2006(平成18)年度

日時 4月22日 土曜日 13時半〜(当月の研究会開催日は第4土曜日となっておりますので、ご留意ください。)
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 岡本 寛
事件 東京高裁平成17年3月25日 判例時報1899号46頁
国民年金法が学生を強制適用の対象から除外したこと及び是正措置を講じなかったことについて、立法的検討作業の積み重ねの結果であり、立法裁量の範囲内のものであるとして、違憲とはいえず、国家賠償法上違法な立法不作為にも当たらないとされた事例 - いわゆる学生無年金障害者東京訴訟控訴審判決
報告者 小野寺 信一
事件 最二判平成16年12月24日 民集58巻9号2536頁、判例時報1882号3頁
紀伊長島町水道水源保護条例(平成6年紀伊長島町条例第六号)の規定に基づき指定された水源保護地域内に設置予定の施設が設置の禁止される事業場に当たるとした町長の認定は当該施設の設置を予定する事業者の地位を不当に害することのないよう配慮する義務に違反してされた場合には違法になるとされた事例
日時 5月20日 土曜日 13時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 阿部 智洋
事件 東京高判平成18年2月28日 (判例集未登載)
3月報告事件(東京地判平成17年4月13日:国籍法3条1項は、伝来的国籍取得の対象を父母が法律上の婚姻関係にある準正子に限定している点で憲法14条1項に反するなどとされた事例)の控訴審判決※本件判決は、未だ判例集未登載であり、裁判所のホームページにも掲載されておりませんので、郵送で通知を受けている方については判決文を同封いたしますが、そうでない方については、こちら をクリックして頂ければ入手できるようになっております。
報告者 阿部 泰雄
事件 最二判平成16年10月15日 民集58巻7号1802頁、判例時報1876号3頁
(1)国が水俣病による健康被害の拡大防止のためにいわゆる水質二法に基づく規制権限を行使しなかったことが国家賠償法1条1項の適用上違法となるとされた事例
(2)熊本県が水俣病による健康被害の拡大防止のために同県の漁業調整規則に基づく規制権限を行使しなかったことが国家賠償法1条1項の適用上違法となるとされた事例
(3)水俣病による健康被害につき加害行為の終了から相当期間を経過した時が民法724条後段所定の除斥期間の起算点となるとされた事例
日時 6月17日 土曜日 13時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 佐藤 寛稔
事件 最二判平成16年6月28日 判例時報1890号41頁
(1)県知事及び県議会議長が即位礼正殿の儀に参列した行為が憲法二〇条三項に違反しないとされた事例
(2)県議会議長が大嘗祭に参列した行為が憲法二〇条三項に違反しないとされた事例
報告者 藤田 紀子
事件 高松地判平成17年4月20日 判例時報1897号55頁
無認可保育所で乳幼児が園長の虐待行為により死亡したことにつき、園長の不法行為に基づく損害賠償責任と、県知事の右保育所に対する指導監督権限不行使に基づく県の賠償責任が認められた事例
日時 7月15日 土曜日 13時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 原田 いづみ
事件 最二判平成18年3月17日 (判例集未登載)
(1)入会部落の慣習に基づく入会集団の会則のうち入会権者の資格要件を一家の代表者としての世帯主に限定する部分と民法九〇条
(2)入会部落の慣習に基づく入会集団の会則のうち入会権者の資格を原則として男子孫に限定し同入会部落の部落民以外の男性と婚姻した女子孫は離婚して旧姓に復しない限り入会権者の資格を認めないとする部分と民法九〇条
(2月報告事件の上告審判決)※本件判決は、未だ判例集未登載であり、裁判所のホームページにも掲載されておりませんので、郵送で通知を受けている方については判決文を同封いたしますが、そうでない方については、こちら をクリックして頂ければ入手できるようになっております。
