2002(平成14)年度

日時 4月20日 土曜日 午後1時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 藤田 紀子
事件 仙台高裁平成12年3月17日判決 判例地方自治204号10頁
宮城県議会の議員及び職員の出張に関する資料、宮城県警察本部総務課職員の出張に関する資料及び宮城県議会各会派に対する県政調査費交付に関する資料が、宮城県情報公開条例にいう公文書に該当するとして、これを非開示とした県知事の決定が違法とされた事例
報告者 佐々木 洋一
事件 福岡地裁平成10年3月31日判決 判例時報1669号40頁・確定
(1)権利能力なき社団に就いて住民訴訟の原告適格が否定された事例
(2)別訴禁止規定に反する訴えが、共同訴訟参加の申立てに当たるとされた事例
(3)市の港湾等整備事業に係る公有水面埋立免許が違法であり、これに関する一切の公金の支出等も違法であるとしてされた公金の支出の差止請求、市長個人に対する損害賠償請求が棄却された事例
日時 5月18日土曜日 午後1時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 生田 長人
事件 浦和地裁平成10年3月23日判決 判例時報1689号58頁
(1)建築基準法51条但し書きに基づく許可申請について、特定行政庁が不許可処分を相当とするときは、都市計画地方審議会の議を経ずして処分をしても違法ではないとされた事例
(2)建築基準法51条但し書きに基づく許可申請に対する処分について、同法6条3項の迅速処理義務に関する規定は、適用、準用されないとされた事例
(3)建築基準法51条但し書きに基づく許可申請に対する処分について、当該処分の際に付した処分理由とは異なる事実を当該処分の取消訴訟で追加して主張することは許されるとされた事例
(4)建築基準法51条但し書きに基づく許可申請に対する処分について、裁量権の逸脱はないとされた事例
(5)建築基準法51条但し書きに基づく許可申請に対する不許可処分について、平等原則違反は認められないとされた事例
(6)特定行政庁が、当該敷地に右施設を建築することは都市計画上支障があると判断してこれを不許可とする場合には、当該地域の都市計画に影響を与えることはないから、都市計画地方審議会の議を経るまでもないということができる。
(7)被告が不許可通知書に処分理由を記載した場合においても、右記載に法的拘束力があると解すべき根拠はないから、右不許可処分の取消訴訟が提起された場合、当該訴訟において、被告が右処分が適法である理由として、処分通知書に記載した以外の処分理由を主張することも妨げないものと解される。
報告者 小野寺 信一
事件 最高裁平成13年3月27日判決 民集55巻2号530頁
(1)大阪府知事の交際費に係る公文書で交際の相手方及び内容が不特定の者に知られ得る状態でされる交際に関する情報が記録されているものの大阪府公文書公開等条例(昭和59年大阪府条例第2号)8条4号、5号、9条1号該当性
(2)大阪府知事の交際費に係る公文書で交際の相手方が識別され得る情報が記録されているものの一部が大阪府公文書公開等条例(昭和59年大阪府条例第2号)8条4号、5号及び9条1号のいずれにも該当しないが他の一部は同条例8条4号、5号又は9条1号に該当するとされた事例
(3)大阪府公文書公開等条例(昭和59年大阪府条例第2号)所定の非公開事由に該当する独立した一体的な情報を同条例10条に基づき更に細分化しその一部のみを非公開としその余の部分を公開すべきものとすることの可否
(4)大阪府公文書公開等条例(昭和59年大阪府条例第2号)所定の非公開事由があるとして実施機関が全部を非公開と決定した大阪府知事の交際費に係る公文書のうち交際の相手方記載部分を除いた部分は同条例10条に基づき公開すべきであるとして同決定を一部取り消した原審の判断に違法があるとされた事例
日時 6月15日土曜日 午後1時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 佐々木 くみ
事件 大阪高裁平成13年4月18日判決 判例時報1755号79頁
指紋押捺を拒否した在日外国人を逮捕・留置したことを理由とする国及び都道府県に対する国家賠償請求が棄却された事例
(原審もあわせて行います。大阪地裁平成10年3月26日判決判例時報1652号3頁)
報告者 倉島 安司
事件 熊本地裁平成13年5月11日判決 判例時報1748号30頁・確定
