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October 16, 2006

●voting agreement

さみーブログより:

(2) 議決権拘束契約  議決権拘束契約の内容が不明なので、なんともいえないところですが、株主の議決権行使の賛否をあらかじめ定めておく契約のことだとすると、認められないと思います。  賛否が決まっているのならば、もともと、当該内容の定めを置けばよいし、当該定めについて、すぐに効力を生じさせたくなければ、効力の発生時期の問題にすればよいように思います。  そのような処置になじまないものだとすれば、株主総会の決議事項について、本来の決議要件よりも軽くするための定めになるか、株主総会が法律上決議できる事項について、決議をすることができないという定めになるか、どちらかになってしまいそうです。

昔懐かし僕の助手論のテーマですねぇ。もう忘れたいですが(←「昨日の僕は今日の僕ではない」」)。

シンポ資料で検討対象になっている,ひげおやじ元論文(商事法務1675号55頁)からして,実は内容不明確なのでなんともいえないところですが。
例えば,とりあえずよく使われるであろう契約パターンとして「60%株主Aは40%株主Bの指図の通りに議決権行使する(e.g., 取締役(5人のうち2人とか)選任・利益配当)」というのがあったとします。そうすると,これって,普通は議決権制限(議題毎)とか取締役選任とかの種類株式で対応できるのであって,そもそも「議決権拘束契約を定款に書きたい」っていう動機と意味とがよく分からないんですよね。元論文を書いているのは,ひげおやじ以外は著名企業法務弁護士なので,「そういったテクニックを知らずに,てけとーにそのまま定款に書いちゃった,はははははははは(乾いた笑い)」という状況を考えているとも思えない。
まぁ,もし考えられるとしたら,「定款だと株式の属性として発生するが,株主間契約だと株主の属性として効力が発生する(いわゆる属人的効力)」というくらいでしょうかね。僕の立場は超少数(というか単独ぢゃないかと思う)過激説で,「旧商法下においてすら,株式会社で属人的な定款の定めが許されていた」というものなので,定款でそれもおっけーなのですが,おそらく他の人はそこまで認めないので,属人的な効力を持つ定款の定めを置きたい,という趣旨なんでしょうかね。しかし,そういった効力が欲しいというニーズもよく分かりません。
というわけで,シンポ論文がネタにしている元論文(のこの部分)自体,僕にとっては意味不明です。

なので,それを前提にしているシンポ論文もよく分からないわけで,さらにさみーさんのコメントもいまいち分かりにくい。とりあえず簡単にコメントしておくと:
- 上述のようなよくある議決権拘束契約を考えると,「賛否が決まっている」という把握の仕方はちょっとポイントがずれているような。まぁ,でも僕が回答するにしても趣旨は同じで,種類株式使えばいいぢゃん,に基本的に尽きます。
- 総会etcの決議事項については,決議要件を軽くするだけでなく,重くするのもありますね。例えば,「60%株主Aと40%株主Bは,総会毎に事前に協議の上,その協議に従って議決権行使する」といったタイプのものの場合,総会の定足数を70%にアップしておけば,協議が整う前に株主Aが一方的決議してしまうことを株主Bは防げるわけです(←これも助手論に書いた気が)。後はBさん交渉でガンバレ(←property rule的お話)。

だんだん議論がだらだらしてきたのでまとめると:
   そもそもひげおやじの問題意識がよく分からないので,回答のしようがない
以上

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コメント

>元論文を書いているのは,ひげおやじ以外は著名企業法務弁護士なので,「そういったテクニックを知らずに,てけとーにそのまま定款に書いちゃった,はははははははは(乾いた笑い)」という状況を考えているとも思えない。

と、私も信じたいところですが(笑)、善解すれば、①種類株式を使うと、当時はまた強制種類株主総会でのvetoの処理という副作用が出てしまうことがあったので、それを嫌ったとか、②黄金株は正面から認めないという議論の流れで、議決権の内容でなく議決権の割合を直接にいじるタイプの議決権制限株式が設計できるかに疑問があった、③年度ごとに段階的にコントロールの配分が変わったり、コントロールの買い戻しオプションを与えたりといった事後的なアレンジをする場合に種類株式で仕込むのは手間が折れるといった辺りが考えられるんじゃないかと。
まだ会社法を本格的に見ていないんで(いや、もう帰国直前何で本当はやってなきゃいけないんですが^^;)、この辺りがどこまで解消されたかにもよるんでしょうね。
そういえば、私もサミーブログで分からないことがあったので初コメントしてしまいました。

1日4コマの地獄の講義準備とか教授会とか猛烈な嵐が終わって,やっと書込をする暇ができました。

①ですが,vetoの処理というのは,こういうアレンジメントをすると常に問題になるのではないかと思ってました。これも助手論で書いた記憶が微妙にあるのですが,いわば「強い」形で株主間契約の効力を確保しようとすると,どうしてもvetoを発生させてdead lock発生の可能性を高めます。ですから逆に,「債権的効力」しか持たない弱い株主間契約にすることの意味は,むしろ底にあるんぢゃないか,と。にもかかわらず定款に載せて強力な効力を欲して,vetoも怖い,というのはいまいちな感じがします(ただ,種類株主総会のvetoはvetoの中でも強すぎる,という意見はあるかも)。
②は,僕の立場は周りを考えずに昔から逝け逝けだったので(←弁護士じゃなくて学者はそれでもいいような気がするし,そういう自由な立場に立てるのが学者の存在意義のような気がしますが),*個人的には*問題なし。
③は確かになるほどという気がしましたが... やろうと思えば,取得条項付・取得請求権付と組み合わせることで,コントロールの配分の年度ごとの変更もできそうな気がします。猛烈に長い定款の規定になって,読むのが疲れそうですが :-)

>やろうと思えば,取得条項付・取得請求権付と組み合わせることで,コントロールの配分の年度ごとの変更もできそうな気がします。猛烈に長い定款の規定になって,読むのが疲れそうですが :-)

いや、ドラフトするのも疲れるんで(笑)、「新会社法では無理なんですよね、残念!」というので済ましてしまいたいという気もしてます。

売られた(売った?)喧嘩の方も楽しみにして、帰国したらすぐにNBLをチェックしますので、頑張ってください。

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