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東北大学法科大学院メールマガジン

第55号 02/26/2010

◇新司法試験 合格体験談

 「新司法試験合格者の講演会」における講演概要の第4弾です。今回は、去る平成21年10月26日(月)(第2回)にご講演いただいた荒木昭子さんの合格体験談をご紹介いたします。

合格者体験談

荒木昭子さん

<はじめに>
 みなさんこんにちは。修了生の荒木です。私は、学部・ロースクールを通して東北大でして、東北大学法学部卒業後、こちらのロースクールの既修者コースで学ばせていただきました。

 本日は、まず前半で時系列に沿って、それぞれの時期のおおまかな勉強の方針をお話した後で、後半で具体的な勉強方法を教材の紹介も含めてお話し、最後に、まとめとしまして、私の勉強方法の良かった点と悪かった点を自分なりに分析して参りましたので、それをお話させていただきたいと思います。

<勉強のおおまかな方針>
○L2期
 まずL2の頃ですけれども、私の場合、この頃は授業についていくだけで精一杯だったため、基本的には授業の予習・復習・テスト勉強以外の事はほとんどできませんでした。この頃は、自分が何故法曹になりたいかもあやふやで色々悩むこともあり、まだ受験に意識が行ってなかったので、恥ずかしながら、長期休みもダラダラ過ごしてしまうことが多かったです。

○L3前期
 L3前期になりますと、ちょっとずつ受験に意識が向いてきました。ただ、私の場合、L3前期に比較的重い授業を沢山取ってしまったため(知財、倒産、経済、環境など)、L2の時にも増して、授業の準備が大変でした。そのため、普段の勉強は授業の予習・復習が中心で、受験に向けた自習の時間はそれほど取ることができませんでした。

 ただ、刑事裁判演習などの実務系の科目や司法試験の選択科目の授業は司法試験に直接的に役に立ちましたし、その他の科目も、法的思考能力を鍛えるという意味では受験に役立ったので、授業に真剣に取り組んだことは無駄ではなかったと思います。また、この頃から友達と2人で勉強会を組んで勉強を始めました。もっとも、この時期は、私が授業でいっぱいいっぱいだったので、それほどゼミの回数を確保できたわけでもありませんし、勉強会のやり方も試行錯誤の状態でした。

○L3前期後
 L3の前期が終わり、夏休みに入ると、周りも受験モードになってきて、私自身もかなり焦りを感じました。この時点では受験まで時間がないので、計画的に受験勉強をする必要を感じました。

○過去問分析
 そこで、まず始めたのは過去問分析です。具体的には、勉強会の友達と2人で新司法試験の過去問を3年分時間を計って解きました。ただ、この時点では、知識がほとんど身についていなかったので、何も見ずに問題を解くのは難しい状況でした。そこで、教科書でもノートでも何でも見てよいことにして問題を解きました。その後、友達と2人で、出題の趣旨や予備校から出ている上位答案集を分析し、出題者が何を求めていて、どのような答案が評価されるのかをしっかり議論して、最終的に目指すべきゴールを認識しました。

○受験までの計画
 次に、以上の分析をふまえて、自分の現在の力と最終的なゴールとの間の差を埋めるために何をすべきかをよく考えた上で、受験までの計画をたてました。計画のたて方ですが、私の場合、受験までの長期計画・1か月単位の中期計画・1日単位の短期計画の3つに分けて計画をたてるようにしました。

  • 長期計画

     まず、長期計画は、本番までの半年ちょっとの間のどの時期にだいたい何をやるかを大まかに決めたものです。だいたいこの時期にはこの教材を終わらせておきたいな、といったおおまかな計画です。この長期計画を立てる際、やりたいこと(計画に組み込みたいこと)は色々あったのですが、それらをすべて受験までにこなす事は時間的に不可能だったので、やりたいことに優先順位をつけて、優先順位の高いものから計画に組み込むようにしました。