(1)昭和35年以降、ハンセン病は隔離が必要な疾患ではなく、らい予防法の隔離規定の違憲性は明白になっていたにもかかわらず、厚生省が平成8年の同法廃止まで隔離政策の抜本的な変換などを怠り、国会も遅くとも昭和40年以降同法の隔離規定を改廃しなかったのは国家賠償法上の違法性及び過失があると判断された事例
(2)除斥期間の起算点となる民法七二四条後段の「不法行為ノ時」につき、違法行為と損害の特質から、平成八年の法律廃止時を起算点と解すべきであるとされた事例
日時 7月27日土曜日 午後1時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 稲葉 馨
事件 最高裁平成12年12月19日 判例タイムズ1053号87頁
禁固以上の刑に処せられたため失職した地方公務員に対して一般の退職手当を支給しないこととしている香川県職員退職手当条例(昭和29年条例第38号)6条1項2号と憲法13条、14条1項、29条1項
報告者 蟻川 恒正
事件 東京高裁平成13年4月11日判決 判例時報1754号89頁
日刊新聞の記事が、その見出しのみを読む一般の読者に対し、地下鉄サリン事件を引き起こしたオウム真理教を承継する団体が今なおサリン製造の研究を継続しているかのような印象を与えるもので、同団体の名誉を毀損するものであるとした上、損害賠償及び同新聞への謝罪公告の掲載の請求に対し、損害賠償に代えて同新聞に訂正記事を掲載することを命ずる限度で請求が認容された事例
日時 9月21日 土曜日 午後1時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 中林 暁生
事件 大阪地裁平成13年1月23日判決 判例時報1755号101頁
市とその外郭団体主催のパネル展に女性の市民団体が展示した物品を市らが撤去したことが違法であるとして求めた損害賠償請求が認められた事例
報告者 斉藤徹史
事件 東京高判平成12年10月25日判決 判例時報1753号50頁・確定
(1)犯罪捜査に当たった警察官が、被疑者の弁護士の所属団体及び所属政党を調査し、これを捜査報告書に記載した行為が、当該弁護士のプライバシーを侵害する違法な行為に当たるものとすることはできないとされた事例
(2)検察官が右の捜査報告書を略式命令を請求する際の資料として裁判所に提出した行為が、当該弁護士のプライバシーを侵害する違法な行為に当たるものとされた事例
日時 10月26日 土曜日 午後1時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 米田 雅宏
事件 (1)東京地裁平成13年5月30日判決 判例時報1762号6頁・控訴
1.市内の多数の小学校で学校給食がO-157に汚染され、多数の学童等が下痢等の食中毒になった事故について、国が原因を疫学等によって調査し、調査結果を公表し、原因として指摘された食材の売上が激減した場合、公表につき法律の明示の根拠を要しない。
2.集団下痢症が発生し、国民が植物全般に不安を感じる等している状況においてされた右公表について、公表の必要性、相当性があった等とし、国家賠償法上違法ではないとされた事例-大阪O-157食中毒損害賠償訴訟第一審判決
(2)大阪地裁平成14年3月15日判決 判例時報1783号97頁・控訴
市内の多数の小学校で学校給食がO-157により汚染され、多数の学童等が下痢等の食中毒になった事故について、国が疫学等によって調査し、特定の生産施設(匿名)から特定の期間に出荷された食材が原因である可能性が高い等の報告を公表した場合、公表が相当性を欠く等として違法であったとし、右施設に対する国の損害賠償責任が肯定された事例
報告者 佐藤 寛稔
事件 仙台地裁平成11年12月22日判決 判例時報1727号158頁・控訴
(1)私立大学側の大学教員に対する当分の間教授会への出席を停止する処分及び授業の担当からはずす処分に関する訴えが司法審査の対象となるとされた事例
(2)私立大学側の大学教員に対する当分の間教授会への出席を停止する処分が違法であるとして、教授会への出席妨害に対する妨害排除請求が認められた事例
(3)私立大学側の大学教員に対する当分の間教授会への出席を停止する処分及び授業の担当からはずす処分が違法であるとして、慰謝料請求が認められた事例
日時 11月16日 土曜日 午後1時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 阿部 智洋
事件 最二小判平成14年2月22日
最三小判平成14年1月29日 判例時報1779号22頁
宗教法人の所有する建物の明渡しを求める訴えが法律上の争訟に当たらないとされた事例
報告者 下山 憲治
