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東北大学法科大学院メールマガジン

第4号 07/15/2005

◇入試情報

 平成18年度入試の募集要項を掲載中です。
http://www.law.tohoku.ac.jp/lawschool/info/boshuyoukou.html

◇教員エッセイ

 今回は,弁護士としてもご活躍されている佐藤裕一教授のエッセイをお送りします。

ローヤリング講義のひとこま
    −緑の美しい片平キャンパスから−
教授(実務家教員)佐藤裕一

 ローヤリングという講義は法科大学院が始まるまでは、どこの大学の教室でも教えられていませんでした。われわれ弁護士を初めとする法律実務家は,法律相談の面接技術、相手方との交渉技術、紛争解決手段の選択、訴訟の遂行戦略等を,現実に仕事をしていく中で日々習得していたのです。まさにオンザジョブトレーニング 【on-the-job training】でした。

 それが新しい法律実務家を養成する法科大学院においては、理論と実務の架橋を象徴する科目として脚光を浴びることになったのです(ちょっと手前味噌かな?)。ローヤリングというのはこうした事情から耳に新しい言葉なのですが、私なりには「法律相談や交渉などを始めとして、紛争解決や権利実現のために必要な法律家としての実務的なスキルの養成を目的とした講座」と定義しています。今年4月から一週間に2コマ,ローヤリングの講義を担当しています。学生は1コマ9名で、議論するにはちょうど良い人数です。

 先週は法律相談の模擬演習を3ケースについて実施しました。その内の1ケースは相続の放棄と熟慮期間の問題に生命保険金の取得を絡めた問題でした。私の事務所のスタッフが相談者役になり、学生が弁護士役になって質問したり回答したりするのです。弁護士役なんて学生にとっては初めての経験でしょうが、なかなか堂に入った対応ぶりで感心しました。今週は男性医師に対する婚約不履行を理由とした損害賠償請求の内容証明郵便起案を課題としていたのですが、今も私の法律事務所に学生から次々とメールで起案が送られてきています。150万円しか請求しないという起案もあれば,1億円請求するという起案もあるので、教室での活発な議論が予想され,楽しみです。

 ローヤリングの講義では様々な具体的事例を数多く設定して、その解決策を検討します。実務的なスキルといっても勿論その基礎にはしっかりとした法的知識と思考が必要であることは言うまでもありません。学生の皆さんも毎回,事例に即した判例や学説を下調べして講義に臨んでくれています。

 東北大学法科大学院ではL1科目としては民法、刑法に代表される基本科目を必修とし、L2科目は研究者と実務家の共同による実務民事法、実務刑事法、実務公法を必修としています。またL2、L3科目としては知的財産権や企業課税論などといった専門性の高い展開・先端科目も準備されています。研究者も実務家も皆、情熱に溢れています。皆さんも東北大学法科大学院の緑の美しいキャンパスで学んでみませんか。何年か後に、同じ法律実務家として法廷で相見えることができることを楽しみにしています。

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発行:東北大学法科大学院評価広報委員会

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