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April 14, 2007

●NOVA

もう古い情報になりつつあるかもしれないけれど,英会話学校の解約時の受講料精算規定に関する最高裁判例について一言をば。まぁ,この判決をまだ読んでおらず,2月に判例体系の編集作業時に下級審裁判例を見ていて思ったことなので,最高裁はちょっと違っているかもしれないけれど。

下級審判決で,NOVA側が負けているのを読んでいて,「ひどい判決だなぁ」と思っていたら,4月3日にその下級審判決の流れのままで最高裁が出ました。ちょwwwwwwwwwww ありえんwwwwwww てな感じです。その後も,この判決を批判するような新聞記事とかでないので,何か不思議。消費者保護団体とかが,「消費者の利益を無視した不当判決だ」とかいう声明を出してもいいくらいの判決じゃないかと思うんですけどねぇ。

事案の内容を簡単に復習しておくと(といっても,上に書いたように,最高裁自体は読んでないので,事実認定が違っているかもしれないけれど),単純化した数値例(メカニズムの本質は変わらない)で書くと,次のような感じだったと記憶してます:

- 1回の受講料を毎回払っていると,1回につき1000円
- 10回分の受講料を一括払いにすると,1回につき800円に割り引き(合計8000円)
- 20回分の受講料を一括払いにすると,1回につき600円に割り引き(合計1万2000円)
- 受講生Xさんは,20回分の受講料1万2000円を一括払いしてNOVAに通い始めたが,10回通ったところで,NOVAはあわないと感じて,中途解約することにした。受講料はいくら返ってくるか?
- NOVAの主張=10回まで通った分の受講料を仮に一括払いしていたとすると8000円になるから,1万2000円から8000円を差し引いた4000円だけ返還すればOK
- Xさんの主張=20回分の受講料一括払いの単価は600円だから,600円x10=6000円返還しなければいけない

で,裁判所はXさんの主張を容れたわけです。まぢかよ。NOVAの主張が,完全分割払いにした場合の1回1000円x10=1万円を差し引いた2000円しか返還しない,というものだったらNOVAが負けても不思議はないわけですが,そうではない。
このルールの下では,Xさんのような受講生は,自分がNOVAに長く通い続けるかどうかにかかわらず,とりあえず,一番割引率の高い一括購入をした上で,途中で気に入らなくなったら解約することになる。そういう行動が当然に見込まれるので,NOVAの側は,こういった一括購入割引プランを受講生に提供できなくなるわけです。結局,裁判所の言っていることは,「大量一括購入者対象の割引は禁止する」ということになるわけで,「ちょwwwwwwwww ありえんwwwwwwwwwwww」と。

大量一括購入割引ダメってのは,結構実害大きいんぢゃないかと思うんですけどねぇ。例えば,携帯電話会社の割引プランの中には,一定期間の契約維持を前提として割引をしてくれるものがありますが,あれも危ない。保険契約の中には,保険料の一括支払による割引をしているものがありますが,あれも危ない。特定商取引法の適用対象では全然ないけれど,その精神としては,ヤマダ電機のように大量の購買力を基礎にした安売り商法もよろしくないってことなんでしょうか。
そもそも大量一括購入割引には,逆選択の問題をシグナリングゲームを使って緩和するとか,合理性があると思うんですが,そういった利点を禁止して逆選択なんかの発生する状況に逆戻りさせて,消費者にその負担を押しつけるような判決はいかがなものか。

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コメント

あの会社の場合は、一端関係に入った後ガンガンポイントを買わせるとか、「安売り」に見せた囲い込みをやっていた、しかもそれがしつこいし苦情も多い、ポイントを使いたくてもレッスンの提供が不十分な場合がある、というあたりの政策的な判断がありそうですね。

判決文をざっと見た印象ですが、単価について二枚舌を使う約款規定の作り方に文句を言っているように見えます。仮に、後から払い込んでいく額を小さくしていくような約款の作り方なら文句がない。

個人的には、代替商品の入手可能性がないのに、安い小ロットの契約を裁判所の判断で作ってしまうことには躊躇します。が、射程に関する波及効果を検証しないまま、特に事前の問題への影響を考えずに判断しなければいけないほど、問題が大きかったと考えざるを得ないかと思いますね。消費者保護立法特有の価値判断でしょう。おそらく。

