公法判例研究会

東北大学公法判例研究会は、研究者、実務家、大学院生から成る判例研究会です。原則として、毎月第三土曜日の午後1時半から、公法(憲法、行政法、租税法)に関する判決を2つ取り上げて、研究会を行っています。

直近の研究会

時:7月21日(土)13時30分より

場所:東北大学川内南キャンパス 法学研究科棟3階大会議室

 

報告者:御幸 聖樹 氏(横浜国立大学准教授)

事件: 最大判平成29年12月6日(平成26(オ)1130号他)民集71巻10号1817頁

原告(NHK)が、原告のテレビ放送を受信することのできる受信設備を設置したが、放送受信契約を締結しない被告に対し、主位的には、放送法64条1項等によって原告と被告との間で放送受信契約が成立していると主張して、放送受信契約に基づき、上記受信機を設置した月から現在までの受信料の支払を求め(主位的請求)、予備的には、上記放送受信契約が成立していないことを前提として、被告は放送受信契約締結義務の履行を遅滞していると主張して、債務不履行に基づく損害賠償として上記受信料相当額の支払を求め(予備的請求1)、被告は放送受信契約締結義務を負うと主張して、原告からの上記申込みに対する承諾の意思表示と、上記申込み及び承諾の意思表示によって成立する放送受信契約に基づき、上記受信料の支払を求め(予備的請求2)、被告は上記受信料相当額を不当に利得していると主張して、上記受信料相当額の返還を求め(予備的請求3)、1審判決が、主位的請求及び予備的請求1をいずれも棄却し、予備的請求2を認容し、原告及び被告の双方がこれを不服として控訴し、被告が受信機を設置した日の属する月の翌月である平成18年4月分から平成26年1月分までの未払受信料又は未払受信料相当額の支払等を求める請求に変更し、控訴審は、原告の主位的請求及び予備的請求1を棄却し、予備的請求2については認容し、これと一部異なる1審判決を変更し、被告の控訴を棄却したため、双方が上告した事案において、放送法64条1項は、同法に定められた原告の目的にかなう適正・公平な受信料徴収のために必要な内容の受信契約の締結を強制する旨を定めたものとして、憲法13条、21条、29条に違反しないとし、また、受信契約に基づき発生する受信設備の設置の月以降の分の受信料債権(受信契約成立後に履行期が到来するものを除く。)の消滅時効は、受信契約成立時から進行するものと解するのが相当であるなどとし、原告の請求のうち予備的請求2を認容すべきものとした控訴審の判断は、是認することができるとして、本件各上告を棄却した事例。

一審:東京地判平成25年10月10日(平成24(ワ)3922号)判タ1419号340頁

二審:東京高判平成26年4月23日(平成25(ネ)6245号)判例集未登載

 

報告者:和泉田 保一 氏(山形大学准教授)

事件:仙台高判 平成29年6月23日(平成29(行コ)4号)判例集未登載

被控訴人(被告)十和田市が、昭和40年4月1日公の施設として十和田市立新渡戸記念館を設け、十和田市立新渡戸記念館条例で、その設置及び管理に関する事項を定めていたところ、平成27年6月26日、本件記念館条例を廃止する条例を制定したことから、控訴人(原告)が、被控訴人に対し、本件廃止条例制定行為が行政事件訴訟法3条2項に規定する「処分」に当たることを前提として、本件廃止条例制定行為の取消しを求めた事案の控訴審において、本件各契約等に基づく控訴人の契約上の地位等を基礎として、本件廃止条例制定行為の処分性を認めることができると解するのが相当であるとして、本件廃止条例制定行為に処分性を認めることはできないとして控訴人の本件訴えを却下した原判決を取り消し、本件を青森地方裁判所に差し戻した事例。

一審:盛岡地判平成29年1月27日(平成27(行ウ)5号)判時2343号53頁

公法判例研究会幹事:高橋 勇人 oboe_1208_oboe yahoo.co.jp