2009(平成21)年度の研究会の報告者・論題

日時 第1回(5月9日(土))
報告者: 牧 真理子氏(東北大学大学院DC)
論 題: 会社支配権争奪と権限分配
参考文献: (1)Reiner R. Kraakman et al., The Anatomy of Corporate Law ,157 et seq.(Oxford Univ. Pr. 2004)
(2)田中亘「敵対的買収に対する防衛戦略についての覚書」
『企業買収防衛戦略Ⅱ』(商事法務 2006年)245頁以下
(初出:民商法雑誌131巻4・5号622頁以下、6号800頁以下(2005年))。
(3)Lucian A. Bebchuk, The Case for Increasing Shareholder Power, 118 Harv. L. Rev.833 (2005)
報告者: 森田 果氏 (東北大学)
論 題: 手形法の教科書でも書いてみるか
要 旨: 手形法の教科書を書いたとしてみるとどういうことが起こるか語ってみる
参考文献: 手形法の教科書なら何でも
日時 第2回(7月11日(土))
報告者: 鬼頭 俊泰氏(八戸大学ビジネス学部専任講師)
論 題: オートバックスセブン新株予約権付社債発行差止却下決定(東京地決平成19年11月12日・金判1281号52頁[申立て却下])
参考文献: 弥永真生「会社法判例速報 新株予約権付社債の有利発行・不公正発行」ジュリ1369号86頁
田邊宏康「会社判例プラザ(37・完)」判タ1268号73頁
報告者: 長畑 周史氏(青森中央学院大学専任講師)
論 題: 会計帳簿閲覧請求において会計帳簿の特定が必要とされた事例(東京高判平成18年3月29日・判タ1209号266頁)
参考文献: 正井章筰「株主からの会計帳簿等の閲覧請求が一部認められた事例」金商1269号16頁
日時 第3回(9月12日(土))
報告者: 徐 進 氏(中国浙江大学光華法学院)
論 題: 「中国におけるベンチャー企業の法整備」
内 容: ベンチャー企業関連の中国の最近の立法、政策を紹介しその課題を検討する。
参考文献: (1)江頭憲治郎『株式会社法』(有斐閣〔第2版〕・2008年)
(2)王元等?『中国????投??展?告2008』(??管理出版社・2008年)
報告者: 関 俊彦 氏(法政大学)
論 題: 「企業結合の意味を有しない組織再編の功罪」
要 旨: 従前から全債務説と限定債務説の対立があったこの論点について、昨年、最高裁の初めての判断が示されたが、その理由付けや射程範囲については必ずしも明確でない。改めて考えてみたい。
内 容: 新設分割と株式移転は、一社のみが行う限り、企業結合の意味を有しない、単なる会社の組織いじりである。そこには一社の意思のみで100%の親子会社関係が成立する。これに子会社による第三者割当発行と親子会社間の株式交換を加えると、取締役による会社財産の収奪、企業防衛障壁の構築ともいうべき効果が発生する。このことが第三者発行規制、組織再編規制に対して投げかける意味を検討する。
参考文献: 特になし
日時 第4回(11月7日(土))
報告者: テイケツ 氏(東北大学大学院MC)
論 題: 「有価証券報告書の虚偽記載と損害との間の因果関係(東京地裁平成20年4月24日判決・金判1293号42頁[請求一部認容])」求
参考文献: (1)黒沼悦郎「西武鉄道事件判決の検討(上)(中)(下)」商事法務1838号4頁、1839号20頁、1840号39頁
(2)松嶋隆弘「有価証券報告書等に虚偽記載があることが発覚し、上場廃止となった株主からの損害賠償請求―西武鉄道株主集団訴訟事件(1.事件)同機関投資家事件(2.事件)第一審判決」 判例時報2024号184頁
(3)石塚洋之「西武鉄道株主損害賠償請求訴訟東京高裁判決の検討(上)(下)」商事法務1868号4頁、1869号16頁
日時 第5回(12月12日(土))
報告者: 山脇 千佳 氏(名古屋大学研究生)
