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May 15, 2007

●which okano?

okano_mame.jpg
うだつさんに教えてもらった岡埜栄泉の豆大福のはずだったのだけれど。

違ったのですね。ぐは。
ぐぐってみると,岡埜栄泉の名前を少なくとも一部に持つ和菓子屋さんは30くらいあるらしい。比較的有名らしいのを挙げると:

1. 岡埜栄泉(虎ノ門)
2. 上野駅前岡埜栄泉総本舗(上野駅前)
3. 東京岡埜栄泉(上野広小路)

うだつさんご指定の岡埜栄泉は,虎ノ門の1.だったのだけれど藤崎に来ていたのは2.だった,という落ち。

商法総則をやったことのある人なら,あぁ,あの話か,と気付くのではないでしょーか。平成17年改正前の商法は,「同一市区町村内で,同じ営業で同じ商号は登記しちゃダメ」「誤認の恐れのある商号は使っちゃダメ」てな感じ(細かいところは忘れた...)の規定がありました。で,この辺は,不競法とほとんど重なるからそんなにいらないぢゃん,という中山せんせの主張とかの影響もあって,平成17年改正後(=現行法)は,不正目的+誤認のおそれのある商号を使っちゃダメよ,という規定になっています(会社法8条=商法12条)。
ヘタレは,見事に誤認してしまったわけです ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ

ありがちなストーリーとしては,こういうのは,本家(虎ノ門?)からののれん分けをして,独立する際に,商号使用の許諾をもらっている,というケースですね。許諾があれば,不正目的なしです。えぇ。例えば合資会社麻布永坂更級総本店 vs 株式会社麻布永坂更級総本店な東京高判S61.4.24判時1208-115。
でも味違うよね,きっと。近くに住んでる人とかじゃないと,「東京」とか「上野駅前」とか付いたくらいだともろ誤認する蓋然性は高いのではないかと。商法・会社法も不競法も,商号権の保護という形で規定を設定しているから,消費者のことはあんまり考えてない。ぐはぁ。(←食い物の恨みで暴走中)

少し落ち着くために味についてをば。
かなり大きくて重たい。僕の前に6個買い込んでいたおばあさんが,「重いねぇ」とびっくりしていたくらい。餅は柔らかめで塩味。こしあんが甘さ控えめに作られていることもあって,(大きさ以外は)上品な作り。出町ふたばと比べての難点を言うならば,

- 餅が軟らかいだけで,出町ふたばのような「コシ」がない
- エンドウ豆の主張が弱く(大振りである割に,豆の量が多くなく,埋没してしまっている),アクセントが足りない
- こしあんとの量的なバランスからして,もうちょっと餅がほすぃぃ

というあたりかな。でもまぁ,全体的にはいいできです。本高砂屋のより好み。

で,心を落ち着けて再考してみる:
まぁ,この場合は,上でリンクを貼った「豆大福散歩」というページにも「お店同士の関係や、どのお店がのれん分けしたお店かよく分かりませんが」と書いてあることからすると,もう法律関係不明というか,東京では「岡埜栄泉」という名前が,「更級そば」「讃岐うどん」並みに普通名詞に近い状態になりつつあるのかもしれません。そうだとすると,「岡埜栄泉という商号はそういうもんだ,っていうことを知らなかった田舎もんのヘタレが悪い」という結論になりそうです。本件の事案の下では。
それでは,事案を変えて:

上に挙げた3店しか存在せず,例えば,3.が本家本元で,1.と2.とがそこからのれん分けし,商号使用許諾を得ていたという場合にしてみる。
この場合に,3.の豆大福を買いたいと思っていた北の国から'07なATが,2.の豆大福を誤認して買ってしまったことに後で気付いた場合,ATは,
- 2.に対して「錯誤による売買契約無効と代金返還請求」(まだ豆大福は食べていないものとする),
- 2.および3.に対して,「誤認しやすい商号の使用を許諾して|許諾を受けて,誤認させしめたことによる不法行為に基づく慰謝料(?)請求」
をすることができるかだろーか?

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コメント

先生、ご記憶いただけるとは。ありがとうございます。おっしゃるように、多分京都の出町柳のほうが私もおいしいと思います。しかし、東京では不悪ではないでしょうか。京都には必殺の末富などという和菓子屋さんもありますので、歴史が反映しているのでしょうか。でも和菓子と仏像に引かれて、京大に転勤なんてなさらないでくださいね。仙台を面白くしてください。なお、上野のお店は、日本サッカー協会元会長の岡野さんの経営する会社らしいです。

いや,京大なんてとても。京大のせんせたちとは,研究スタイルがかなり違うので,Everything I'm notな感じです。ヘタレを受け入れてくれるようなステキなところは,既に既得権を確保した仙台くらいしかないですよ...

まめ大福♪

 この場合って,目的物の性質に関する錯誤なのでしょうか,って思いました.性質の錯誤ですと,画廊に飾ってある絵を真作だと思って買ったら贋作だったケースとか,粗悪ないちごジャムを特選いちごジャムとして取引してしまったケースとかが例にあげられるんです.でもって,物の性質は動機に過ぎないから,相手方に表示され契約内容になっていない限り,錯誤無効にならないって説明するんですが.

 ATさんは,そもそも契約する相手を間違えているんですよね…主体の錯誤について見てみると,売買契約の場合,相手方の錯誤は,原則として要素の錯誤にならないんですって.でも,この説明は,他人物売買のケースを念頭に置いてされていたりします.「ブランド」の誤認混同が問題になるような場面は,錯誤との関係であんまり議論されていないんでしょうか.

民法総則難しいです…

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