであろう学校」よりもランクが上の学校に入学できることになるから,入学した後に授業について行けなくなってドロップアウトするから。
授業料補助でも,同じself-selection biasが出るんぢゃないだろうか。授業料補助があることによって,授業料補助がなければ進学できなかったであろう私立高校に入学する -> しかし,入学した高校での授業のレベルは,その人のそれまでの家計状況によって制約されてきた学習条件(ひゅーまん・きゃぴたる的に考えてもOK)の平均からすると高いので,授業について行けなくなる蓋然性が高まる -> 中退率が上がる。もちろん,借り入れ制約の緩和によって,「経済的状況で高校通学をあきらめざるを得なくなった」という問題については,授業料補助は緩和してくれるから,どちらの効果が上回るかは一概に言えない。けれども,直感的には,高校中退の理由って,経済的理由よりも学校の勉強について行けなくなったから,という理由の方が多いんじゃないかという気がして,それなら,授業料補助によって,中退率は上がるよねぇ?

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コメント

このブログは危険なのでコメント控えていたのですが・・・

親の収入よりも入試結果のほうが子供の学力の良い指標になる(と少なくとも私は思っている)ので
affirmative actionみたいなことにはならないのではないでしょうか?
むしろ、親の収入が少ないという恵まれない学習環境にもかかわらず同じ学力があるとしたら
地頭がいいことになるので、学校に入れちゃって学習環境を(ほぼ)同じになるんだから
むしろ補助がなければ学校には入れなかった学生は中退可能性が減る分だけ
やっぱり中退は減るのでは?

むしろ、私みたいな貧民が金持ち私立に入ってしまって
勉強以外の文化の違いに悩んで友達ができずに中退というシナリオならありえそうですけど
ここの授業料補助って学生全員に行うものでしょうから
貧民出身者が一人だけで友達ができないなんてこともないでしょうし。

ぇ? どこが危険? まぁ,このブログはほとんど専門外のことばっか書いてるけど。

- 授業料補助の仕組み
親の収入が受給条件とか言ってたから,多分一人ずつではないかと。

- 学習環境
学校での学習環境は同じでも,授業料補助でカバーされるのは,あくまで「学校」の授業料だけなので,その外で行う活動(とそれに伴う人的資本への投資)は,授業料補助ではカバーされずに,差が残るのではないかと。

- 勉強以外の文化の違い
君と僕の出た某私立は,まかり間違ってもお上品な山の手文化じゃないでしょ。

学習環境というのは学校入学後のことを考えているのですね。
誤解していました。
てっきり入学時の学力の話をしているのかと思って
これが正しいなら入試やめて親の収入順に合格者決めたほうがいいって世界になるのかと思っていました。
たしかに学校での勉強より自宅学習のほうが大事なのかもしれませんね...

この話っていうのは学校の「レベル」といってしまうと受験戦争経験者はすぐ偏差値と思ってしまうから誤解しちゃいがちなのですが、
私立は自宅に学習環境のある程度の金持ちの学生しか想定していないので
カリキュラムも一定の自宅学習を行えることを前提に作られている
(授業時間が少ないとか、宿題が多いとか、レベルが高いとか)
ので、学校以外でとてもじゃないけど学習環境のない生徒は
カリキュラムに適合できなくなるのでドロップ・アウトする可能性が
高くなるってことでしょうか。

金=レベルだとしちゃうと、授業料の高い学校ほど学生は優秀ということになりそうですが、
われらがふるさとの県では
附属や一部の進学校もあるにはありますが
私立は県立に行けなかった人がいくところというイメージがないわけではないので
ちょっと違和感がありました

ちなみに道灌山学園は私立ですが「金持ち」私立ではないですよね...
それでも粕壁文化よりは上品に感じましたけど
これは高校編入だからですかね。

あと、「危険」というのは
このサイトの視聴率が高いってことです
コメントつけるとバカでヒマ人だとばれるってことです
(学生も結構みているらしいので...)

決してもりた先生への文句ではありませんので
お気になさらないでください
ご気分を害されたら申し訳ありませんでした

それを言ったら,そもそもこのブログを書いてるオイラはなんてヒマ人orz

視聴率っていっても,1日のヒットが250件程度だし(それも一人で複数回見ている人がいるとすると,全国で100名ちょっとしか読者はいない)。

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