東北大学法科大学院メール・マガジン

第14号 01/23/2007

◇平成19(2007)年度東北大学法科大学院入学試験の結果について

平成19年度(2007年度)入学試験の最終合格者につき,2006年12月25日に発表いたしました。結果につきましては,次のページをご覧ください。
http://www.law.tohoku.ac.jp/lawschool/info/061225-gaiyo.html

また,同入学試験つきましては,入学手続き完了者が募集定員100名を超えたため、追加合格は行いません。
http://www.law.tohoku.ac.jp/lawschool/info/070111-oshirase.html

同入学試験,第3次選考におきまして,面接試験の実施に際し2件のミスが発生いたしました。受験生の皆様には、深くお詫びを申しあげます。詳細につきましては次のページをご覧ください。
http://www.law.tohoku.ac.jp/lawschool/info/061221-oshirase.html

◇新司法試験,合格体験談 その2

去る平成18年11月2日(木)に開催されました「新司法試験合格者と語る会」での,合格者の講演録をお届けいたします。今回は2人目として,細川卓也さん(現在,大阪にて司法修習)の合格体験談をご紹介いたします。講演録の掲載にご快諾いただいた細川さんに心から御礼申し上げます。

どうも、こんばんは。この度、新司法試験に合格しまして、司法修習生となる細川といいます。簡単に自己紹介だけさせていただきたいと思います。

平成12年に福島県立安積高等学校を卒業しまして、平成12年4月に東北大学法学部に入学、平成16年3月に同大学法学部を卒業、平成16年4月に東北大学法科大学院に入学しまして、平成18年の3月に卒業しました。今月からは司法修習生として勤務するのですが、私は、実務修習地の第1希望を仙台、第2希望を東京と出願したのですが、なぜか大阪の方に飛ばされてしまって、司法修習生の出願を取り下げようかというくらい悩みました。しかし、今はとにかくやってみるかという気持ちでいます。このような心境なので、上手く話せるか分かりませんが、皆さんの役に立てるような話をしようと思い、今回、お話させていただきます。

先程、説明がありましたように、私は法科大学院に既修者で入学しまして、2年間、この法科大学院で勉強してきました。ですので、その2年間の勉強方法を時系列に沿って説明していきたいと思います。

なにしろ法科大学院という制度自体が初めての制度ですので、何をどう勉強していいのか全く分からず、とりあえず先生方の言うとおりの勉強をやろうと私は思いました。ここに先生方の言うとおりの勉強というのは、「まず、与えられた課題をやる、そして、授業を真剣に受ける、復習をやる」ということでした。しかし、既に皆さんが体験しているとおり、与えられた予習は膨大な量で、予習をやっていれば復習はできないという状態で、私は完全にそれらをこなすことはできませんでした。ただ、その中でも、私が実践したことは、与えられた課題の予習はしっかりやるということでした。特に、民事訴訟法は莫大な量の予習課題を渡されて、それを読むだけで1日が終わってしまうということもありましたけど、とりあえず与えられたものはやろうと予習はしっかりやっていました。また、講義中はできるかぎり先生の言ったことをノートにとって、とりあえず、理解してなくてもノートを取る、理解していない点があったら友達に「ここどういう意味ですか?分からなかったのですが」と尋ねて疑問点を解消していました。

そのような勉強方法をほとんどL2の間続けていたのですけども、ただ、授業によって、各科目によって与えられた課題というのは量が違いましたから、予習が少なくて済む科目の時には自分の勉強をやろうと思い、自分の好きな科目だけですけれども、憲法や民法、刑法などを勉強していました。その時には主に基本書を読んでいました。先程、草薙さんがおっしゃったように、やはり基本書は読んで損はないと思いますし、基本書は読むべきだと僕は思っています。ただ、基本書を読むのもただ漫然と読むのではなくて、目的を持って読んだ方がいいのではないかと思います。つまり、「何のために基本書を読むのか」、先程、草薙さんがおっしゃったように、体系的な理解を深めるために基本書を読むのか、あるいは、個々の論点で分からない部分が出てきたから、その理解・確認のために基本書を読むのか、あるいは、論文で使えるような表現を見つけるために基本書を読むのか。そういうことを意識して読まないと、漫然と読んでいては仕方ないと思います。自分も学部時代、基本書を読んでいましたが、ただ漠然と読んでいて何の役にも立たなかった苦い記憶がありますので、皆さんにはそのようことはないようにできたらと思います。