あるいは、こういう解決をすることにより得られるベネフィット(業界次第で「正規料金」があり得ないほど高く、実際は「割引料金」しか使われないような類型の契約で、使われない「正規料金」ベースで不意打ちを受ける消費者の不利益を減らす、何重にも対価を計算して契約締結をしなければいけない事態を回避して契約締結段階での意思決定の負担を減らす、提供される役務の内容・水準の確約がないまま契約し、途中で役務と対価の等価性が破壊される不確実性を消費者ではなく事業者に負わせる、など)がコストを上回ると判断したか。

> あの会社の場合は、一端関係に入った後ガンガンポイントを買わせるとか、「安売り」に見せた囲い込みをやっていた、しかもそれがしつこいし苦情も多い、ポイントを使いたくてもレッスンの提供が不十分な場合がある、というあたりの政策的な判断がありそうですね。

そういう問題があるらしいというのは聞いたことあるけれど,それならそれでそういう勧誘方法とかを叩くべきで,こういう合理的な内容の約款の効力を否定するのはお門違い,っていうおなじみの議論になる気が。

> 業界次第で「正規料金」があり得ないほど高く、実際は「割引料金」しか使われないような類型の契約で、使われない「正規料金」ベースで不意打ちを受ける消費者の不利益を減らす

いあ,それは,上の例で言うと,1回1000円(「正規料金」?)で受講料を精算する場合だよね。NOVAはそこまで主張してなかったんじゃないかという気が。

> 何重にも対価を計算して契約締結をしなければいけない事態を回避して契約締結段階での意思決定の負担を減らす

これも?な気が。契約期間変動料率なんて,携帯の割引でもあるよね。携帯の契約をするときに,「自分が何ヶ月目で止めるから...」なんてことは計算しない気が。上に書いたように,正規料金で精算されることはないので,「中途解約時まで一括購入したら」という比較的単純なシミュレーションで,別に受講者は損はしてない(少なくとも正規料金で1回ずつ買っているよりは)気が。

> 提供される役務の内容・水準の確約がないまま契約し、途中で役務と対価の等価性が破壊される不確実性を消費者ではなく事業者に負わせる

そのリスクはもちろんあるけれど,大量一括購入するという行為は,そのリスクを引き受けたという意思表示と解釈するのが普通では? 逆に,それを引き受けたからこそ,個別購入よりも割引を受けられている気が。

だから結局,叩くなら行為規制とかで叩くのがベストだと思うんだけどなぁ。金利規制なんかでも同じだけど...

どうもいろんなものを善解してあげようとする癖があって、やっぱ苦しいですかね。
ただ、サービスの質に関する点は、消費者が引き受けるとは私には考えられません。同レベルのものが提供されると考えているのが自然だし、人大杉でレッスンできない状態になるなんてリスクはまず引き受けてないでしょう。

行為規制でってのにはもちろん同意できるんですが、いろんな意味で難しいんですよね。司法ができることは事後の救済のみだし、行政にしてもモニタリングはこの種の行為だと難しいし。

あと、CMにつられて駅前留学なんて考える消費者って、対価の面で判断能力に乏しくて合理性の仮定が不可能かもしれません(試しに受けて選ぶんならもちろん合理性は仮定できそうだけど)。貸金にしても、保険にしても、ここ最近叩かれているところは本質と無関係なCMを大量に流していたって共通項があるような気がします。それがどんな問題につながるかは全然わかりませんけど、イメージ先行で宣伝していわば中身に対する感覚を麻痺させて顧客を獲得していた、そういう業界に対して、自然な姿以上に厳しくあちこちが消費者保護のために叩いている印象がある。

サービスの質を引き受けてないってホントかな... 心配なのなら,まずは少量購入してお試ししてから,大量購入するんだと思うんだけれど。それをしないでいきなりどーんと買い込むのは,「ここならだいじょぶー」って判断して買うのじゃないかな。

