東北大学法科大学院

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東北大学法科大学院メールマガジン

第63号 07/15/2010

◇エクステンション教育研究棟完成について

 本年6月末に、東北大学片平キャンパスに、法科大学院等の専門職大学院の教育拠点となる「エクステンション教育研究棟」が完成しました。
 これにより、法科大学院のすべての設備が一箇所に集約され、高度で専門的な知識、能力を備えた法曹を養成するためのより充実した環境が実現されます。

 そして、7月27日(火)には、国際刑事裁判所判事尾崎久仁子氏、元最高裁判事藤田宙靖氏らをお迎えして、エクステンション教育研究棟完成記念行事を開催いたします。

 本行事の中で、国際刑事裁判所判事尾崎久仁子氏、元最高裁判事藤田宙靖氏、会計大学院協会理事長八田進二氏らによる記念講演を、13:30よりエクステンション教育研究棟2階大講義室で開催します。
 この記念講演は、修了生・在学生・教職員等の参加も可能ですので、是非ご参加下さい。

◇平成22年度(2010年度)東北大学法科大学院 オープン・キャンパスについて

 東北大学法科大学院では、下記のとおり、オープン・キャンパスを開催します。
 エクステンション教育研究棟の新たな施設をご覧いただく最初の機会ですので、是非ご参加下さい。

日時:2010年8月28日(土)13:00-17:00(受付12:30〜)
場所:東北大学片平キャンパス,エクステンション教育研究棟
 http://www.law.tohoku.ac.jp/lawschool/gaiyou/access.html
(JR仙台駅から片平キャンパスまで徒歩約15分)

プログラム
13:00-13:15 法科大学院案内 法科大学院長 佐藤隆之 教授
13:15-14:15 法科大学院入試・カリキュラムの説明
 法科大学院カリキュラム等委員会委員長 佐々木弘通 教授
 法科大学院入試委員会委員長 蘆立順美 准教授

14:30-15:30 模擬講義
 1) 「民事法」(既修者対象) 石井彦壽 教授(実務民事法)
 2) 「憲法」(未修者対象) 中林暁生 准教授(憲法)

15:35-17:00 施設見学・個別相談・懇談会
 1) 施設見学
 法政実務図書室、自習室、コンピューター・ルームほか
 2) 個別相談・懇談会
 ・実務家教員:石井彦壽 教授
 ・研究者教員:佐々木弘通 教授、蘆立順美 准教授
 ・在学生:数名
 ※希望する会場へご出席下さい。中途の出入りも自由です。

◇連続講演会のお知らせ

 東北大学法科大学院では、現在、修了生・在学生・教職員を対象に連続講演会を開催しています。

 第2回は、去る7月8日(木)に、本法科大学院の修了生である佐藤奈津検事をお迎えして刑事実務のお話をして頂きました。第3回は去る7月14日(水)に、岩渕健彦弁護士をお迎えして企業再生についてのお話をして頂きました。
 たくさんの方のご来場ありがとうございました。

 第4回については、本法科大学院の修了生である庄司智弥弁護士をお迎えして下記のとおり開催します。講演では、少年事件についてお話し頂く予定です。皆様ぜひご来場下さい。

第4回 9月1日(水) 18:00〜
「少年事件最前線」
講師 庄司智弥弁護士
場所 片平キャンパスエクステンション教育研究棟(講義室は未定)

◇平成22年度東北大学法科大学院東京オープンキャンパス行われる

 去る7月3日(土)に東北大学東京分室サピアタワーにて、平成22年度東北大学法科大学院東京オープンキャンパスが開催されました。

 当日は、本法科大学院の樺島教授の司会進行で、関根攻弁護士・本法科大学院客員教授によるご講演、法科大学院長の佐藤隆之教授による入学試験やカリキュラムについての説明等が行われました。

 ご来場いただいた皆様に、心から御礼申し上げます。

◇教員インタビュー

 今回は、長年渉外弁護士としてご活躍され、現在は長島・大野・常松法律事務所の顧問であり、2010年4月に東北大学客員教授として就任された関根攻先生にインタビューをしましたので、その概要をお送りします。インタビューの中で、弁護士の仕事の魅力などについて語って頂きました。