事件 東京高判平成13年7月4日 判例時報1754号35頁・上告/上告受理申立
(1)原子炉設置許可処分の取消訴訟について、当該原子炉施設から約20キロメートルの範囲内に居住している者については原告適格を認めることができるが、その後100キロメートル余りもの遠隔地に転居するに至った者については原告適格を認めることができないとされた事例
(2)原子炉設置許可処分の取消訴訟の係属中に当該原子炉について設置変更許可処分が行われた場合について、原子炉の安全性の問題に関しては、後の変更許可処分に存する実体的な違法事由の有無をも当該訴訟において審理、判断することができるとされた事例
(3)原子炉設置許可処分における原子炉施設の安全性に関する審査に不合理な点があるものとすることはできないとされた事例―東海第二原発訴訟控訴審判決
日時 12月21日 土曜日 午後1時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 山岸 喜久治
事件 最三小決平成11年12月16日 刑集53巻9号1327頁
平成11年法律第138号による刑訴法222条の2の追加前において検証許可状により電話傍受を行うことの適否
報告者 大沼 洋一
事件 神戸地判平成12年1月31日 判例時報1726号20頁・控訴
(1)主に自動車排煙によって形成された尼崎市内の国道43号線及びその真上に設置された阪神高速道路(大阪西宮線)沿道50メートル以内の大気汚染と住民の健康被害(気管支 息及び 息性気管支炎)の発症及び増悪との間の因果関係が肯定された事例
(2)右被告について、国道43号線の道路管理者である国及び大阪西宮線の道路管理者である阪神高速道路公団の共同不法行為に基づく損害賠償義務が肯定された事例
(3)一定レベル以上の大気汚染を形成してはならないとの趣旨の請求が、国道43号線及び大阪西宮線沿道50メートル以内に居住する気管支 息患者の居住地において、浮遊粒子状物質につき一時間値の一日平均値0.15ミリグラム・立法メートルを超える数値が測定される大気汚染を形成してはならないとの限度で認容された事例
日時 1月25日 土曜日 午後1時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 澁谷 雅弘
事件 大阪高判平成12年10月24日 判例タイムズ1068号171頁
(神戸地判平成12年3月28日 訟務月報48巻6号141頁)
(神戸地裁尼崎支部平成12年3月23日 訟務月報48巻6号1頁)
登録免許税法31条2項の請求を拒否する登記機関の通知は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらないとされた事例
報告者 佐藤 浩也
事件 大阪地判平成13年10月12日
名古屋地判平成13年12月12日
東京地判平成13年12月14日
東京地判平成13年12月17日
東京地判平成13年12月27日 判例時報1776号3頁・控訴
(1)転出届の不受理処分が違法とされた事例
(2)住民票削除処分が違法とされた事例
日時 2月15日 土曜日 午後1時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 田代 亜紀
事件 東京高判平成13年7月18日 判例時報1761号55頁・上告
妻からの反対取材をすることなく、専ら夫のみからの取材に基づき、妻から離縁状という事実に反する内容の番組を放送した行為が、妻に対する名誉毀損等に当たるとして、慰謝料請求のほか、訂正放送請求が認められた事例
報告者 幸田 将寿
事件 東京高判平成13年5月30日 判例時報1778号34頁・上告
県立高校の卒業式に「日の丸」を掲揚することに反対し、生徒に「日の丸」掲揚に反対する旨記載した印刷物を配布したうえ、卒業式の前日に予定されていた予行演習及び生徒指導を行わなかった教諭の行為が、地方公務員法33条及び35条に該当するとされた事例
日時 3月15日 土曜日 午後1時半〜
場所 東北大学法学部大会議室
報告者 岡本 寛
事件 (1)最三小判平成14年7月9日 判例時報1799号101頁
県の知事等が主基斎田抜穂の儀に参列した行為が憲法上の政教分離原則及び憲法20条に違反しないとされた事例
(2)最一小判平成14年7月11日 判例時報1799号99頁
県の知事が大嘗祭に参列した行為が憲法上の政教分離原則及び憲法20条に違反しないとされた事例
報告者 松戸 浩
事件 最一小判平成14年1月17日 民集56巻1号1頁
告示により一括して指定する方法でされた建築基準法42条2項所定のいわゆるみなし道路の指定と抗告訴訟の対象