2003(平成15)年度

日時 4月19日 土曜日 午後1時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 玉蟲 由樹
事件 大阪高判平成12年2月29日 判例時報1710号121頁・上告
少年犯罪の実名報道を違法として報道機関側に損害賠償責任を許容した原判決が取消され請求が棄却された事例
報告者 松澤 陽明
事件 名古屋高金沢支判平成12年2月16日 判例時報1726号111頁・上告
県立美術館が収蔵作品を非公開とする等の措置をとり、観覧希望者の特別観覧許可申請を不許可とし、作品を収録した図録の閲覧申請を拒否することが、正当な理由があるとして県に対する損害賠償請求が認められなかった事例
日時 5月17日 土曜日 午後1時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 曽我 洋介
事件 最一小判平成14年4月25日 判例時報1785号31頁
阪神・淡路大震災により被災した兵庫県司法書士会に復興支援金を寄付するために特別に負担金を徴収する旨の群馬司法書士会の総会決議の効力が同会の会員に対して及ぶとされた事例
報告者 川原 眞一
事件 最三小判平成13年12月18日 民集55巻7号1823頁
公職選挙法施行令63条3項に違反して投票箱に入れられなかったために無効票と確定された不在者投票の内容を取り調べて公職選挙法205条1項に定める選挙の結果に異動を及ぼすおそれの有無を判断することの許否
日時 6月21日 土曜日 午後1時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 関沢 修子
事件 東京高判平成14年1月16日 判例時報1772号17頁・上告
1.外国要人による講演会を企画した大学が講演会参加申込者の氏名、学籍番号、住所及び電話番号が記載された参加者名簿をその同意を得ないで講演会の警備に当たる警視庁に提出したことが、プライバシーの権利を侵害する行為に当たり、違法であるとされた事例
2.プライバシーの権利の侵害を理由とする損害賠償請求が、いわゆる名目的な損害賠償で足りるとして、一人につき慰謝料一万円の限度で認容された事例
報告者 三輪 佳久
事件 (1)最三判平成14年7月2日 判例時報1797号3頁
1.実体法上の請求権の行使を怠る事実に係る住民監査請求について監査委員が監査を遂げるために特定の財務会計上の行為の違法を判断しなければならない関係にはない場合における地方自治法242条2項の適用
2.県の実施した指名競争入札において談合をした指名業者らに対する不法行為に基づく損害賠償請求権の行使を怠る事実に係る住民監査請求に地方自治法242条2項の規定が適用されないとされた事例
(2)最一判平成14年7月18日 判例時報1798号71頁
1.市から建設の委譲を受けた施設について日本下水道事業団が発注した設備工事に関し談合をした業者らに対する不法行為に基づく損害賠償請求権の行使を怠る事実に係る住民監査請求に地方自治法242条2項の規定が適用されないとされた事例
日時 7月19日 土曜日 午後1時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 佐藤 雄一郎
事件 大阪地判平成13年7月25日 判例時報1777号85頁・確定
市立中学校の校長及び教諭が、生徒が提出した作文を無断で削除したり、個人名をアルファベットに直したりして文集に掲載したことが、生徒の人格権を侵害するとして、市の国家賠償責任が認められた事例
報告者 大貫 裕之
事件 東京地判平成13年10月3日 判例時報1764号3頁・控訴
(1)都市計画事業としての鉄道連続立体交差事業と鉄道に沿った付属街路事業とについて事業認可がされた場合において、後者の事業地内の不動産につき権利を有する者は双方の事業認可の取消しを求める原告適格を有するとされた事例
(2)都市計画事業認可につき、事業地の表示及び事業施行期間についての判断の二点において、都市計画法61条に適合しないと判断された事例
(3)都市計画の変更決定があった場合、変更後の都市計画は、変更された部分のみならず、全体として新たな都市計画となるか(積極)
(4)事業認可の前提となる都市計画決定につき、都市計画決定に当たっての考慮要素及び判断内容の双方につき著しい過誤欠落があったとして、都市計画変更決定が違法とされた事例
(5)既に相当程度工事が進行した都市計画事業の認可取消訴訟において、認可が取消されても、既になされた工事について現状回復の義務等の法的効果が発生するものではなく、その他認可の取消しにより公の利益に著しい障害を生ずるものとは認められないとして、認可が違法である旨の判断をするに当たり、行政事件訴訟法31条1項(事情判決)を適用せず、事業認可が取消された事例―小田急線連続立体交差(高架化)事業認可取消訴訟第一審判決
日時 9月20日 土曜日 午後1時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 河北 洋介
事件 最三小判平成13年9月25日 判例時報1768号47頁
生活保護法が不法残留者を保護の対象としていないことと憲法25条、14条1項
報告者 加藤 慎介
事件 (1)東京高裁平成14年10月22日 判例時報1806号3頁
1.料金変更を内容とする簡易水道事業給水条例は、行政処分性を有し、抗告訴訟の対象となる。
