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January 10, 2008

●PG-12, R-15

こういうペーパー大好き:

Does Movie Violence Increase Violent Crime?
Gordon Dahl and Stefano DellaVigna

暴力的な映画(その他,TV番組とかゲームとか)によって,犯罪が増える,だからそういうのは規制すべきだ,というのがよくある話だけれど,実はそれは逆だった。

暴力的な映画は犯罪を減らす

んだって。何でか。

答えは非常に素直なロジックで,暴力的な映画が上映されると,犯罪を犯しやすいcohortがその映画を見に行くから,犯罪を犯す暇がなくなる。つまり,こういうcohortの人たちにとっては,時間の使い方として,(a)暴力的な映画を見る,(b)犯罪的な行動に携わる,の2つの選択肢があって,(a)を選ぶと言うことの代替効果によって(b)が減るぞ,ということ。

このため,*短期的*には,毎週末あたり(←USでは毎週末を狙って新作映画が公開されて,そこでどばっと興行収入を稼ぐのが基本的な映画ビジネスモデル)1000件の犯罪件数の減少があると推定される,とのこと。
いやはや。
憲法の表現の自由の問題,作りにくくなるね(←対岸の火事)。

ちょっと気になるのは,犯罪件数が減るのが,犯罪cohortが路上に出なくなるからなのか,それとも,被害者cohortが路上に出なくなるからなのか,そのどっちが影響しているのをidentifyできるんだろーか?というところ。ちとモデルの組み方が難しいかも。

ちなみに,R-18でも似たモデルが使えるんだろうか?

――――――
(4月7日追記)
ちなみに,PG型の規制は,大人に対して「みるな」というのではなく,「子供はみてはいけません」型の規制だから,上のロジックは当てはまらない,というのは間違い。PG型の規制によって,暴力的な映画の供給が減ること自体が問題だから。

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コメント

すると、アダルトビデオ(児童ポルノ)は性犯罪を減らすという
実証分析はないんですかね

(暴力的映画によって街に出なくなるのは
被害者ではなく潜在的加害者であること前提に)

AVの場合は,たとえ現実に犯罪抑止効果があるとしても,そのことの実証は難しいんじゃないかと思います。

理由は単純で,いいvariationが見つかりそうにないから。

実証をする際のポイントは,いかにしていいvariation(振れ幅が大きくてできればexogenous)のを見つけるか。Levittはその辺がうまいし,今回のDahl and DellaVingaもその辺のセンスがすばらしい。
つまり,今回の例で言えば,毎週末の映画動員数は,かなり大きく変動するし,その変動の仕方は,その映画の人気によってexogenous(かなりの部分は)に決まってくるわけです。

これに対し,アダルトの場合は,そうはいかない。まずもって,マーケットサイズが小さい。例えば,映画館でアダルト映画が上映されても,そんなに動員は期待できないし(というか,そもそもそういう映画が上映されている映画館を探すのが難しそう),TSUTAYAみたいなレンタルショップでアダルトビデオが頻繁に貸し出しされているかというと,多分,AVの売上寄与度は低いはず(もしも高ければ,もっとレンタルのストックが拡大しているはず)。
さらに,仮に,そういったリアルでのマーケットじゃなくて,ネットの世界でのマーケットの方が大きいんだよ,ということになったとしても,今度はじゃあ,エロサイトの閲覧件数と犯罪件数を結びつけられるかというと,そのマッチングは非常に難しい(この意味で,前に書いたhttp://www.law.tohoku.ac.jp/~hatsuru/hop/2007/02/file_sharing.htmlは目の付け所がうまい)。アクセス元が分からないとどうにもならない(IPが割れても,犯罪地域とマッチングできない)。逆に,犯罪者cohortのネット活動をモニタリングするわけにはいかないしね(それができればそもそも犯罪を直接抑止した方が早い)。

だとすると,何か非常に小さくてremoteなvariationを使って,推定をするしかないわけで,それだと多分無理だろうなぁ,という気がするわけです。

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