授業紹介

第1年次科目 刑法

教員から 成瀬 幸典 教授

授業紹介:刑法

 本講義は、法学未修者(第1年次生)が、刑法総論(ある行為が犯罪であるというために満たさなければならない要件を明らかにする分野)と刑法各論(殺人罪などの個々の犯罪を扱う分野)に関する基本的知識を修得することを目的としています。第2年次の「基幹刑法」、第3年次の「刑事裁判演習」と段階的に進展する刑法分野のカリキュラムの基礎となるものです。法科大学院用に作成した独自の教材を用いて、質疑応答を中心とした授業を実施しています。
 本講義では、法学部で行われる刑法の講義と内容的にほとんど同じものを約半分の時間数で扱うので、学生の皆さん、特に初めて刑法を学ぶ人にとっては、予習・復習の負担はかなり重いようです。しかし、毎年、後期の半ば頃になると、質疑応答の内容などから、刑法的な思考になじんできている人が増えていることを感じるようになります。地道な勉強の積み重ねにより、学生が能力を開花させるのを目の当たりにできるのは、法科大学院で教育に携わることの大きな喜びの1つです。

渡部 真莉奈

受講生から 渡部 真莉奈さん

 刑法は、なじみのない概念が多いうえに、その概念の意味も学説が複数あって未修者には理解するのが難しいと感じます。授業ではそのような概念を分かりやすく丁寧に、かつ法科大学院での授業であることをふまえて判例・通説を重視して解説してくださるので理解も深まりますし答案を書くうえでも大変参考になります。また、予習課題に沿って先生との問答が行われるので、予習課題の段階では理解したつもりでも実は理解不足で復習すべき点に気付くことができます。授業後にも学生の質問に対して丁寧に答えてくださるので、疑問をその日のうちに解決することができます。予習・復習は大変ですが、事例問題を見て論点とその考え方が分かったときは自分の力になっていることを実感します。

基幹科目 基幹商法

教員から 森田 果 教授

授業紹介:実務民事法

 第1年次または法学部の授業では、さまざまな法ルールといういわば「公式」を学ぶわけですが、公式の知識だけでは実務家としては足りません。実務家にまず必要な能力は、クライアントが述べる雑然とした事実に直面したときに、その事実についてはどの法ルールを使うべきなのかを判断した上で、その法ルールを適用するとどのような法的解決が導かれるのかを明らかにし、適切な助言を与える能力です。このように、法ルールという抽象的な公式を具体的な事案で「使う」能力を養うのが第2年次の授業です。
 数学では問題演習で公式の使い方を覚えるように、法ルールも、具体的な裁判例を題材にしてその適用の仕方を学ぶことが効果的です。そこで、会社法の裁判例を中心とした独自の教材を利用して、質疑応答をベースとした授業を展開しています。また、授業の進行・理解を助けるために、パワーポイントによるスライドも活用しています。会社法という分野は、社会経験のない多くの人にとっては実感の湧きにくい分野である上に、急速に変化し続ける分野でもあるので、学習は大変かもしれません。しかし、基本的な視点さえ身に付けば、3つのエージェンシー問題を中心とした案外単純明快な世界であると分かってくるでしょう。

松原 俊介

受講生から 松原 俊介さん

 会社法は、その条文が使われる場面の具体的なイメージがしづらく、これまでは重要とされる論点を覚える勉強に終始していた気がします。しかし、この授業では、多くの裁判例の検討を中心とした講義がなされ、抽象的に覚えていた法解釈を、具体的な事件でどのように適用するかを学ぶことができ、会社法が適用される場面について具体的なイメージを持ちながら学習することができました。
 授業は、あらかじめ指定された予習課題について、学生の回答をもとに、スライドを用いながら説明がなされます。時系列や図表等を用いて分かりやすく整理されており、予習で読みこんできた裁判例についてより理解を深めることができます。最初は予習段階で裁判例を読むことに苦労しましたが、時間をかけて地道に読むことで会社法の力が付くのだと感じました。

実務基礎科目 エクスターンシップ

教員から 佐藤 裕一 教授(弁護士)

授業紹介:エクスターンシップ

 毎年9月上旬にエクスターンシップ生が法律事務所を訪れます。初めこそ、準備した机で緊張した面持ちで六法全書などをめくっていますが、「事件で裁判所の法廷に行くぞ!」と言うと、目がキラキラと輝き出します。法廷でも裁判官や代理人の発する一言一句を聞き漏らすまいと必死で、その意味あいについて一生懸命に頭をフル回転させているのが判ります。
 普段勉強している実体法や訴訟法の知識というツールが具体的事件でどのように使われているのかを身をもって体験してもらいたい、そして現実の事件処理における証拠の評価の重要性にも気がついてほしいのです。1週間という短い期間ですが、弁護士の仕事が如何に慌ただしく大変で、またそれ故にやりがいに溢れているかということを実感してもらいたいですね。いつか、法廷で相対峙する日を楽しみに待っています。

田村 亜佳利

受講生から 田村 亜佳利さん

 私は、病院側の医療訴訟について興味があり、仙台でそのような弁護をしている佐藤先生のところへ行かせて頂きました。弁護士の仕事といえば法廷での訴訟や和解などのイメージがありましたが、医療過誤で訴えるという患者に対する説明文書の作成や保険会社への意見書の作成、顧問先の相談を受けるなど事務所内での仕事が多いことがわかりました。依頼者と今後の方向性についてぶつかることもあります。そのような場合には単純に法律の知識があれば良いわけではなく、依頼人を説得する多様な知識が必要です。弁護士の先生方は多くの経験をしており、考え方等大変勉強になりますし、弁護士事務所の中を見ることはこれからのモチベーションにもなると思います。

展開・先端科目 知的財産法Ⅰ

教員から 秋田 将行 教授(特許庁審査官)・蘆立 順美 教授

授業紹介:知的財産法Ⅰ

 「知的財産法Ⅰ」では、特許法を扱っています。著作権法を扱う「知的財産法Ⅱ」とともに、知的財産法制の枠組みや基本概念、実務上問題となる重要論点を整理しながら、基礎的知識の修得を目指します。応用事例の解決に必要な法的知識および法的思考力を修得する「知的財産法発展」とあわせて、知的財産法の初学者であっても司法試験に向けた準備を着実に進められるよう工夫しています。
 特許法は、権利行使等の実体的側面だけでなく、権利取得等にかかる手続的側面も有しており、特許庁の審査実務等に関する理解が必要とされます。そのため、研究者教員とともに実務経験豊富な特許庁審査官が実務家教員として講義を共同担当し、審査実務と法理論の双方から理解を深められるよう連携を取っています。
 技術の高度化・多様化により生じる新たな法的課題に絶えず直面する特許法は、法改正が頻繁になされ、重要な判決が続々と出されています。学習は決して容易ではありませんが、ダイナミックに変化する社会を実感できる特許法の面白さを学べるような授業を心がけています。

吉田 直斗

受講生から 吉田 直斗さん

 特許法は、「発明」という技術的な情報を保護する法律です。とても興味深い分野ではありますが、馴染みがないため、独学によって理解することはなかなか骨が折れます。この講義は、研究者教員と実務家教員の双方からなされます。難解な概念や判例、イメージし難い審査手続きも、両教員からの明快な説明と問いかけによって、きちんと整理して理解することができます。また、必読文献や重要判例、参考裁判例が事前に示されるので、初学者の私でも、限られた時間の中で効率よく学習することができました。司法試験の選択科目を知的財産法にする人はもちろん、特許法を初めて学ぶ人にとっても大変おすすめです。

△ このページの先頭へ