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2008年04月22日

bayes factor

昨日は,弁護士の某さん(←東大助教授やめて某有名事務所に行ったものの,そこもまたやめて(!)独立したあの人です。一つの職場に3年もたないってのはどーよ?次はどこに行くのか...)が仙台地裁での期日で来仙したので,そのクライアントの方も交えてだべり。前に書いたジャイアニズムペーパーが,企業法務担当者(≠弁護士)まわりで評判いいと聞いて(お世辞入ってるかもしれないけど)一安心。僕の民法系のペーパーは,「伝統的な民法理論って,実務の常識的感覚に疎くない?」ってところから出発してるのが多いので。

で,某さんの方から,修習所で刑裁教官と交わしたという議論を聞いて,かなりびっくり。どういうケースかというと:

ある携帯電話の番号は,その犯罪の真犯人以外は絶対知り得ない番号です。ところが,今問題になっている被疑者は,とある飲み屋で,その携帯番号と数字一つしか違わない番号をすらすらっともらしていました。
この事実は,この被疑者を真犯人と認定するための事実として使えるでしょうか?

そりゃとーぜん決定的証拠として使えるっしょ,というのが某さんと僕の感覚なのだけど,刑裁教官は,「こんなの使っちゃいかん」と教えるらしい。

太田せんせ流に,「証明度って要はbayes factorでしょ」というならば(←たったそれだけのことを言うために300頁近い本を書くなよ,という気もしなかったりするわけではなかったりもするけれど),この携帯電話番号という要素は,たいていのpriorを吹っ飛ばせる,かなり強力なbayes factorになる(だって10^7ですよ)。
で,某さんも,修習所では,そのことをちゃんと計算して見せて示したんだけど,その刑裁教官は全く理解してくれなかったとのこと。

うーん,日本の(刑事)裁判官って,かなりの確率音痴?

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コメント

揚げ足をとると、”決定的”証拠という所が既にBayesianに反するかと・・・(笑)。

Exactな番号と「数字一つしか違わない番号」と「数字二つしか違わない番号」とどこまでがOKかは確かに興味ありますね・・・。

そういえば比較法のLLSV、Lをとると

http://www.lsvasset.com/

な会社に5兆円以上運用しているそう・・・・。まだ儲けたりないかSふぁー。

そうそう,この刑裁教官が納得しなかった理由を,すごく善解してあげると,「ある携帯電話の番号は,その犯罪の真犯人以外は絶対知り得ない番号です」というところを,実はその刑裁教官は読み違えていて(といっても,「絶対」というのは普通はあり得ないので,その直感は正しいと思うけれど),他のルートでもその電話番号を知ることのできる可能性が存在する,という事情を無意識に読み込んでいるんじゃないか,と感じたんだよね(某さんには言わなかったけど)。でもまぁ,それって,この問題設定を変えちゃう訳で,反則(それとも彼の問題読み間違い?)。それに,たとえそうであっても,まだそれなりに強力なbayes factorである点は違いはない。

あとついでに,間違い修正:
(誤)証明度
(正)証明力
orz

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