東北大学法科大学院

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東北大学法科大学院メールマガジン

第51号 12/25/2009

◇平成21年度(2009年度)東北大学法科大学院DVDについて

 東北大学法科大学院DVD「『優れた法曹』を目指す!」が、当大学院のウェブサイトに掲載されました。
 東北大学法科大学院の教育内容や施設、講義、演習等の授業風景などが盛り込まれております。
 皆さん、是非ご覧下さい。
http://www.law.tohoku.ac.jp/lawschool/gaiyou/movie/

◇トピックス−連続講演会 その6

 去る8月30日(日)に、高橋彩裁判官(仙台高等裁判所)、藤田祐子弁護士をお迎えして、講演会「法曹としてのキャリアプラン、ライフプラン」が開催されました。前回の高橋彩裁判官のお話に続いて、今回は、藤田祐子弁護士のご講演の概要をお送りします。
 ご講演では、藤田祐子弁護士のこれまでのご経験、弁護士の仕事、ライフプランについて詳しくお話し頂き、質疑応答も活発なものとなりました。

法曹としてのキャリアプラン、ライフプラン

藤田 祐子 弁護士

 こんにちは、藤田祐子です。平成14年に弁護士登録して、8年目になります。最初は、横浜弁護士会で弁護士をやっていました。横浜で4年半やったところで仙台に来まして、仙台で今4年目になります。

 横浜で就職したのは実務修習地が横浜だったからです。これまでずっと仙台で過ごしていたので仙台が故郷だという感覚はすごくあったのですが、初めて違う街にいって修習をしてすごく楽しかったので、横浜で仕事をしたいと思いました。そのうち故郷で仕事をしたくなり、また、私自身の母親が仙台で弁護士をしていて今一緒にやっているのですが、当時母が事務所を新しくするということもあり、仙台に戻って一緒にやろうと考え、戻って来ました。もともとずっといた土地なのでいずれ仙台でやりたいという気持ちはあったので、横浜で何年かやって、そこでそのまま独立するか仙台に戻るかどうしようかなと思っていたところ、いい機会だったので戻ることにしました。

 弁護士の一般的なライフプランですが、司法試験に受かったら修習をして、事務所を選んで就職というのが一般的です。弁護士になるときに一番大変なのは就職だと思いますが、やはり東京の事務所に入るのか、地方の事務所なのか、地方でも大都会、仙台や横浜は大都市ですが、それ以外の東北の、例えば、仙台以外の都市か、弁護士の数が1〜2人や数える程度しかいない支部なのかで大分違うと思います。また、企業法務や渉外系の東京の大きな事務所は、弁護士全体の仕事のイメージからみるとかなり違います。仕事内容が特徴的で、渉外や企業系の事務所はその分野しかやらないという事務所も非常に多いですし、勤務時間も普通の事務所と相当違うので、渉外企業法務に行くか、もしくは、一般の民事や刑事を扱っている事務所に行くかでも大きく違うと思います。

 ごく普通の一般的な事務所では、民事もやる、刑事もやる、家事もやる、企業の事件が来たら企業の事件もやるというような何でもやるという事務所が非常に多いと思います。渉外、大企業系の大事務所は東京と大阪以外にはなく、仙台にもそういう事務所はありません。ですから、東京もしくは大阪で大型事務所に入るか、それ以外は、だいたい一般の事務所ということになると思います。事務所毎の仕事の内容がどう違うかですが、その事務所もしくはその事務所のボスの特色ということになると思います。ですから、地方だからということではなくて、事務所がどういう案件を好んでやっているか、例えば、労働系を多くやっているとか、どちらかというと企業系が多いとか、行政をやるとか、家事が多いとか、刑事が多いとかは、事務所もしくはボスの特色ということだと思います。

 私は、横浜から仙台に移ってきたのですが、正直なところ、仕事の内容というのはそんなに大きくは変わりません。一般民事、刑事、私自身が少年事件にかなり興味をもって昔からやっていますので、少年事件の割合が人より少し多いのですが、それは横浜から仙台に移ってきてもほとんど変わっていません。