  • 中期計画

     つぎに中期計画は、1か月ごとに、長期計画を具体化したより詳しい計画を立てたものです。例えば、11月の第1週には憲法の百選の1事件から70事件をつぶす、といったものです。私は、だいたい、毎月、月の終わりに翌月の中期計画をたてていたのですが、その際、勉強の進み具合をみて、適宜、長期計画を微修正したりもしました。

  • 短期計画

     最後に短期計画は、1日のタイムスケジュールです。毎日、夜学校から帰るときに、翌日のタイムスケジュールを決めて、紙に書いて机に貼っておきました。これをすることで、無駄な時間を作ることなく、毎日のメニューをきちんとこなすことができました。

○L3後期
 この時期は、夏休みに立てた計画を忠実に遂行することを心がけました。

 まず、授業との兼ね合いですが、もちろん授業にもできる範囲できちんと取り組みました。ただし、予習・復習に時間をかけすぎると受験勉強の時間が十分に確保できないので、予習・復習にかける時間は予め決めておいて、その時間内に必ず終わらせるようにし、勉強計画に狂いが生じないようにしました。

 また、この頃には、勉強会での勉強もかなり軌道に乗ってきました。やった内容は大きく2つで、問題集等の教材の検討と早起き会です。教材の検討についてはだいたい分かると思うのですが、早起き会というのは、寝坊防止のための勉強会で、毎日8時50分にコモンルームに集まって、10分間だけ自習する、というものです。

 勉強会を実施するにあたって注意した点は、議論に時間をかけすぎないことです。そのために、予習をしっかりやって予め疑問点を抽出しておき、効率的に議論を進められるようにしたほか、議論しても分からない点は、次回までの宿題にして、ダラダラと議論することを防止するようにしていました。

〇修了後
 修了後も、勉強計画どおりに淡々と勉強しました。きちんと計画をたてていたおかげで、直前期も「何をやったらよいかわからない!」という状況に陥ることなく、効率的に勉強することができたと思います。

<具体的な勉強方法>
 次に、具体的な勉強方法についてお話します。

 基本的には、どの科目も基本書と百選をベースにして、適宜問題集も使う形で勉強しました。また、授業の復習もしっかりやりました。ちなみに、私は学部も法学部だったので、科目によっては学部の授業の復習もしていました。特に受験までに時間のない状況だと、基本書を読むことが億劫になりがちですが、基本書を通読しないと、その科目の体系が理解できないと思いますし、知識にも穴が出てくるおそれがあるので、基本書は面倒でも読むようにしていました。では、勉強方法について科目ごとにお話します。

○択一
 「タクティクス」を利用しました。TKC模試で自分の力を把握しつつ、各科目1〜3回程度回しました。やり方は、問題を解いて解説を読み、不安な部分は教科書・判例集の該当箇所をチェックする、という形でやっていました。暗記すべき知識は、大き目の付箋にメモして解説欄に貼っておきまして、試験直前にざっと見直せるようにしました。1回目は全部の問題を解くのですが、2回目以降は間違えた問題・不安な問題のみを解くことで、時間を短縮しました。

○論文
 まず、公法系で憲法ですが、基本書は、芦部信喜『憲法』(岩波書店)と高橋和之『立憲主義と日本国憲法』(有斐閣)を利用しました。問題集は、木下智史ほか『事例研究 憲法』(日本評論社)を利用しました。何問かは答案を作成しましたが、その他は答案構成のみを作成しました。これは、新司法試験の出題形式に慣れるには良かったのですが、解説がハイレベルなものもあり、なかなか使い方が難しかったです。むしろ、特に憲法に関しては百選をつぶす作業が短答にも論文にも大いに役立ちました。

 行政法ですが、基本書は塩野宏『行政法T・U』(有斐閣)を利用しました。また、行政法は、授業が自分にとても合っていたので、授業の復習をきっちり行いました。レジュメも大変わかりやすくまとまっているので、これにいろいろ知識を書き込んで利用しました。また、ケースブックもよく読みました。問題集は曽和俊文ほか『事例研究 行政法』(日本評論社)を利用しました。これも、答案構成だけ作成して解説を読む、という使い方をしました。これは解説もわかりやすく、大変使いやすかったです。オススメです。

