東北大学法科大学院メールマガジン

第6号 10/09/2005

◇入試情報

「平成18年度法科大学院入学試験第2次選考法学専門科目筆記試験において持ち込みを許可する六法を指定する件について」下記サイトに掲載いたしました。
http://www.law.tohoku.ac.jp/lawschool/info/051005-roppou.html

◇学生さんのお話

 今回は,今年度,既修者として入学された三村輝明さん(岡山県出身)に,本法科大学院の授業の1つ「実務刑事法」についてお話して頂きました。

実務刑事法紹介

 ロースクールに入学して半年が経ちました。ロースクールの受験を考えている方の中には授業がどのようなものであるか不安に思われている方も多いと思います。実際、私も授業が始まるまではそのような不安でいっぱいでした。そこで、ロースクールでの授業の具体的なイメージを持っていただくために、実務刑事法という授業についてレポートしたいと思います。


 実務刑事法はL2の必修科目で、L2生は全員受講しています。この科目を落としてしまうとL3に進級できません。ほかにも実務民事法、実務公法という同じ位置づけの科目が開講されています。新司法試験はロースクールの修了が大前提であるため、進級ができないということは、新司法試験の受験が遅れる、または受験を断念しなければならないという事態を招くことになります。このような事態を避けるため、みんな必死で学習に取り組んでいます。

 実務刑事法は週2回、前期は火曜日と木曜日に開講されました。この講義は刑法の成瀬先生、刑事訴訟法の佐藤先生、そして実務家教員の藤宗先生の3人で担当されています。刑法の回は成瀬先生,刑事訴訟法の回は佐藤先生が担当されるのですが,実務家教員の藤宗先生は基本的にすべての講義にいらっしゃいます。藤宗先生には学部の授業ではあまり聞くことが出来なかった実務の現状や実務家の観点からの問題へのアプローチの仕方などを示していただけます。刑法も刑事訴訟法も判例をもとにそこに含まれる問題点を、先生からの質問と学生からの解答によって紐解いていきます。従来の学部の授業とは異なり、先生と学生とのやりとりによる双方向方式という点がロースクールの授業の特徴です。ひとりで勉強しているときには理解できていると思っていることでも、いざ質問され自分の言葉で表現してみようとするとできないということが多くあります。このような点は本当に理解しているということは言えません。自分の弱点とでも言うべきもので、重点的に復習が必要ということが明らかになり、復習にメリハリがつきます。また、先生の側から見ても、学生の理解度を知ることができ、それに応じた授業をすることができるというメリットがあるのではないかと思います。

 このような双方向方式の授業ではやはり予習は不可欠です。ロースクールの授業は学生側の十分な予習が前提になっているため、予習なしでは授業を理解することは困難です。また、予習をしていないと眠くなるというのが最大の難点です。実務刑事法の刑法分野では、指定された判例に含まれる問題点を予習していきます。刑事訴訟法分野では、「ケースブック刑事訴訟法」という判例集に掲載されている判例を中心に,佐藤先生から毎回配布される予習プリントをもとに問題点を把握し、予習していきます。この予習にはかなりの時間がかかります。基本書だけでなく、百選、争点、その他の関連する論文など膨大な資料を読み漁り解答を準備します。しかし、文献にあたっても理解できない問題もあって、その場合には自分の頭で考えて解答を作ります。ただ、ひとりで予習するだけでは解決できない問題も多く、前期の前半は友人と予習会のようなものを開いていました。これにより、自分ひとりでは解決できなかった問題も解決できることもありますし、自分たちがわからない問題を議論することによって、あらかじめ問題意識を持って授業に臨むことができるので、授業の理解度も高かったと思います。ただ、前期の後半は他の講義との兼ね合いもあり、忙しくなりこの予習会をすることはできなくなってしまいました。

 ロースクールでは予習と同じくらい復習も重要視されています。新司法試験の合格のためには正確な知識が不可欠であり、予習・授業で身につけた知識をその場限りのものではなく、復習により定着させることが重要です。刑事訴訟法は配布された予習プリントの問題を、基本書などの文献や授業のノートを参照して解きなおします。刑法は、講義後、授業で先生から質問された内容が改めてウェブサイトにアップされたときは,それをもとにノートを見返したり、基本書を読み返したりします。ただ、実際に復習にまわせる時間はほとんどなく、膨大な量の予習をこなすのが精一杯という感じでした。また、授業中に新たな問題を指摘されたり、授業を受けても解決しない問題も多くあります。いくらロースクールは少人数教育であるといっても、授業中に質問するということはほとんどありません。友人に尋ねたり、議論することにより解決することもありますが、理解できないことも多いです。もちろん授業後に先生に質問することもできますが、時間もごく限られており、同じように質問をしようとする人が殺到するため、あまり利用しやすいものではありません。そこで、オフィスアワーを利用しています。時間は原則30分と限られていますが、後がなければ時間延長してくださるので、納得いくまで質問することができます。

 ここまで、実務刑事法の紹介をしてきましたが、私はこの授業に関して満足しています。たしかに求められているレベルが非常に高く、予習・復習は大変ですが、新司法試験に合格させようという先生の熱意を強く感じることができます。先生も予習し、学生も予習して授業に臨むことで、先生・学生の協力により授業が作り出されていると思います。この授業に必死でついていくことで、新司法試験の合格に必要な実力が養われると信じてやっています。ただ、授業の進むスピードが非常に速いので消化不良に終わることもあるのが現状です。オフィスアワーをうまく利用したり、復習をしっかりすることによって、積み残しをいかに少なくするかが課題です。実務刑事法は昨年度とは授業の方式が変わったそうです。先生方もよりよい授業を提供しようと必死に試行錯誤されています。みなさんが入学される頃には、さらに充実した魅力的な授業となっていると思います。

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発行:東北大学法科大学院評価広報委員会

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