2.地方自治体の定める別荘には原則として水道の休止を認めない内容の内規の無効確認は、民事訴訟としても行政訴訟としても不適格である。
3.地方自治体の簡易水道事業の料金変更にも、原価主義及び差別的取扱いの禁止を定める旧水道法14条4項1号、4号、地方公営企業法21条2項が準用される。
4.水道の基本料金について別荘と別荘以外の住民とを区別し、別荘に対してより高額の基本料金を課す内容に変更する簡易水道事業給水条例が憲法14条1項、旧水道法14条4項
(2)1号、4号、地方公営企業法21条2項に違反し無効とされた事例
1.高根町(山梨県)簡易水道事業給水条例無効確認等請求訴訟控訴審判決
日時 10月18日 土曜日 午後1時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 新村 とわ
事件 最二判平成14年9月27日 判例時報1802号45頁
御嵩町における産業廃棄物処理施設の設置についての住民投票に関する条例(平成9年御嵩町条例第1号)が投票の資格を有する者を日本国民たる住民に限るとしたことと憲法14条1項、21条1項
報告者 田中 清久
事件 最二判平成14年4月12日 民集56巻4号729頁
外国国家の主権的行為と民事裁判権の免除
日時 11月22日 土曜日 午後1時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 西村 枝美
事件 最三判平成14年1月22日 判例時報1776号58頁
いわゆる寺院墓地を経営する宗教法人がその属する宗派を離脱した墓地使用者に対して当該宗派の方式と異なる宗教的方式による墓地の設置を拒むことができるとされた事例
報告者 高橋 正人
事件 最三判平成14年6月11日 民集56巻5号968頁
土地収用法71条と憲法29条3項
日時 12月20日 土曜日 午後1時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 大石 和彦
事件 最大判平成14年9月11日 民集56巻7号1439頁
1.郵便法68条及び73条のうち書留郵便物について不法行為に基づく国の損害賠償責任を免除し又は制限している部分と憲法17条
2.郵便法68条及び73条のうち特別速達郵便物について国家賠償法に基づく国の損害賠償責任を免除し又は制限している部分と憲法17条
報告者 小野寺 信一
事件 東京高判平成14年6月5日 判例時報1796号87頁・上告
ごみ焼却炉メーカーによる地方公共団体のごみ焼却炉発注のための入札における談合により、損害を被ったとして、住民訴訟により地方公共団体が有する損害賠償請求権を代位請求している住民は、右談合に関する審判事件記録の閲覧等をすることのできる独占禁止法69条の「利害関係人」に該当しないとされた事例
日時 1月31日 土曜日 午後1時半〜
場所 東北大学文学部・教育学部棟多目的演習室
報告者 石澤 淳好
事件 佐賀地判平成14年4月12日 判例時報1789号113頁・確定
自治会費に含まれる特定宗教費(神社関係費)の支払を拒絶した自治会員に対して、自治会員としての取扱をしなかった自治会の行為は、神社神道を信仰しない自治会員の信教の自由を侵害し違法であるとして、自治会員の地位確認請求が認容されたが、不法行為による慰謝料請求は棄却された事例
報告者 佐々木 洋一
事件 東京高判平成14年10月29日 判例時報1801号60頁・上告
(1)固定資産税評価基準と固定資産評価審査委員会及び裁判所の認定に対する拘束力
(2)固定資産税評価額の上限となる収益還元価格の算定方法
(3)固定資産評価審査決定の一部取消判決の可否及び当否
日時 2月21日 土曜日 午後1時半〜
場所 東北大学文学部・教育学部棟多目的演習室
報告者 中村 英
事件 最一判平成14年7月30日 民集56巻6号1362頁
村長選挙において現職の村長が他の立候補予定者の立候補を妨害して自ら無投票当選を果たした行為が公職選挙法205条1項にいう選挙の規定の違反に当たるとされた事件
報告者 大沼 洋一
事件 最一判平成14年10月3日 民集56巻8号1611頁
(1)財務会計上の行為の準備行為が違法であることに基づいて発生する損害賠償請求権の行使を怠る事実に係る住民監査請求と地方自治法242条2項の適用
(2)財務会計上の行為の補助行為が違法であることに基づいて発生する損害賠償請求権の行使を怠る事実に係る住民監査請求と地方自治法242条2項の適用
日時 3月27日 土曜日 午後1時半〜
場所 東北大学文学部・教育学部棟多目的演習室
報告者 原田いずみ
事件 大阪高判平成14年7月3日 判例時報1801号38頁・確定
阪神・淡路大震災の被災女性が結婚によって世帯主でなくなった場合に、被災者に対する自立支援支給金の支給等を行う財団法人が、被災者が世帯主でないことのみを理由として支援金の支給を行わないとすることは、合理性のない世帯間差別及び男女間差別にあたり、このような支給要件は公序良俗に違反し無効であるとされた事例
報告者 高野 修
事件 最三判平成14年7月9日 民集56巻6号1134頁
(1)国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務の請求を求める訴訟の適否
(2)地方公共団体が建設工事の中止命令の名宛人に対して同工事を続行してはならない旨の裁判を求める訴えが不適法とされた事例―宝塚市パチンコ店等建築規制条例事件上告審判決