 関根先生は、本法科大学院において、企業法務演習Ⅰ、リーガル・クリニックを担当しています。

(広報委員会)関根先生のこれまでのご経歴を教えて下さい。

(関根先生)昭和42年3月に東京大学法学部を卒業して、昭和44年3月に司法修習を修了し、同年4月に弁護士登録して、芦苅法律事務所に入所しました。司法修習では、東北大学法科大学院の石井彦壽先生と同期でした。その後、アメリカのハーバード・ロースクール大学院に留学し、昭和49年6月に当大学院のLLMコースを修了、帰国後、昭和52年4月にブレークモア法律事務所に入所しました。昭和62年1月に常松・梁瀬・関根法律事務所を設立しましたが、その後、この事務所は、平成12年1月に長島・大野法律事務所と合併して、長島・大野・常松法律事務所のパートナー弁護士となりました。そして、平成20年1月に長島・大野・常松法律事務所の顧問となり、平成22年4月より東北大学法科大学院の客員教授に就任しました。

 その他、東京穀物商品取引所の紛争仲介委員(平成2年4月〜)、社団法人経済同友会幹事(平成15年4月〜)、財団法人竹中育英会評議員(平成17年4月〜)、東京短資株式会社社外監査役(平成18年2月〜)、社団法人経済同友会企業・経済法制委員会副委員長(平成18年6月〜)、株式会社東京金融証券取引所規律委員会委員(平成19年7月〜)、東鉄工業株式会社社外取締役(平成20年6月〜)、法政大学法科大学院兼任教授(平成21年4月〜)、応用地質株式会社社外監査役(平成22年3月〜)なども歴任しました。

(広報委員会)弁護士の仕事の魅力について教えて下さい。

(関根先生)私が弁護士業務で最も魅力的だと思うのは、依頼者に直接会って、事案の内容を直接聞くことができることだと思います。民事でも刑事でも公判段階になると、プロフェッショナルの目を通して情報の一定のスクリーニングがされます。例えば、判例集に登載された事案には、プロフェッショナルにより整理された事実関係と法律の適用についてその概要が記載されますが、それ以外にも、そこからずり落ちた事実、法律的な意味がないためプロフェッショナルが取捨選択して落とした事実が存在します。

 ましてや、ビジネス・ロイヤーの場合には、通常は訴訟に発展することはない企業間のdealの一方を代理して交渉し、法律問題を検討し、その結果を契約書等の文書にまとめる仕事ですから、裁判官と接触することはまずありません。このような場合には、幸運にdealが成立し、契約書が整ったとしても、そこに至る事情が全て契約書等の文書に記録される訳ではありません。

 そういった事実には、人間にとって、あるいは、社会生活上非常に示唆に富む事柄が多く含まれています。新聞記事等で報道されている、あるいは判例集等に登載されている事実関係の裏に、非常に実体的な社会的な事情が存在しているという点に、私は一番興味を持ちました。良く言えば好奇心が強い、悪く言えば物見高いということになりましょう。

 私はこれまで主にビジネスロイヤーとしての仕事をしてきまして、訴訟にはほとんどタッチせず、訴訟外のビジネス上のドキュメンテイションや交渉などを行ってきました。特に交渉の場合、うまく成功裏に契約調印に至った時には、非常に高揚した雰囲気の中でドキュメンテイションのサイニングが終わります。しかし、そこに至るまでの交渉過程では法律論争等の利害対立がたくさんあったりします。そのような利害対立の多くは報道されないのが通常だと思います。

 そのような生の事実に触れることができるのが弁護士であると思います。これは裁判官ではなく、むしろ刑事における検察官に近い立場だと思います。ですから、裁判官は法律家によるスクリーニングを通した後の訴訟上の攻防にしかタッチできませんが、弁護士や検察官は事実に直接タッチすることができるということだと思います。

(広報委員会)今までの長い弁護士のお仕事の中で印象に残った事案について教えて頂けますでしょうか。

(関根先生)渉外関係の事案の場合、交渉の相手方が、外国の企業であったり、外国の政府、あるいは公社・公団という場合が多くなります。その中で、印象に残ったものとして、インドの(日本的に言うと)石油公団に関する案件がありました。そのインドの石油公団が日本の東京のマーケットで円建債を発行した後に、民営化して会社になりました。公団組織、公社組織から会社に組織替えをするということになると、形式的には、瞬間風速的に公団組織を解散して、債権・債務を新設された会社に全部移行することになります。