 横浜にいたときは、ボス弁がいる事務所にイソ弁という形で入っていったのですが、そのボスというのは官僚を10年した後に、司法試験を受けて弁護士になったという経歴の方だったので、その事務所は行政事件が比較的多い事務所でした。それが特色で、横浜時代は行政事件を多めにやっていました。

 仙台に移ってきてからは、母と一緒にやっているということもあって、家事事件がすごく多くなっています。家事事件というのは、離婚とか親権とか養育費とかですが、女性の弁護士の場合は、渉外や大企業系にいかない限りは、女性の依頼者がどうしても多くなるので、他の民事よりも家事の割合が高くなるのが一般的だと思います。これは、横浜と仙台の違いというよりは、事務所の形態やボスの違いだと思います。もちろん、横浜でも家事の案件をたくさんやっている事務所もありますし、仙台でも行政や色々な企業の法務をやっている事務所もあります。

 弁護士の場合、特に我々くらいの世代までは、(最近は弁護士の数が多くなっているので同じかどうかわからないのですが、)何年かしたら独立することは地方ではごく普通のことでした。私の同期、横浜時代の同期も、仙台時代の同期もほとんど独立しています。独立しないのは、もともと独立するのを予定していない事務所に入ったか、もしくは、私のように親族とやっているというような場合で、だいたいは5〜6年目で独立を考える方が多いような気がします。

 独立して自分で事務所をもちますと、自分の依頼者や、自分がどのような委員会で仕事をしているかによって仕事の内容が変わってくることもあります。要するに仕事内容は、事務所毎、ボスのいる事務所であればボス、自分の事務所であれば自分の好みや環境でどういう仕事をやるかというのがだいたい決まるのだと思います。自由業なので、あくまで自分の興味や関心で仕事ができるというのが原則だと思います。

 弁護士会の差でいうと、私は横浜と仙台しか知らないので、それ以外のところは話に聞くだけでしかわからないのですが、まず東京は3つの弁護士会があります。東京以外のところは1つの都市に1つというのが普通です。東京はやはり桁外れに規模が大きく、弁護士会にいる人数が地方とは比べ物にならないくらい非常に多いので、弁護士会の雰囲気も違うと思います。仙台と横浜の差ですが、弁護士会の規模でみると、横浜の場合私がいたときで700人くらい、今はもう1000人になったのではないかと思います。一方、仙台は、私が来た時に200数十人で、今は300人くらいだと思います。規模が違うと何が違うかですが、その同じ会の弁護士同士で、顔がみえるか、知り合いになれるかということがあります。東京ですと、同じ弁護士会にいるというだけでは知り合いになる、縁ができることはほとんどないのですが、仙台ですと300人くらいなので、仙台弁護士会の人の顔はだいたいわかりますし、同業者の知り合いができやすいと思います。

 新人に対して会全体でバックアップするかどうかは、実は、小さい弁護士会の方が親切だと思います。このことは私の修習時代から言われていましたが、小さい会の方が会員や修習生に対して手当が厚い傾向にあります。東京の事務所ですと、必ずしも渉外や企業でなくても、1つの事務所に10人規模で弁護士がいるところがあります。そういった事務所に入ると複数の弁護士と知り合いになり色々な意見を聞けることも多いのです。それ以外の地方ですと、せいぜい3〜4名、もしくは1人のボスの事務所に入ることが非常に多いので、事務所だけで何人も弁護士の仲間がいるという形にはなりません。そうすると、自分が入った事務所以外の弁護士と交流していくことが必要になります。最近は、一期に入る方がとても多いので同期会が充実しています。一般的には、直接収入にはつながらないのですが、本業以外の委員会、弁護士は社会正義を実現するという名目の下に色々な委員会を作って活動をしているので、その委員会に入って先輩弁護士とのつながりを作ったり、例えば、肝炎の弁護団、粉塵訴訟等の弁護団に入って、その中で弁護士の仲間を広げていくというのが一般的な形だと思います。

 弁護士というのは何といっても自由業なので、人によってもしくは事務所によって仕事の環境も差が大きいと思います。先程も言ったように、渉外や大企業系の事務所はかなり特色的で多分時間的な拘束も非常に大きいと思いますが、一般的な事務所では必ずしもそうではないので、家事や育児と両立したいというのは、一般的にはそんなに難しいことではないと思います。女性特有になりますが、産休や育休をとることに関しては、私の感覚では、弁護士はかなり自由にとっていると思います。同期の友達で、東京、横浜、仙台に限らず日本全国あちこちで登録した人も、就職してから今までの間に、結婚、出産、育児を経験している人は非常に多いのですが、休みがまったくとれなかったとか、思ったより取れなかったとかという話はほとんど聞いたことがありません。