論 題: 「会社法429条第1項に基づき救済を受ける株主の範囲」
要 旨: 会社法429条第1項に基づく株主の直接請求の可否について、学説における従来の多数説の帰結と、裁判所の下してきた諸事案における判断との齟齬は何故生じるのか。そして、如何なる損害を被った、如何なる株主が本条文によって救済を受けるべきなのか、考察を試みる。
参考文献: (1)黒沼悦郎「取締役の投資家に対する責任」商事法務1740号17頁
(2)川島いづみ「取締役の対第三者責任における『第三者』」立命館法学302号427頁
(3)伊藤雄司「会社財産に生じた損害と株主の損害賠償請求権(三)(四)」法学協会雑誌124巻1号1頁、3号649頁
(4)田中亘「募集株式の有利発行と取締役の責任-会社の損害か株主の損害か-」新堂幸司=山下友信編『会社法と商事法務』(商事法務、2008年)143頁
報告者: 吉原 和志 氏(東北大学)
論 題: 「取締役の対会社責任について再び考える」
要 旨: 会社法423条3項と428条1項をどのように整合的に理解するか議論が錯綜している。取締役の会社に対する責任について再び考えてみたい。
参考文献: 吉原和志「取締役等の会社に対する責任の範囲と性格」会社法の争点154頁(2009年)およびその中で引用する文献
日時 第6回(1月9日(土))
報告者: コーエンズ 久美子 氏(山形大学)
論 題: 「会社の代表取締役が事実上主宰する別会社を利用して競業取引を行った場合における同人に対する競業避止義務違反に基づく損害賠償請求において、代表取締役個人およびその家族の報酬合計額の5割を損害額とするのが相当であるとされた事例」(名古屋高判平成20年4月17日、金判1325号47頁)
報告者: 深澤 泰弘 氏(岩手大学)
論 題: 「サンスター株式取得価格決定申立事件抗告審決定」(大阪高決平成21年9月1日、金商1326号20頁)
参考文献: (1)弥永真生「全部取得条項付種類株式の価格決定」ジュリ1387号104頁(2009年)
(2)中東正文「非訟事件における手続保障-サンスター事件高裁決定への疑問-」金判1326号1頁(2009年)
(3)十市崇「サンスター事件大阪高裁決定の検討(上)(下)」商事法務1880号4頁、1881号12頁(2009年)
日時 第7回(3月13日(土))
報告者: 松井 智予 氏(東北大学)
論 題: 「貸金業者の取引履歴開示拒否について、開示義務を負わない特段の事情があるとは認められないとして、取引履歴開示義務違反が認められた事例」(東京高判平成19年1月25日金法1805号48頁)
報告者: 伊藤 吉洋 氏(東北大学大学院DC)
論 題: 手続的側面を重視した少数株主締め出し規制
要 旨: 組織再編等によって支配株主が少数株主を締め出す行為について、少数株主が利用することができる事後的な救済措置において手続的側面を重視した運用を行うべきことを提案し、当該手続の細部を明らかにすることを試みる。
参考文献: (1)太田洋「日興コーディアルグループ株式買取価格決定申立事件東京地裁決定の検討」商事法務1869号4頁以下(2009)
(2)加藤貴仁「レックス・ホールディングス事件最高裁決定の検討(上・中・下)」商事法務1875号4頁以下・1876号4頁以下・1877号24頁以下(2009)
(3)Ronald J. Gilson & Jeffrey N. Gordon, Controlling Controlling Shareholders, 152 U. Pa. L. Rev. 785 (2003)
(4)Guhan Subramanian, Fixing Freezeouts, 115 Yale L.J.2 (2005)
(5)Lucian Arye Bebchuk & Marcel Kahan, Fairness Opinions: How Fair Are They and What Can Be Done About It?, 1989 Duke L.J. 27 (1989)