報告者 稲葉 馨
事件 東京高判平成17年6月23日 判例時報1904号83頁
太平洋戦争中に中国から日本へ強制連行されて強制労働に従事させられ、逃走して約一三年間北海道の山野での逃走生活を余儀なくされた中国人の遺族から国に対する損害賠償請求が否定された事例(相互保証主義を中心として)
日時 9月16日 土曜日 13時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 斉藤 綾希子
事件 東京高決平成16年3月31日 判例時報1865号12頁
政治家長女の離婚に関する記事を掲載した週刊誌について、プライバシーの侵害による販売差止めの仮処分命令の申立てが認められなかった事例- 週刊文春販売差止仮処分命令申立事件保全抗告審決定
報告者 稲村 健太郎
事件 最一判平成18年1月19日 裁判所時報1404号4頁
(1)国税徴収法三九条所定の第二次納税義務者は、本来の納税義務者に対する課税処分につき国税通則法七五条に基づく不服申立てをすることができる
(2)国税徴収法三九条所定の第二次納税義務者が本来の納税義務者に対する課税処分につき不服申立てをする場合の不服申立期間の起算日は、当該第二次納税義務者に対する納付告知がされた日の翌日である
日時 10月21日 土曜日 13時半〜
場所 東北大学法学部多目的演習室(文学部・教育学部研究棟2階)(会場が通例とは異なっておりますのでご留意下さい)
報告者 河北 洋介
事件 最一判平成17年4月14日 刑集59巻3号259頁、判タ1187号147頁
刑訴法157条の3、157条の4と憲法82条1項、37条1項、2項。
報告者 三輪 佳久
事件 東京地判平成16年6月24日、東京高判平成17年2月9日 判時1917号29頁
(1)最高裁判所の裁判官会議の議事録に対する開示の申出を拒絶した不開示措置の違法を理由とする国家賠償請求につき、その一部の違法を認め、請求が一部認容された事例(第一審)
(2)最高裁判所の裁判官会議の議事録に対する開示の申出を拒絶した不開示措置の違法を理由とする国家賠償請求につき、その違法を認めず、請求が棄却された事例(控訴審)
日時 11月18日 土曜日 13時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 伊藤 純子
事件 東京高判平成16年7月14日 判例タイムズ1179号190頁
国立大学の構内に神社を存置することは憲法89条の精神に反するが、私人の信教の自由を侵害するものではないなどとして、私人の大学に対する損害賠償請求が棄却された事例。
報告者 高橋 正人
研究報告 「行政解釈と法的拘束力」
参考判例 東京地判平成17年5月19日 判例時報1900号3頁
東京高判平成17年6月21日 判例時報1912号135頁(資産査定通達及び決算経理基準について)
参考文献 ・平成17年度重要判例解説・商法1事件(片木晴彦)104頁
・常岡孝好「解釈規則(interpretive rule)について」塩野宏先生古稀記念『行政法の発展と変革』(有斐閣、2001年)上巻511頁以下
・黒川哲志「法解釈における行政裁量論」同『環境行政の法理と手法』(成文堂、2004年)239頁以下
・紙野健二「アメリカにおける謙譲的司法審査理論の展開(1)・(2)」大阪経済法科大学法学論集28号17頁以下・29号135頁以下(1992年)
日時 12月16日 土曜日 13時半〜
場所 東北大学法学部多目的演習室(文学部・教育学部研究棟2階)(会場が通例とは異なっておりますのでご留意下さい)
報告者 早瀬 勝明
事件 東京地判平成18年9月21日 (公刊物未登載)
都立高校の入学式、卒業式等の式典会場において、通達に基づく校長の職務命令により、教職員に対して国旗に向かって起立し、国歌を斉唱すること等を強制することは、思想・良心の自由を侵害するとして、国歌斉唱等の義務のないこと及び義務違反を理由とする処分の事前差止めを認めると共に、被告都に対し原告らの精神的損害に対する慰謝料の支払を命じた事案。※本件判決は、未だ判例集未登載であり、裁判所のホームページにも掲載されておりませんので、郵送で通知を受けている方については判決文を同封いたしますが、そうでない方については、こちら をクリックして頂ければ入手できるようになっております。