 また、弁護士は資格がなくなるということはないので、出産や育児の間休むとか、もしくは、子供が小さいうちはパートタイムで仕事をするということもかなりできます。仙台弁護士会の同僚や同期の話をみても、出産や育児で苦労したという話はそれほど聞いたことがありません。ただ、渉外事務所に就職した同期で、忙しすぎて結婚のタイミングがなく結婚しても出産ができないということで、思い切ってやめてしまい、一般の民事の事務所に入って結婚したという話は聞きました。仙台ですと、特に夫婦同業者で育児を問題なくしているという方は非常に多く、また、地方の弁護士会は弁護士同士の繋がりができやすいので、委員会の合宿に家族ぐるみで参加したり、子供さんを連れて委員会に来たりという方もいます。

 また、女性の弁護士が、出産をする、育児をするというのは、業界としては当然だという風にみています。例えば、イソ弁の女性が結婚します、出産しますとなったときに、それを理由に、ボスがいきなり首を切るというのはほとんど聞いたことがないです。それをきっかけに、自分から事務所をやめて、独立するということはあるかもしれませんが、産休や育休を取らせてくれないということで揉めたというのはあまり聞きません。ただ、これも東京の大事務所の場合は違うので、どうしても東京の事務所に就職したいという方の場合は、状況が少し違ってくるかもしれません。

 ロースクール制度になってからですが、年間に弁護士になる方がとても増え、就職者もとても増えているので、今までのように個人の顔をみて事務所を選んでということが、かなり困難になってきているようです。新人の方にきくと、東京では弁護士が溢れがちで、就職時の条件の悪化が特に東京を中心に起こり始めているかもしれないと言われています。ただ、現実的な感覚としては、仙台では、育休や産休が取得できるかということを就職時に懸念しなければいけない程の状況ではないと思っていますが、これは地方や事務所によって事情が違うかもしれません。

 弁護士をやっていて最大の魅力として思うことは、自由であるということです。自由業なので、すべての責任が自分にある、それが魅力であり一番辛いところでもあります。非常に大きな事務所であったり、ボスがいたりという局面では、その事務所の方針やボスの意向に従うことはもちろんあると思います。ただ、弁護士として名前を出すのは自分自身の責任ですから、ボスがこういったので私は書面を書いたけれども責任はとりません、ということには当然ならないわけで、弁護士として登録したその瞬間から自分自身の責任で仕事をするということになります。仕事に関して、弁護士登録したその瞬間、極めて初期のうちから自己決定権をもっていますし、自分で決定しなければいけないということがこの仕事の特徴といえると思います。それは多分、検察官でも裁判官でも同じだろうと思います。

 弁護士の仕事の決定的な魅力としては、当事者と一番近いところで触れあえる、話し合えることだろうと思います。1つの事件がこれだけあるとすると、弁護士の目からみると、訴訟や裁判になるのは、ほんの一部です。裁判所に出訴するためには、たくさんある当事者の言い分を整理して出さなければいけませんし、当事者が自分に言ったことを全部裁判官にいうわけにもいかないので、当事者と触れあって聞いた話や得た感覚を自分なりにまとめて、裁判官と話をしたり、検察官とやりあったりします。実際に裁判にならない事件も弁護士の目からいうと非常に多く、交渉だけで終わることもあります。刑事事件で、調書として裁判に提出されるのがほんのこれだけだとしても、本人は留置所の中でその百倍も話していたということもあり、それを全部聞いているのが弁護士なのです。弁護士は当事者の意向をどうしても気にしなければいけない、当事者のニーズをある程度重視しなければいけないというのはまさにその通りです。しかし、それが弁護士にしかできない魅力でもあると思います。

