東北大学法科大学院メールマガジン

第37号 09/30/2008

◇平成21(2009)年度募集要項(再掲)

 平成21(2009)年度東北大学法科大学院学生募集要項が,ホームページに掲載されております。出願書類の資料請求は,テレメールWebから行ってください。(請求方法の詳細は移動後のページ内の指示に従ってください。)

(募集要項)
 http://www.law.tohoku.ac.jp/lawschool/info/boshuyoukou.html
(資料請求)
 http://telemailweb.net/web/?420005

 平成21(2009)年度の入学試験日程は,次のとおりです。

出願受付期間平成20年10月9日(木)〜10月16日(木)
第1次選考合格者発表平成20年11月4日(火)
第2次選考試験平成20年11月22日(土)
第2次選考合格者発表平成20年12月8日(月)
第3次選考試験平成20年12月14日(日)
最終合格者発表平成20年12月24日(水)
入学手続期間平成21年1月6日(火),1月7日(水)
(追加合格者への連絡)平成21年1月8日(木),1月9日(金)
(追加合格発表)平成21年1月9日(金)
(追加合格者入学手続期間)平成21年1月26日(月),1月27日(火)

 また,新しいパンフレット(PDF)が,ホームページに掲載されております。ご覧ください。
 http://www.law.tohoku.ac.jp/lawschool/download/index.html

◇教員エッセイ

 今回は,民法㈼,民事特別法を担当している小粥太郎教授のエッセイをお送り致します。

定冠詞

 英語に限らず、フランス語やドイツ語など、ヨーロッパの言葉には、「定冠詞」というものがあります。英語なら、定冠詞はtheです。日本語には、直接、これに対応するものがありませんから、メルマガ読者の中には、中学生・高校生のころに、「定冠詞」って何だろう(そんなものなくてもだいたい意味は通じるんじゃない?)とか、とくに作文をするときに、「定冠詞」と「不定冠詞」のどちらを使えばよいかなどについて悩んだ経験がある方も少なくないのではないでしょうか。私自身は、辞書や文法書に書いてあることはそれなりに理解できるような気がするものの、すっきり理解できないまま今日に至っています。
 今回のエッセイは、「定冠詞」の話を枕に、10月に刊行される自著の宣伝もかねて、法科大学院で民法を教えている私の「研究」の様子について、お伝えするつもりです。「定冠詞」が、民法の研究とつながることもある、という話なのですが、それだけでは身も蓋もないので、つれづれなるままに、民法教師の世間話をいたしましょう。

 今回、出版に漕ぎ着けた私の本は、『民法学の行方』(商事法務刊)というものです。この3〜4年の間に、いくつかの雑誌等に掲載された私の文章のうち、ある程度内発的な動機で書かれたものを集めて仕立て直したものです。収録した6つの短編の問題関心には、かなり共通項があるつもりでした。つまり、ぼんやりとではありますが、この御時世で民法学はどうなってしまうのだろう、とか、弁護士でも裁判官でも立法者でもない民法学者は、何をすべきなのだろう、というようなことを考えていたので、この通底する関心を表現したタイトルを選んだつもりです。もっとも、このタイトルと本の中身が専門家の目にどう映るのかは想像がつきません。試しに、[仕事/遊び]×[まじめ/ふまじめ]の組み合わせで、この本がどこに入るのかを考えてみたのですが、自分でもよくわかりません。「世知辛い世の中ですが、まあ、楽しくやりましょう」というような雰囲気になっているとよいと願っています。ちなみに、本作りの途中で、タイトルの大仰さに気後れして、担当編集者にタイトルの変更を相談したこともありましたが、「一度決めたらそれで行くべし」ということで、あっさり変更申請は却下となりました。

 この本で何をお伝えしたかったかについては、本の中でもさまざまな形で記しましたので繰り返しは避けることにして、ここでは、また違った観点から、本の宣伝に努めたいと思います。
 本の中では、法的な概念であるとか、法と事実の区別というようなことにあえて繰り返し言及しています。その理由は、少なくとも日本の民法学および周辺の領域では、法の世界と事実の世界との区別が、浸透していないように思われたからです。たとえば、法の世界と事実の世界の結節点となるのは、「性質決定」(「包摂」とか、「あてはめ」、といわれることもあります)といわれる作業ないし問題領域ですが、これは、ときに、枝葉末節のテクニカルな問題にすぎないとみられているようです。性質決定作業が行われる場は、『ダンス・ダンス・ダンス』の「いるかホテル」みたいな時空の交差点−−タイムマシンのようなものでしょうか−−のはずなのですが。
 こういう問題関心を頭の片隅に置きながら勉強をしているときに出会ったフランスの行政法学者の論文には、法学において、物事を定冠詞の付いた形で(○○一般について)考えることの重要性を説くものがありました。定冠詞のない日本語の世界からは、なかなか出てこない発想だなあ、と、感心したものでした。定冠詞というものが何であるのか明快に理解できなないまま日本語で思考している限り、到達できない地平なのかもしれません。これは、民法を学ぶということが、西欧とともに、「日本」を学ぶことにもなる、ということにもつながってきます。こういうわけで、本の索引には、この論文の文脈における「定冠詞」の語が拾い上げられています。
 ようやく、枕にした定冠詞の話に戻ってきたことになりますが、脈絡のないおしゃべりは、少し長くなりすぎたかもしれません。

 書店に並ぶ数え切れないほどの法学文献の中で、私の本にどのような存在意義があるのかはよくわかりません。しかし、索引に、「定冠詞」という言葉を掲げた法学の本は、本書のほかには、たぶん、ないでしょう。この本が、日本の民法学、ひいては日本の法学一般に関心を持つ方々の目にとまることを願いつつ、宣伝文を終えることにいたします。

◆編集後記

 平成21(2009)年度東北大学法科大学院学生募集要項が,ホームページに掲載されております。新しいパンフレット(PDF)も掲載されております。出願書類の資料請求は,テレメールWebから行ってください。(請求方法の詳細は移動後のページ内の指示に従ってください。)

(募集要項)
 http://www.law.tohoku.ac.jp/lawschool/info/boshuyoukou.html
(資料請求)
 http://telemailweb.net/web/?420005
(パンフレットPDF)
 http://www.law.tohoku.ac.jp/lawschool/download/index.html

(平塚記)

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発行:東北大学法科大学院広報委員会

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