 次に民事系で、まず民法ですが、基本書は、内田貴『民法T〜W』(東京大学出版会)を利用しました。これは、学部時代から何度も何度も読み込みました。また、山本先生や潮見先生の教科書も適宜参照しました。問題集は、松岡久和ほか『民法総合・事例演習』(有斐閣)。これは、けっこう難しいのですが、実体法の理解を深めつつ、あてはめの勉強にもなるので、時間は相当かかりましたが、かなり勉強になりました。オススメです。ただ、これは、解説がついていないこともあり、自分ひとりで解くのはかなり大変なので、勉強会でやりました。やり方ですが、毎回片方が事前にレジュメを作り、他方が予めそれを読んで疑問点を抽出しておき、ゼミでは、その疑問点を中心に議論するようにしていました。

 商法について、まず会社法ですが、基本書は弥永真生『リーガルマインド会社法』(有斐閣)を利用しました。会社法は、授業がほぼ全範囲を網羅していたので、とにかく授業の復習をしっかり行いました。また、会社法については、条文の読み方が難しいので、他の科目にも増して、こまめに条文をひくようにしていました。商法総則・手形法ですが、何もやらないのは怖いので、弥永真生『リーガルマインド商法総則・商行為法』(有斐閣)や弥永真生『リーガルマインド手形法・小切手法』(有斐閣)を通読するくらいのことはしました。

 次に、民事訴訟法ですが、基本書は『民事訴訟法講義案』(司法協会)および新堂幸司『新民事訴訟法』(弘文堂)を利用しました。また、高橋宏志『重点講義民事訴訟法(上)(下)』(有斐閣)を辞書的に利用しました。問題集は、遠藤賢治『事例演習民事訴訟法』(有斐閣)を使いました。これは、元裁判官の方が執筆されているため、『民事訴訟法講義案』とセットで使うと使いやすかったです。

 要件事実については、『問題研究要件事実 言い分方式による設例15題』(司法研修所編)と授業で必要十分だと感じました。

 最後に刑事系ですが、皆さんご存知のとおり、授業がとても良く準備されているので、授業にしっかりついて行くことが重要だと思います。

 まず、刑法ですが、基本書は、総論についてはかなりたくさん読んでいて、『刑法総論講義案』(司法協会)・井田良『刑法総論の理論構造』(成文堂)・西田典之『刑法総論』(弘文堂)・大谷實『刑法総論』(成文堂)・曽根威彦『刑法総論』(弘文堂)を使いました。『刑法総論講義案』は理論的な面がそんなには詰められていないので、そこは他の基本書で補う必要がありますが、おおまかな考え方を理解するにはかなりオススメです。各論については西田典之『刑法各論』(弘文堂)を利用しました。問題演習は、旧司法試験の過去問を利用しました。もっとも、全部やる時間はなかったので、できるだけ広い分野を網羅できるように配慮しつつ20問〜30問程度ピックアップして解きました。

 次に、刑事訴訟法ですが、基本書は、長沼範良ほか『刑事訴訟法』(有斐閣アルマ)を利用しました。刑訴に関しては、授業の復習をメインにしつつ、授業で紹介して頂いた論文を使ってフォローするという形で勉強しました。また、ケースブックの判例(授業で扱われたもの)は何度も読みました。

<おわりに>
 最後に、まとめとしまして、私の受験対策の良かった点と悪かった点をお話します。

○受験対策の良かった点
 まず、良かった点の1つ目は、上述のように過去問分析・自己分析を踏まえて計画的に勉強を行ったことです。きちんと計画をたてて勉強したことで、どの科目も穴をなくして、どこが出ても最低限は書ける、というところまで自分の力を持っていくことができました。また、どのような状況でも、自分のやるべき事を見失うことがなく、時間を効率的に利用することができた点も良かったと思います。