それと,仮にリスクを引き受けていなくても,上の例で言うと,10回分の8000円の部分について差し引いて精算することは,問題ないと思うんだけど。600円で精算するということは,その論法をもってしても正当化されない気が。

ちょっとイメージが違うかな?お試しを受けて、「今回のレッスン」と同レベルのものが受けられると考えて契約するのであって、そのことは、「今後ともこんなレッスンが受けられる」と考えていることを意味するのではないかと思います。見本売買みたいな。だから、長期で縛られた後に品質(講師の質が下がることのほか、受講環境に関する状況の悪化である予約が取れなくなる、営業時間が短くなる、等を想定しています)を落とされてしまうリスクを引き受けるとは私には思えません。

差し引いて精算ってところですが、条文約款を読まずに単純に考えると、続けられないというような消費者側の事情で解約するんだったら差し引いても全然問題ないと思うんですが、全然予約がとれないとか、講師の質が落ちたなんていうサービスの質の問題で解約するんだったら差し引くことはおかしい気がする。やめたことは消費者側の事情ではないし、改善するまでお付き合いする理由もない。

なる。確かにイメージが違ってるかも。僕の方は,「レッスンの質・予約の入れやすさ等のクオリティに対するpreferenceは人それぞれなので,『この範囲なら許容範囲内』と考えるかどうかについてに受講生の判断は異なってくる(実際にNOVAでレッスンを続けている人もいる)から,そう判断するか否かという意味でのリスク引受」を念頭に置いてた。

ただ,そうはいっても,事後的に品質が下がることのリスクの判断もあると思う。例えば,長らく営業を続けていて評判のある教室と契約するときと,新興で歴史の浅い教室と契約するときでは,消費者の判断は違うよね。事後的な品質変動のリスク(例えば大学教員だって異動があるし...)を考えるときには,単発ゲームじゃなくて繰り返しゲームが問題なっていることも考える必要がある気が。教師個人と契約するのではなくて,教室という法人と契約するときは,法人は,特定したサービスでなくて,一定の「枠」の範囲内のサービスを提供しているから,それが事後的に変動することは当然にあり得ることだと思うけれど(もちろん,変動幅の問題はあるにせよ)。

最後の差し引き精算のところは,そうするとS説だと,受講開始時点(0),サービス変化時(a),解約時(b),当初の一括購入終了時(c)とすると,0-aの部分については,aの時点での精算単価(上の例で言えば800円)で計算し,a-bの部分については一括購入cの際の精算単価(上の例で言えば600円)で精算する,ってこと? 僕は,0-bまでは,基本的にbの時点での精算単価で精算する(ただし,a-b間のサービス価値がゼロになっていたり,教室側が解約を妨げていたり,という「特段の事情」ケースは特別扱いの余地はあるけど),でいいと思うけど。

自分は鎌倉スクールのNOVA生徒だが、この場所だから通えると思い、続けてきた者だ。それが今日(9月20日)レッスンを受けにスクールに行くと、前触れもなく、「来月(10月)鎌倉校は閉鎖します」と言われた。今経営が大変だからと、規模の小さいスクールから片付け始めたのだが、そんなこと突然言われたって・・・入学時はあんなに美辞麗句を並べ立てていたというのに、無責任ではないか。それも来月なんて急すぎる。せめてもう少し期間を置いてもらいたかった。NOVAは生徒のことなど無視している。鎌倉校はもともと派出所扱いの如くで、平日も2日も休校、講師も少なく、色々不自由不便、希望のレッスンは基本的に取れないという年月が続き、それをじっと耐えて今日まで続けてきたのだ。転校手続きをどうぞと言われても、とにかく期間がなさ過ぎる。手続きは無料にしますだって。当たり前ではないか! 転校をさせられる生徒に、せめてもの気持ちと言うものが欲しいと思ったけれど、我々はまるでNOVAの棄民だ。一度に買わされたテキスト代も返してもらいたい。まだ使っていないし。きっと拒絶されるだろうけど、是非返却したい。本当は慰謝料もほしい。生徒を大切にしないで、儲け本意で、猿渡氏が謙虚でないから、こんなことになってしまったのだろう。もう少し誠意を持ってほしい。

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