 実は、私は修習中裁判官に任官したいと思っていました。修習の順番が裁判所からだったのですが、私の指導担当の裁判官が非常に自由な方で、すごく楽しかったのです。私も是非裁判官になりたいと裁判所の修習が終わった時点では思っていたのですが、そのあと検察に行くと、検察官は、被害者や被告人に裁判所よりも早い段階で触れあうことになります。ただ、それよりも先に警察が調べをやっていたり、弁護士が先にやっていたりということで、検察官が会った時点でもある程度時間がたっています。さらにそのあと、弁護修習をしましたが、今までやってきたよりも前のこと、1つの事件全体がどれだけあるかを非常によくみることができて、私はそこが魅力だと思ったので弁護士になりました。それを魅力と思うかどうかは人それぞれの感覚だと思います。

 我々法律家というのは何か1つのことだけをやるということはあまりなくて、民事もやる、刑事もやる、家事もやる、少年事件もやるということで、色々な世界の人と知り合って、仕事の幅が非常に広くなります。さらに、弁護士の場合は、人との関わりの深さもかなり深くなります。ある業種の人と知り合うというだけではなく、非常に多いことですが、自分の会社のことで相談しに来たはずなのに、人生相談になったり、家庭の話を延々としたり、ということもあります。それが非常に辛いところでもありますが、やはり魅力の1つでもあると思います。私自身、一番やりがいを感じているところでもあります。

 弁護士というのは、肩書きとして付くのは、誰かの代理人、誰かの代理をするということ、刑事の場合は弁護人、誰かの弁護をする、少年の場合は付添人、人に付き添うということで、決して自分が主体になることはなく、最終的に自分の意向ではなく、誰かの意向ないし希望を、それに付き添ったり、代理したりして、それを語っていく、事件の解決を目指していくという仕事なので、依頼者との信頼関係は非常に大切です。もちろん話が合わないこともあり、そんなこと言っても無理だということで説得することとか、すごく反省していない被告人ですとほんとにカチンときて、説得が非常に必要になることもよくあります。ただ、それでも依頼者本人、当事者本人に一番近いところにいるという自負はありますので、それを代理する、付き添うというのが一番魅力のあるところだと、私個人としては思っております。

 そういう仕事を続けていく中で経験値を上げていくことになりますが、自由業ですので、出世を意識するとか、弁護士として大きくなるということをあまり考えたことはありませんし、弁護士としてはそれが普通のことだと思っています。もちろん、イソ弁から独立開業するとか、東京等の事務所でアソシエートだったがパートナーになるとか、そういう立場の変化というのはありますが、それはたぶん出世ということではないだろうと私は思っています。何年かやっていて立場が変化すると、一般的には自由度が増すということはもちろんあると思います。私自身、横浜のボス弁のところで仕事をしていたときよりも、仙台に来て母と一緒にやるようになってからの方が、休みはずっと取得しやすいです。現在はかなりの長期休暇もとっていますし、基本的には土日は休んでいます。若い方たちの仕事をみていても、土日両日とも休めないとか、休暇がまったくないというような話はあまり聞きません。

 弁護士の仕事というのは、今はまだ実際のイメージがわかないかもしれませんが、すごく幅が広いので、その中から自分は何に興味があるのか、自分が何を一番実現したいのかという指針を持ってやっていく方がいいと思います。委員会も色々あります。委員会活動を全くしない、できないという方もいますが、やはり委員会は、本来のお金になる仕事から離れて、弁護士が社会活動として何ができるかということをそれぞれ目指して作っているものなので、委員会に入って活動すると、仕事の幅が広がると思います。

 現在皆さんはロースクール生ということで、実際に心に余裕があるかどうかわかりませんが、できれば学んでいる今のうちから、自分が一体何に興味を持っているかということを認識しておくのがいいと思います。最近は修習期間も短くなってきています。以前は2年間で、修習に入ってから自分の指導担当についてくれた方の影響を受けてということも多かったと思いますが、今は期間が1年と大分短くなっているので、修習に入る前に、自分の興味をぼんやりとでも持っておくと実務家になってから違うと思います。仕事が非常に幅広いので、自分の興味や関心を絞らないまま、いきなり新人として仕事に接してしまうと、目の前の仕事に謀殺されてしまい、結局自分の興味を絞れないまま、来た仕事を端からやっているということになってしまいかねません。なんとなくでも、自分が興味を持っておくことが、修習生、実務家になってからも、指針となっていいのではないかと思います。また、現在の皆さんの立場では、司法試験に受かることが第一だと思いますが、受かったらこれをしたいという気持ちを持っているのは、試験を受けるモチベーションという意味でも重要なことだと思います。

