2017(平成29)年度の研究会の報告者・論題
第5回商法研究会
日時 | 2018年3月24日(土)13:30より |
場所 | 東北大学川内キャンパス 法学部・法学研究科棟3階 大会議室 |
13:30より | |
報告者 | 趙 穎晨氏(東北大学D1) |
判例評釈 | 東京高決平成29年7月19日金判1532号57頁 東京地決平成29年7月18日金判1532号41頁 |
参考文献 | 江頭憲治郎『株式会社法〔第7版〕』 若松亮「主要目的ルールに関する裁判例の検討」判タ1295号61頁 |
15:30より | |
報告者 | 吉原 和志氏(東北大学) |
論 題 | 新株の有利発行と取締役の責任 |
内 容 | 株主総会の特別決議を経ないで特に有利な払込金額により新株を発行した取締役が、誰に対しどのような責任を負うかについては、議論が分かれる。会社に損害が生じるとみて対会社責任を負うとする見解と株主に直接に損害が生じるとみて対第三者責任を負うとする見解が対立してきたが、最近では、株主は対第三者責任を追及することも代表訴訟によって対会社責任を追及することもともに認められるとする見解が有力になっている。改めて検討してみたい。 |
参考文献 | 田中亘「募集株式の有利発行と取締役の責任」新堂幸司=山下友信編『会社法と商事法務』143頁(商事法務2008) |
第4回商法研究会
日時 | 2017年12月9日(土)13:30より |
場所 | 東北大学川内キャンパス 法学部・法学研究科棟3階 大会議室 |
13:30より | |
報告者 | 牧 真理子氏(大分大学) |
論 題 | 「組織再編における債権者保護ー債権法改正との関係を中心に」 |
内 容 | 詐害的会社分割や詐害的事業譲渡の「詐害性」の意味については、従前からさまざまな研究が行われてきた。経営が危機的状況にある会社が、これらの組織再編を行う場合に問題となる詐害性の意味は、さしあたり債権者平等が崩れることと解することができるかもしれないが、未だ明らかではない。本報告では、平成29年債権法改正が、詐害行為取消権と破産法上の否認権の要件との平仄を合わせることを目的にいくつかの特則を定めたことに注目しつつ、望ましい会社分割や事業譲渡のあり方について検討する。 |
参考文献 | 青竹正一「民法改正の会社法への影響(下)」判時2303号(2016年)9頁 |
15:30より | |
報告者 | 温 笑侗氏(東北大学) |
論 題 | 「中国証券市場における大株主の持株売却禁止規制」 |
内 容 | 中国の証券市場は、需給の不均衡やIPOの認可制などが原因に、長い間異常に高い株価収益率(PER)が維持されてきた。また、個人投資家が売買の中心となっており、市場全体が未成熟であることから、株価の操作が比較的に容易であることも指摘されている。そのため、非流通株改革後、大株主は、長期保有よりも株式の短期売買を通じて利益をあげることに興味を持っている。大株主の機会主義的な行動を牽制するために、中国は、第三者割当、企業買収及び現物出資などいくつかの場面において大株主による持株売却を禁止する規制を設けている。本報告は、中国証券市場における大株主の持株売却禁止規制を紹介し、日本とアメリカの制度とも比較しながら、その趣旨と実効性について検討し、最後に会社法上の論点について若干分析することとする。 |
参考文献 | なし |
第3回商法研究会
日時 | 2017年9月16日(土)13:30より |
場所 | 東北大学川内キャンパス 法学研究科棟2階 演習室2 |
13:30より | |
報告者 | 品川 仁美氏(帝京大学) |
論 題 | 「コーポレート・ガバナンスの収斂論に関する検討」 |
内 容 | 2000年頃アメリカを中心に、世界のコーポレート・ガバナンス制度が収斂するのかについての議論が活発に行われた。その後2007年頃再び話題にのぼったものの、現在アメリカにおいて収斂論はあまり大きな議論とはなっていない。わが国においても、2000年頃および2003年頃に多少の議論があったものの、その後はほとんど扱われていない。しかしここ数年のわが国のコーポレート・ガバナンス制度の発展は目を見張るものがあり、この状況をアングロ・アメリカ型への収斂という観点から分析することに一定の意味があると考える。しかしながらこれまでの収斂論は、言葉の定義や対象・分析方法のセレクト等について統一性がなく、比較分析が困難であった。そこで本報告では、これまでの収斂論の整理を行い、近年のわが国のコーポレート・ガバナンス制度の分析を行う上での示唆を得ることを試みる。 |
参考文献 | なし |
15:30より | |
