実務刑事法の予習課題と留意点

実務刑事法担当教員
藤宗和香
成瀬幸典
佐藤隆之

 第2年次に開講される実務刑事法では、刑事法の理論面に関する基礎力を確実なものとするため、実務の基礎をなす考え方について随時取り上げ、判例を素材として、その論理を様々な角度から検討することを予定しています。

 このような判例の検討に当たっては、その前提として、判決(決定)そのもの(判例百選など要約されたものではない)を読まなければなりません。裁判書を読むことに慣れていない人にとっては、全文を読み通すこと自体、困難かもしれませんが、実務法曹としての基本的な能力を養うには、何よりも、多くの判例を繰り返して読み、事実関係を整理・把握したうえで、そこに含まれる法律上・事実上の問題点を見つけ、裁判所がなぜそのような判断に至ったのか、自分で考える、という作業を、積み重ねることが欠かせないと私たちは考えています。

 そこで、講義が本格的に始まる前に、下記の課題に真剣に取り組み、十分なウォーミングアップを行っておいてください。

①刑法および刑事訴訟法の基本書(著者や分量は問わない。これまで使用していたものでよいが、いわゆる予備校本は、ここにいう基本書には含まない)を、関連する基本的条文を確認しながら読み直しておいて下さい。

②下記の判例(裁判例)を、授業で取り上げる予定です。必ず、判決(決定)全文を読み、まず、事実関係を整理・把握しておいて下さい(事実関係の把握に当たっては、図表を用いたり、時系列ごとに整理したりすることが有用でしょう)。
そのうえで、基本書のほか、判例評釈や判例解説などを参考にしながら、判例の論理・結論に対する自分自身の考えをまとめておいてください。その際、判例のとる見解とは異なる立場から(批判的に)検討するだけではなく、判例のとる立場から見た場合に、判例の論旨の展開に問題はないか、という内在的な検討も行ってください。

刑法関係
  • 札幌高判平成12年3月16日(判例時報1711号170頁、判例タイムズ1044号263頁)
    なお、原審の釧路地判平成11年2月12日(判例時報1675号148頁)と高裁とで判断が分かれた理由についてまとめておいて下さい。
刑事訴訟法関係
  • 最決昭和51年3月16日(刑集30巻2号187頁、判例時報809号29頁、判例タイムズ335号330頁)
  • 東京高判昭和54年8月14日(判例時報973号130頁、判例タイムズ402号147頁)

△ このページの先頭へ