報告者 荒木 修
事件 (1)長崎地判平成17年3月15日 判例時報1915号10頁
町が、公共下水道整備事業を計画・推進するに当たり、そのことにより影響を受ける既存の廃棄物処理業者に対する計画等の説明、周知義務を怠った違法があるとして、その国家賠償責任が認められた事例(第一審)
(2)福岡高判平成17年12月22日 判例時報1935号53頁
町が、公共下水道整備事業を計画・推進するに当たり、既存業者に対して計画内容を具体的に説明せず、指導、助言しなかったとしても、国家賠償法上の義務違反があるとはいえないとされた事例(第二審)
日時 1月20日 土曜日 13時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 大石 和彦
事件 最大判平成18年10月4日 裁時1421号1頁
公職選挙法(平成18年法律第52号による改正前のもの)14条、別表第3の参議院(選挙区選出)議員の定数配分は、平成16年7月11日に施行された参議院議員選挙当時、憲法に違反しない。
報告者 武者 光明
事件 (1)最二判平成17年7月15日 判例時報1909号25頁
1.土地開発公社が個人から買収した土地の買収価格に関する情報が名古屋市公文書公開条例所定の非公開情報(所得,財産等に関する個人識別情報のうち通常他人に知られたくないと認められるもの)に当たらないとされた事例。
2.土地開発公社が個人に対して支払った建物,工作物,立木,動産等に係る補償金の額に関する情報が名古屋市公文書公開条例所定の非公開情報(所得,財産等に関する個人識別情報のうち通常他人に知られたくないと認められるもの)に当たるとされた事例。
(2)最三判平成17年10月11日 判例時報1913号45頁
1.土地開発公社が個人から買収した土地の買収価格に関する情報が,「公表することを目的として実施機関が作成し,又は取得した情報」に当たり,旧奈良県情報公開条例所定の個人に関する非開示情報に当たらないとされた事例。
2.土地開発公社が個人に対して支払った建物,工作物,動産,植栽等に係る補償金の額に関する情報が旧奈良県情報公開条例所定の個人に関する非開示情報に当たるとされた事例。
日時 2月17日 土曜日 13時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 佐藤 雄一郎
事件 最一判平成18年12月7日 公刊物未登載
医療法69条1項および70条1項並びに医療法施行令5条の11の規定は、憲法21条及び22条1項に反しない
※本判決の判決文の入手につきまして、よこはま と胃腸の病院 総務課様ならびに嵯峨・高須法律事務所 嵯峨清喜弁護士のご助力を賜りました。心より感謝申し上げます。
報告者 仲野 武志
事件 最三判平成18年2月7日 判例時報1936号63頁
(1)公立学校施設の目的外使用の許否の判断と管理者の裁量権
(2)学校教育法85条に定める学校教育上の支障の意義
(3)公立学校施設の目的外使用の許否の判断の適否に関する司法審査の方法
(4)公立小中学校等の教職員の職員団体が教育研究集会の会場として市立中学校の学校施設を使用することを不許可とした市教育委員会の処分が裁量権を逸脱したものであるとされた事例
日時 3月17日 土曜日 13時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 菅原 真
事件 大阪地判平成18年1月27日 判例自治280号22頁、判タ1214号160頁
都市公園内に設置したテントを起居の場所として日常生活を営んできた者が提出した前記テントの所在地を住所とする転居届について、区長がした不受理処分が違法であるとしてした前記処分の取消請求が、認容された事例
報告者 和泉田 保一
事件 最一判平成17年11月17日 判例時報1917号25頁
地方自治法237条2項の議会の議決があったというためには、当該譲渡等が適正な対価によらないものであることを前提として審議がされた上当該譲渡等を行うことを認める趣旨の議決がされたことを要する