報告者 | 得津 晶氏(東北大学) |
論 題 | 「保険販売における2つのコンバージェンス」 |
内 容 | 日本では2014年に保険業法が改正され、欧州では2016年1月にEU保険販売指令が成立した。日欧において、ほぼ同時期に、保険募集に関する規制が改正され、保険販売セクターへの義務が加重された。これは偶然なのか必然なのか、国際的なコンバージェンスの傾向を探る。他方で、日本の保険業法改正によって導入された情報提供義務等は、他の金融商品販売規制と平仄を合わせた側面もある。ここには、国内の金融商品間で規制内容の統一または標準化がなされており、分野間でのコンバージェンスがなされているとみることができる。このように2つの異なるコンバージェンスの可能性が指摘できるところ、現在の法改正の動機はどちらの原理に基づいているのか、また、2つのコンバージェンスはどのような関係にあるのかを探る。 |
参考文献 | ・山下徹哉「保険募集に係る業法規制について―平成26年保険業法改正を中心に―」生命保険論集193号71頁-102頁 |
第2回商法研究会
日時 | 2017年7月15日(土)13:30より |
場所 | 東北大学川内キャンパス 法学研究科棟3階 大会議室 |
13:30より | |
報告者 | 森田 果氏(東北大学) |
判例評釈 | 東京高判平成28年9月14日判時2323号101頁 東京地判平成28年1月26日判時2313号55頁(原審) |
15:30より | |
報告者 | 伊藤 吉洋氏(近畿大学) |
議題 | 「公開買付けに引き続き実施された株式売渡請求に係る売買価格が公開買付価格と同額とされた事例」(静岡地裁沼津支部決定平成28年10月7日判例集未登載(LEX/DB文献番号25544091)) |
参考文献 | ・北村雅史「本決定判批」法学教室438号137頁 ・山本真知子「本決定判批」新・判例解説Watch商法No.97 ・「本件抗告審」(東京高裁決定平成29年1月30日判例集未登載(LEX/DB文献番号25544950)) ・拙稿「利益相反構造のある二段階買収における公正な価格-ジュピターテレコム(JCOM)事件最高裁決定などについての検討-」近畿大学法学64巻3=4号75頁 |
第1回商法研究会
日時 | 2017年5月20日(土)13:30より |
場所 | 東北大学川内キャンパス 法学研究科棟3階 大会議室 |
13:30より | |
報告者 | 郭 遠氏(東北大学大学院MC) |
論題 | 「福岡高裁平成26年6月27日判決(金判1462号18頁)」 |
参考文献 | 1) 弥永真生「全部取得条項種類株式の全部取得決議等と決議の無効・取消し」ジュリスト1473号3頁 2) 田中亘「事業再生から見た会社法の現代化(2・完)」NBL823号23頁 |
15:30より | |
報告者 | 長畑 周史氏(横浜市立大学)、小泉 和之氏(横浜市立大学) |
議題 | 「非営利法人の内部統制構築に関するアンケート調査の分析」 |
要旨 | 平成18年に改正された一般社団法人及び一般財団法人に関する法律は、会社法の規定を多く取り込み従来の制度から大きく変化した。本研究では、その中で内部統制に関する規定に注目し、平成26年に非営利法人に対して内部統制構築度に関するアンケート調査を実施した。その成果はすでに下記論文2および3で公表しているところであるが、本報告では、アンケート調査で得られたデータを共同研究により、さらに詳細な分析を試みる。 |
参考文献 | 1) 長畑周史「非営利法人のガバナンスの問題点についての試論」横浜市立大学論叢社会科学系列65巻1号235頁(2014年) 論文公開URL:http://doi.org/10.15015/00000344 2) 長畑周史=大澤正俊「非営利法人の内部統制構築状況に関する調査と分析」横浜市立大学論叢社会科学系列67巻1号135頁(2016年) 論文公開URL:http://doi.org/10.15015/00000492 3) 長畑周史「非営利法人における内部統制構築度(業種・規模別)の分析」横浜市立大学論叢社会科学系列68巻1号43頁(2016年) 論文公開URL:http://id.nii.ac.jp/1246/00000469/ 4) 長畑周史「非営利法人における利害関係者の利益と責任追及の動機不均衡」法学研究88巻3号41頁(2016年) 論文公開URL:http://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/detail.php?koara_id=AN00224504-20160128-0267 |