このような勉強法をL2の間はやっていたのですが、そろそろL2の後半になると、試験対策というのも重要ではないかと思いまして、少しずつですが試験対策を始めました。具体的には、私は択一試験に苦手意識があったので、択一試験対策を徹底的にやろうと思い、早いうちから択一試験対策をとっていました。具体的な勉強法ですけども、憲、民、刑に関しては、旧司法試験の過去問がありましたので、それをとりあえず1回まわそうと思い、それをL3の6月、7月、8月くらいまでを目処に解いて、それ以降は、刑訴、民訴、商法、行政法を徹底的にやろうとしました。なぜ、8月まで現行の問題をやったかと言いますと、8月にプレテストというものがありまして、まず、プレテストを目標にやってみようと決意し、自分の目標を設定して、プレテストに向けて旧司法試験の問題をやってみました。ただ、択一試験対策ばかりやっても仕方なく、最終的に重要となるのは論文ですから、論文対策もやらなければいけないと思い、旧司法試験の問題を1日に1問、あるいは2問、答案構成のみですがやっていました。そして、プレテストの結果が返ってきたのですが、思いのほか良かったので、択一は、ある程度大丈夫だと思い、いよいよ本格的に論文対策に移ろうと思いました。しかし、論文を実際書いてみると、「理解はしてるけれど書けない、理解はしてるけれど表現できない」という問題に突き当たりました。ただ、この問題に本格的に突き当たったのは、問題演習をやっていたときではなく、法科大学院の試験を受けて、自分では上手く書けたつもりなのに、評価がAではなかった、ダブルAではなかったというときでした。「自分は理解したはずなのに、なぜこんなに評価が低いのだ」と思い、そういう法科大学院の試験の結果を見て、「自分は自分の考えを上手く表現できていないのだ」という事実に気づいたのです。周りの人で、こう言っては失礼かもしれませんけど、インプットが私より不十分な人が良い評価をとっていて、私の方ができていると思っていたにもかかわらず私はその人より悪い評価をとった。そのときに、私は自分の考えを上手く表現できていないということを痛感しました。そこで、「表現する方法、どのように表現するのかということを考えなければいけない」ということを意識しながら論文の勉強を始めました。具体的な勉強方法ですが、これも旧司法試験の過去問ですね、朝早く大学院に来て、1日1時間時間を計って実際に書きました。「合格者の参考答案」と呼ばれるものと比較して、自分の方が優れている表現なのか、それとも合格者の方が優れている表現なのかを比較参照しながら勉強していました。やはり読んでいると合格者の表現と言えども不十分なところはあるわけで、自分の方が優れているのではないかと思う部分はそのまま残しましたし、さすが合格者だなというような表現は、言葉悪いですけど、パクらせていただきました。このような勉強方法を大体、年内までずっとやっていましたが、ただ、旧司法試験というのは1行問題みたいなところもありますので、新司法試験対策もやらなけばいけないと思い、予備校で出ているような問題を解いたり、あるいは、「受験新報」で出ているような比較的長めの問題を時間を計って実際に書いてみるという勉強をして、新司法試験対策に当てようと思いました。