 具体的なご質問事項として頂いたことですが、弁護士事務所間の転職というのはどの程度あるかということなのですが、仙台では、イソ弁先の事務所を転職するという例はそれ程なく、比較的珍しいです。就職して何年かしたら独立するという形が一番多く、もしくは、その事務所のパートナー、その事務所のボスと一緒に共同経営者になるという形が多いので、転職をしたというのは仙台ではそれほど聞きません。ただ、東京や横浜では、転職はある程度あります。やはりこれも弁護士会の規模、事務所の大きさの問題だと思います。

 また、裁判官になって、出産、育児をしてから弁護士になるということについてですが、私もお勧めできません。弁護士になりたいのであれば、最初から弁護士になった方がいいと思います。裁判官と弁護士とではかなり仕事の内容が違いますから、裁判官を何年かやってから弁護士になると、その何年かはあまり活きないし、弁護士としては同期から出遅れることになります。自分の強い意志や必要があって途中で弁護士になるというのならともかく、弁護士になろうと思いながら任官するというのはどちらの仕事に対してもプラスになることではないと思います。

 東京の就職活動で産休や育休がとれずに、1ヶ月で復帰してほしいという事務所が多いというようなご意見がありましたが、東京でそういうことになっているというのは非常に残念だと思います。しかし、これは交渉次第だと思います。弁護士の就職というのはそれ程厳密に、雇用条件を決めて雇用するという形ではないので、就職後に交渉して、どうしてもダメだったら、独立開業というのも選択肢として常にあると思います。確かに、独立開業自体がかつてに比べて難しくなってきているのではないかという面はありますが、そこは覚悟の問題だと思います。何といっても資格を持っている自由業ですし、ある程度覚悟を決めて、委員会や弁護団の活動で、色々人脈を作って仕事を広げていこうと思えば、独立開業がどうしてもできないというわけではないと思います。特に地方であれば、そのような方たちに対して援助しようという姿勢もあります。

 仙台でも、一番新しい期が61期、その前が60期ですが、60期、61期でも自分の事務所を持ったという方も、それぞれ一人ずつくらいいます。また、支部では、弁護士が数人しかいないので、そこで開業することは通常大歓迎です。仙台弁護士会でも、ここ数年で若手の弁護士が来る公設ひまわり事務所が宮城県内で気仙沼、登米、栗原、角田に4つできて、ずいぶん歓迎されています。資格を持って自由にやっていきたいと思えば、覚悟次第でできますので、現在でもいろいろ方法はあると思います。