 良かった点の2つ目は、授業と自分の勉強の兼ね合いがうまくいったことです。基本的にロースクールの授業はとてもよく準備されているので、授業にしっかり取り組むことで基本的な力をつけることができました。しかし、授業だけで新司法試験に合格することは不可能なので、授業で足りない部分は自分で意識的に補充することによって、合格に必要な力を付けることができたと思います。

 良かった点の3つ目は、勉強会を効果的に使ったことです。まず、私の場合はとくに、1人で勉強していると、自分の間違いや偏った考え方に気づかないことが多いので、友達と議論することによって、このような点を修正することができました。勉強会の友達は、わたしの間違っている点をいつも的確に指摘してくれたので、大変助かりました。また、友達の良い点を吸収できたことも勉強会をやって良かった点のひとつです。友達は、計画性・法的思考能力・情報収集能力などの点でとても優れていたので、そういう友達のよいところを積極的に盗むようにしていました。勉強会の友達とは、お互いに足を引っ張り合うことなく、どんどんお互いを高め合える関係を築けたので、その点はとてもよかったと思っています。

○受験対策の悪かった点(反省点)
 悪かった点ですが、まず1つ目として、受験に向けた勉強を開始するのが遅かったことが挙げられます。上述のように、受験を意識した勉強を始めたのが、L3に入ってからだったので、L2の時期からもう少し意識的に勉強していれば、もっと余裕を持って勉強することができたと反省しています。

 悪かった点の2つ目ですが、択一対策が不十分だったことです。私の場合、もともと論文で点を稼ぐ戦略をとっていたので、択一対策はあまり力をいれてやりませんでした。確かに現在の配点だと、択一の点数がある程度低くても合格は可能だし、最終的な順位にもそんなに大きな影響はないのかなと思います。ただ、最近お会いした弁護士の先生がおっしゃっていたのですが、択一が悪いと瞬発力がないという印象を受ける、とのことです。どういうことかと言いますと、将来弁護士になった場合、電話で法律相談を受ける機会があると思うのですが、その際に、何も調べなくても基本的な知識がパッと出てくることが必要で、択一が苦手だと、そのような瞬発力に不安が出てしまう、ということです。なので、将来のことも考えると、択一に関しても、やはり上位を目指して勉強すべきだったと感じています。

○皆さんへのアドバイス
 以上で、今日予定していたお話は終わりですが、最後に、みなさんへのアドバイスを2点ほどお話します。

 まず、直前期の時間の使い方についてです。直前期は、受験への焦りで、火事場のバカ力を発揮することが可能です。私自身、自分でも、直前2、3か月で相当力がついたと思います。ですから、直前期のがんばり次第では、十分に逆転は可能なので、最後まで諦めないで全力で勉強してください。

 次に、受験当日のことですが、新司法試験は長丁場で書く分量がとても多いので、ほとんどの方が何かしらミスをすると思います。実際、私も、大きなミスだけで4つほどしています。ですが、全科目で完璧な答案を書ける人はほとんどいないと思いますので、何か大きなミスをしてしまっても、1つ2つのミスで落とされることはないので、どうか絶望しないで、最後まで粘ってみてください。

 それでは、これで私のお話は終わりです。どうもありがとうございました。

◆編集後記

 今回は新司法試験の合格体験談・第4弾をお送りしました。掲載にご快諾いただいた荒木さんに、心から御礼申し上げます。

 法科大学院での授業内容を理解することは、特に法学未修者には相当な負担になるものと思います。そんな方が進学前にぜひ読んで欲しい本を「東北大学法科大学院に進学する法学未修者の皆さんへ」として紹介していますので、是非ご覧ください。
http://www.law.tohoku.ac.jp/lawschool/info/100209-mishu.html

 また、法学既修者の皆さんにも、入学前の準備といたしまして、基幹科目の授業によりスムーズに取り組めるように是非行っておいて頂きたいことを「東北大学法科大学院に進学する法学既修者の皆さんへ」として紹介しております。是非ご覧下さい。
http://www.law.tohoku.ac.jp/lawschool/info/100209-kishu.html

(杉江記)

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発行:東北大学法科大学院広報委員会

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