択一対策については、先程言ったようにプレテストの択一の点数が良かったこともありまして、ある程度はおいておこうと思ったのですが、知人から択一ゼミを組まないかと言われたので、週に1回択一ゼミを組んでいました。ゼミで良かったのは周りに人がいるため、自分1人では、なんと言うのか、ずぼらと言うか抜けてしまうところでも、緊張感を持って択一問題を解くことができたことです。これは私の個人的な意見ですけれども、やはり1人で勉強するよりはゼミを組んで友人と勉強した方がいいと思います。そして、ゼミの場で友人と話し合って欲しいと思います。その話し合い時にも、いかに自分が理解してるのに表現できないのか、いかに自分の言いたいことを伝えられないのかという場面に遭遇すれば、表現することの難しさを知り、どうすれば上手く伝えられるのか、その方法を身を持って習得できると思います。また、他の人の優れた内容の発言を聞けば、「なるほどな、そういう考えもあるんだな」とものの考え方に幅が出でくると思います。ですから、時期は遅くないですから、できればゼミを組んで勉強した方がいいと思います。

そうして勉強してきたのですけれども、私はこう見えて意外と小心者で、3月くらいまでしかこのような勉強はできませんでした。4月、5月は精神状態がもうボロボロで、ほとんど勉強は手につきませんでした。「自分がやっていない分野が出たらどうしよう」とか、「自分が弱い分野が出たらどう対応するんだろう」とか、そういう不安にずっと追われて全く勉強ができませんでした。その点は反省するべきだと思っています。試験直前期になると精神がすごく不安定になると思います。その時に、なんとか自分がリラックスできる方法を見つけておくといいと思います。

そんな紆余曲折を経て試験に挑んだわけですが、小心者の私は試験当日はさらに緊張して、試験の日、5月の19、20、22、23日は、7時に目覚ましをセットしても5時に起きてしまいました。そのため試験を受けている途中で眠くなったりするなど、試験は全く散々たる結果でした。自分では試験は良くできたと全く思っていません。本当に大きなミスをした科目もありますし、良くできたと思う科目は本当に少ないです。しかし、それにもかかわらずなぜ自分が合格したのかを改めて考えると、問題に対して素直に答えていたからではないかなと思います。つまり、問題文を読んでいくとある程度勉強した人なら「ああ、あの論点が問われているのだな」ということがわかると思います。しかし、単にその論点についての論証を書けばいいのではなくて、その論点に辿り着くまでの思考方法を逐一答案に書いていき、その論点が問題となる過程を書いていき、どういう形でその論点が「論点」となるのかその理解を示した上で、問題を解く上でこの「論点」たる問題を解決しなければいけないのだという時に初めて論点について触れればばいいのではないかなと思います。実際、私は試験の本番でもそのように書いたつもりです。ですから、論点を勉強することも確かに重要ですけど、先程、草薙さんもおっしゃったように、どういう形でその論点が問題になるのかということを理解した上で答案を書いていくということも大事ではないかと思います。

草薙さんから最後にご要望があったように、私も学校側に少し要望があります。やはり、書くという訓練は重要だと思いますので、できれば答案練習会の機会をもっていただければ嬉しいかなと思います。ただ、学生側としても、先生方から単に問題を作成してもらうだけではなく、「受験新報」に載っている問題を解いてみるなどして「先生この問題について答案を書いてみたのですがどうでしょうか?」と積極的に先生を利用してみてはどうでしょうか。私はこの辺がうまくできなかったので、多少後悔しています。試験に落ちて1年間また勉強するのは辛いですからしっかりやれる時はやっておいた方がいいと思います。もう1点お願いですが、確かに講義が素晴らしい内容だというのは十分分かりますが、その素晴らしい講義がどのような形で試験に役立つのかということを示していただければ嬉しかったなと思います。単なる話題提供的な講義になってしまっては、学生、特にしっかり予習をやってくる学生に対しては、期待外れでもありますので。すごく厚かましいお願いではありますけれども、後輩のために、先生方、どうかお考えください。

最後になりますが、このようなまとまりのない話で皆さんのお役に立ったかどうか分かりませんが、皆さんが来年、再来年、合格することを心から祈っております。どうもありがとうございました。

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発行:東北大学法科大学院広報委員会

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