 これで私のお話は一応終わらせて頂きます。もしご質問がありましたらお答したいと思います。

質1:自分の興味ということを強調されていましたが、それをどうやって見つけましたか?委員会活動としてどのようなものに入って、どのような活動をしていますか?
答1:無理に興味を見つけるとか、決めておかなければならないということでは全然なく、日常生活をしている中で何か気になることは誰でもあると思います。皆様はロースクールを選択したわけですから、社会的に何らかの興味あることをお持ちだと思うので、そういうことにこだわりを持つのはいいことだと思います。私の場合は、現在子どもの権利委員会に入っていまして、少年問題、少年の犯罪だけではなく、学校問題とか、子供が自由でいるかどうかについて非常に興味があります。それは、私自身が子供だった頃から、例えば、不良の友達がいるとどうして不良になってしまうのだろうとか、言い分のあるアウトローの子供たちの話を聞いてみたいと思っていたからです。今私が入っている委員会は、子どもの権利と、憲法、刑事弁護の委員会です。興味を見つけるために何かをやるというよりは、日常生活の中で気になることがあったときに、それを法律家になったときにどういう風に見るかという視点をもつということでいいと思います。
質2:就職する事務所はどのようにして決められましたか?
答2:私が横浜で決めたのは、修習中に、あそこの事務所は一人採用することを考えているらしいという噂を聞いて、同期4人くらいで事務所訪問しました。その事務所にはボス弁と兄弁がいたのですが、最初お話や食事をして、私はボス弁と兄弁の話と感覚が合うと思いました。それで、また重ねて訪問して、就職が決まりました。就職を決めた決定打としては、ボス弁が非常に自由にさせてくれたこと、もちろん事務所の事件はきっちりやってもらうが、それ以外は自分個人で事件を受けるのは全然構わないということで、かなり寛大なボスだったことでした。ほんとに一期一会という感じでした。
質3:弁護士会毎の特色があるみたいですが、地方間の弁護士の移動は容易でしょうか?事務所の移動について、一般民事の事務所から渉外系の事務所への転職というのは可能でしょうか?
答3:まず、事務所間の移動ですが、一般民事の事務所から渉外系の事務所に入ったという話は私は聞いたことがありません。渉外事務所の場合、有望な新人をどんどん採用するという感じがあるので、何年か違う畑でやっていた者を採用するという例はあまり聞いたことがありません。逆の場合はあります。弁護士会の登録替えは結構あります。仙台弁護士会で私の同期は今7人いますが、7人中3人は他の地域からの登録替えです。弁護士会の登録替え自体は全然困難なことではありません。
質4:これから法曹人口が増加していく中で、新人が営業していくことの難しさをどういう風に考えていますか?
答4:ボランティア的に行っていた無料の法律相談や当番弁護士について、今まではあまりお金にはならないが弁護士としての義務だからということでやっていましたが、最近では、若い方たちが、僕が代わりますとか、私が行きますとか、仕事のきっかけを欲しがっているのかなという気もします。営業をしなければという意識が最近の若い人には多少強くなってきているのかなということは私も感じます。ただ、営業の必要はありますかと質問されると、事務所や仕事の内容にもよるので、お答するのは難しいです。実感としては、若手の方にはそのような意識があるようだと思いますが、私自身としては、弁護士としてやっていくために特別な営業をしなければというところまでは考えていません。これから必要になるかもしれないなというくらいの感覚しか今はありません。
質5:他種業とのお付き合いはありますか?あるとしたら、どのような状況で接するのでしょうか?
答5:仕事上の付き合いということでは、一番多いのは依頼者です。一般的に、仕事をしていて関係があるのは、例えば、税理士の方、医療過誤の事件をやっていると医者の方との付き合いは深くなりますし、子供の権利をやっていると教育関係の人、学校の先生、保護司の方、子供の更生保護に関わる方たちとの付き合いが多くなるということがあると思います。仙台では、女性法曹、法律実務家だけではなく大学の先生とも懇親会をやったりもしています。あとは、職業上でなければ、色々研鑽を積むという名目で遊びに行くのは自由なので、社会人としてどんなところに行って、どんな活動をするのも自由だと思います。
質6:弁護士としてやってきてよかったと思うことは何ですか?色々な人と接する場面で、女性であることで危険を感じたことはありますか?
答6:女性であるから危機を感じたというわけではないのですが、例えば、男性の被告人に接見に行った後、熱いラブレターみたいな手紙が届きまくったということがありました。残念ながら、依頼者や相手方から逆恨みをされてしまうような例もあります。ただ、女性ということで非常に危機を感じたとか、ハンデを感じたということはありません。逆に、女性ということで少し得をしたかなということはあります。弁護士をしていてよかった点としては、一般論ですが、感謝されると嬉しいです。私にとって非常に印象深いのは、少年事件で少年院にいった少年がそのあと自分がどういう人生を送っているかという手紙を2年に1度くらい送ってくれたりとか、事件の終わった後に当事者の方から手紙をもらったりしたことがありました。また、昔の依頼者の方が、他の方を紹介してくれることもありますが、自分の仕事が評価されたからだろうと思うと少し嬉しいですね。

◆編集後記

 今回は、連続講演会「法曹としてのキャリアプラン、ライフプラン」の概要(その2)をお届けしました。講演概要の掲載にご快諾いただいた藤田祐子先生に心から御礼申し上げます。

 仙台では、光のページェントも始まり、アーケードの飾り付けも華やかなものとなりました。今年も残りあとわずかです。健康に気をつけて、どうぞ良い年をお迎えください。

(杉江記)

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発行:東北大学法科大学院広報委員会

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