2003年10月10日
[2003年11月28日補正]

東北大学法科大学院に関する説明会(資料2)
2年間での修了を希望する者(法学既修者)に対する法学筆記試験(法律科目試験)について

東北大学法科大学院入学試験の全体像や日程については、 「平成16年度(2004年度)東北大学法科大学院学生募集要項(概要)」、及び、 「東北大学法科大学院に関する説明会 (資料1)2003年10月10日[12月1日補正]」をご覧ください。

ここでは、東北大学において、平成16年(2004)年、1月24日(土)に実施される予定の、 2年間での修了を予定する者(法学既修者)に対する、東北大学法科大学院入学 試験(法学筆記試験)の概要を説明いたします。





●公法(憲法・行政法)
(a)「憲法」
出題の範囲・スタイルに関して現行司法試験の論文式試験に準拠して行いますが、採 点基準・レベル等は学部試験程度とする予定です。

(b)「行政法」
 憲法の場合とは異なって,基本的な知識や理解を問う平易な出題を予定してい ます。
 具体的には,行政作用法総論(「法治行政論」)〔基本原理・行政手続・情 報の公開と保護・行政立法・行政行為・行政契約・行政指導・行政計画・行政上 の義務履行確保・即時強制・行政調査〕および「行政救済法論」(行政上の不服 申立て・行政訴訟・国家賠償・損失補償)に関する基礎知識を問う出題を行いま す。

●民法
【試験範囲】
 民法の試験範囲は、一般に大学の法学部の民法の講義において取り扱われる分野の全 体(親族・相続も含む)です。

【試験の一応の目安】
 この試験は、法学既修者として法科大学院を第2年次から始めるために必要な民法の 知識を修得しているかどうかを判断するために行われます。この点を判断するために、 法学部の授業に使用される一般的な民法の教科書に書かれている事柄をきちんと理解し ているかが問われます。すなわち、民法の定める各制度の趣旨や関連する諸制度間の関 係を正確に把握しているか、事実関係の中から法的な問題点を探し出して整理し、民法 および関連する法令の条文を的確に解釈適用することができるか等につき、基本的な能 力が試されます。
 試験は、論述式で行います。

●刑法
【出題範囲】
  刑法、その他の関連法令とします。
【試験の目的・形式】
  法学既修者として、法科大学院を2年間で修了する(第2年次から履修を始 める)ために必要な基礎的な知識や解釈の能力を身につけているかどうかを判定 するための試験です。   具体的には、刑法に関する主要な問題及びそれに関する解釈論的知識を有し ていることを前提に、㈰簡単な事案の中から、そこに含まれる刑法上の問題を発 見する力、㈪発見された個別の問題について、関連する個々の条文の意義、基礎 にある目的・思想などを踏まえ、自己の見解を説得的に展開する力(日本語の表 現力も含みます)などを問います。なお、刑法の分野でも、判例が実際の法の運 用に大きな役割を果たしていますので、刑法に関する主要判例の内容を正確に理 解していることも大切です。
  試験は論述式で行います。

●商法
【試験範囲】
 商法の試験範囲は、商法(第三編第十章保険および第四編海商に関する部分は 除きます)・手形法・小切手法とその関連法令としますが、会社法を中心に出題します。
【試験の一応の目安】
 企業組織および企業取引に関する法領域である商法について、法科大学院第2 年次から 履修するに必要な基礎的能力を身に付けているかどうかを判定します。商法の学 習にあたっては、㈰商法、特に会社法の重要な概念・制度・条文について、なぜそれら が存在する のか、企業をめぐる利害関係者のうち誰のどのような利害と誰のどのような利害 が絡み、ど のような考え方の下にどのようなしかたで利害が調整されているのかをしっかり 理解すること、㈪現実の経済社会において商法が実際にどのように運用されまた変容しつつあるのか をたえず意識し、特に毎年のように大きな改正がなされている会社法制の基本的 な動向を把握することが求められます。試験においても、このような観点から修得の程度が問われることになります。試験問題の形式は、論述式で行います。

●民事訴訟法
【試験範囲】
 民事訴訟法の試験範囲は、民事訴訟法と民事訴訟規則、及び、中程度の分量の定評あ る民事訴訟法の教科書で触れられている付属法令、関係法令です。総論部分、第1審手 続はもちろんのこと上訴・再審、複雑訴訟・多数当事者訴訟、特別手続をも当然に含み ます。
【試験の一応の目安】
 法学既修者として法科大学院を第2年次より始めるために必要な民事訴訟法の知識を 修得しているかどうかを判断する試験です。したがいまして、中程度の分量の定評ある 民事訴訟法の教科書、及び、定評ある判例集を自在に読みこなす能力を測ります。判例 や通説の理解のほか、学説が対立する構造を理解し、問題解決に至る能力が要求されま す。
 民事訴訟法は、民法や商法とは異なり、諸制度の関連がより強いものです。つまり、 各制度が有機的に関連しあっているため、民事訴訟法全体を理解しなければ個別の問題 の理解・解決に至り得ないところがあります。したがいまして、論点を羅列するだけの 学習では、百害あって一利なしです。その論点が民事訴訟法全体の体系のどこに位置す るものであるか、全体の体系にどれだけ影響を与えるものであるかを地道に理解してい く方法が、遠回りのようにみえて、かえって近道なのです。中程度の分量ではあります が、定評のある教科書や判例集をしっかり理解する必要があります。いわゆる体系書と 呼ばれる分量の大きな教科書も、ひとつひとつの制度や論点を理解していくうえで必要 になってくるでしょう。
 試験問題の形式は、論述式で行います。解答に対する評価は、試験問題に対する解答 の論理的な首尾一貫性を中心に、教科書・判例集から得られた知識を正確に用いている か、公正性や迅速性、真実性や経済性など、民事訴訟の一般原則に基づいているかなど 、総合的に判断します。

●刑事訴訟法
【出題範囲】
  刑事訴訟法、刑事訴訟規則その他の関連法令とします(上位規範である憲法 規定の理解も必要です)。
【試験の目的・形式】
  法学既修者として、法科大学院を2年間で修了する(第2年次から履修を始 める)ために必要な基礎的な知識や解釈の能力を身につけているかどうかを判定 するための試験です。
  具体的には、刑事手続の概要やおおまかな運用実態を把握していることを前 提に、㈰簡単な事案の中から、そこに含まれる法律上の問題を発見する力、㈪発 見された個別の問題を解決するため、基本原理・指導理念を踏まえ、条文の文言 を出発点とした説得力のある解釈論を展開する力(日本語の表現力も含みます)、 ㈫(㈪にも関わりますが)自分のとる結論が、手続全体のありようや他の問題の 解決に与える影響を想像する力(広い視野を持っているか)、を問います。なお、 他の法分野と同様、刑事訴訟法の分野でも、判例が実際の法の運用に大きな役割 を果たしていることから、重要判例の内容・意義を正確に理解することも非常に 大切です。
  試験は論述式で行います。




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