 その石油公団の円建債の一条件として、“発行者が解散した時にはその債権者集会において、期限の利益を失う旨を決議した場合には、即時に期限の利益を喪失する”という規定があったため、公団の民営化がこの期限の利益喪失条項に抵触するかどうかということで、多くのシリアスな事情に直面しました。結果的には、いろんな経緯を経て、民営化後の会社に日本で発行した債券の債務も承継させたのですが、その代わり従前の債券と同じ価値を維持するためにはインド政府の保証が必要だということになり随分苦労しました。

 東京マーケットで発行されたものについて法律的な疑問点が後から出てきたということになると、そのことがマーケットに沁み渡り、その売買、取引に相当悪い影響を与えて、投資家が非常に不安になるという事情があります。しかし、一方で、発行会社側の事情からみれば、民営化するということはそもそも政府から組織を切り離すわけですから、その債務に政府の保証が付いたのでは国内での民営化のステイトメントと合致しないものであり、私どもが要求していることは充分理解できるけれどもとても呑めない、ということになります。

 そういったところから出発することになり、受託会社を中心とした日本側当事者は、インド政府ら関係当事者に対して、日本の投資家に不安を与えるとインド政府自身、あるいはインドの同じような公社公団が、将来同じように東京マーケットで起債をして投資家に債券を売ろうとした場合に、決していい影響を及ぼさない、というような法律外的な説得も試みまして、結局譲歩していただくことになりました。その結果、受託会社は投資家に対して「発行体は民営化して会社組織となったが、インド政府保証が付けられたため債務の経済的価値は変わらない。このため受託会社としては、この点に関して債権者集会を招集することはしないこととした。」という趣旨の公告をしました。

 この案件は情報管理を徹底的に行い、事前にメディア等には分からないようにしたものですから、メディアで取り上げられて投資家に不安を与えることはなかったのですが、担当者レベルでは非常に神経を使う仕事でした。

 こういうことが先ほどの質問にもつながりますが、真の事情、生の情報というのは弁護士であるからこそ得られるのだと考えております。

(広報委員会)最後になりますが、法科大学院生に向けてメッセージをお願いします。

(関根先生)私は弁護士登録をしてから41年ぐらい経ちますが、昔から国の最難関試験というと司法試験と外交官試験であるといわれています。これまで41年やってきまして、やはり司法試験というのは、世の中で最も公明正大な試験であり、若い人たちがチャレンジする充分な価値のある試練であると思います。

 最近では、社会において「コンプライアンス」ということがものすごく叫ばれるようになりました。会社の社外役員をやっていると、この言葉についてよく質問されますが、その言語を辿れば、当然のこと、遵法、法律に遵う、法律を踏み外さない、ということになります。これが今日的に意味を持ってきたということになります。

 時代を40年ぐらい前に巻き戻し私が弁護士登録したころは、スピード違反や飲酒運転は社会的にみて制裁の度合いはそれほど強くありませんでした。それから、脱税に対してもそれほど大きな社会的制裁というような意味合いはなかったと思います。しかし現在なら、飲酒運転はまちがいなく実刑という時代ですし、脱税についても非常に社会的な制裁が厳しくなっています。

 またこれに加え、商法から会社法になり、会社法上のコンプライアンス、あるいは会計上のコンプライアンスというような非常に詳細な規制が課されるようになってきました。このことから何が言えるかと言うと、おそらく日本の社会がそれだけ成熟したということだと私は思っています。

 したがって、法曹のニーズというのは格段に高まっているということが言えます。法科大学院の院生の皆さんには、将来、重要な仕事を担うことが期待されているわけですし、そのプロフェッショナルになるための試練、即ち難関試験を受ける力をここで養うということは長い人生の上で非常に重要な意味を持つものであると思います。自信をなくしたときには、学部だけで終わらせずにロースクールに入学した時の決断に立ち戻ってほしいと思います。そうすれば、また元気が出てくるものだと思います。

(広報委員会)本日は、非常に貴重なお話を伺うことができました。ありがとうございました。

◆編集後記

 今回は、本法科大学院の関根攻先生のインタビューの概要をお送りしました。関根先生のこれまでのご経験のお話は、東北大学法科大学院メールマガジン第57号にも詳しく掲載されておりますので、是非こちらもご覧下さい。
http://www.law.tohoku.ac.jp/lawschool/lawmm/vol57.html

 大変ご多忙の中、インタビューに快く応じていただいた関根先生に心から御礼申し上げます。

(杉江記)

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発行:東北大学法科大学院広報委員会

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