東北大学法科大学院

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東北大学法科大学院メールマガジン

第39号 11/30/2008

◇「修了生との懇談会」の実施報告

 去る平成20年11月10日(月)午前,東北大学片平キャンパス・さくらホールにおいて「修了生との懇談会」を行いました。本法科大学院を卒業し,本年度の新司法試験に合格した4名の方々にご講演いただいたのち,在学生との間で活発な質疑応答が行われました。ご講演いただいた皆さんに心から御礼申し上げます。

◇新司法試験,合格体験談

 上記「修了生との懇談会」における講演の概要です。今回は1人目として,坂本仁さんの合格体験談をご紹介いたします。掲載にご快諾いただいた坂本さんに,心から御礼申し上げます。

坂本 仁

○はじめに
 坂本です。2007年,東北大ロースクールを卒業しました。今日は,皆さんの貴重な勉強の時間を割いてお集まり戴いておりますので,私の体験談が(良い意味でも悪い意味でも)何らかのお役に立てればと思っております。

○一年目の失敗
 私の場合,一年目は受験準備が全体的に遅れてしまいました。年明けもまだ択一中心となってしまいましたし,答案も全くといっていいほど書いておりませんでした。論文を書くということはひとつの技術のようなものですから,体を使った鍛錬で覚えるということが大事だと思います。また,択一は年明けの勉強が必要でないくらい,年内のうちに完成させておくという姿勢が必要であると思います(択一は重要です)。

 また,規範や判例,論証の暗記が大事だということについて,先輩から言われていた「現場思考」ということを自分で勘違いしており,十分な準備ができていなかったように思います。「現場思考」は,正確な知識に基づいて出なければ,十分には発揮されません。規範や判例の暗記,論証の大体の記憶は,基礎として必要不可欠なものと思われます。勉強会などに参加せず,他人と議論するという機会がほとんどなかったことも反省点です。

○二年目の反省
 二年目は,合格者の話を聞いて,そのメンタリティ・勉強法を「盗む」ようにしました。いろいろな人の話を伺って,彼らの共通点やエッセンスを参考にするようにしたのですが,そのうちの一つとして「計画性」が挙げられます。ある社会人学生だった方から「試験とは納期である」と言われたのは参考になりました。

 ただ,計画的とはいっても表を作るだけでは無味乾燥なので,目標達成したら合格印をつけるなどの遊び心も加えて,モチベーションが持続するようにして,ノルマ達成と,その達成を喜ぶ心を大事にしました。

 勉強法については,試してみないと分からないという面もあり,人によってスタイルも各々なので,一概に「これ」ということは難しいと思います。自分に合わない場合は,スパっとやめる勇気も必要ではないでしょうか。

○論文の書き方について
 論文の書き方について,二年間の受験勉強時代に感じたことを書きます。参考意見として使用していただければ幸いです。

*「事実」の扱い方
 事実は大事です。問題文の中の事実は,全部意味ある事実です。重要な事実,必要な事実,本件においてはそこまで重視されない事実,という意味で,それを見分けられるかどうかが問われているのだから,「本件においてそこまで意味のない事実」も,そう見分けなければならないという点で重要です(注意して読まなければなりません)。

 事実には評価付与が必要です。この評価というものは,あいまいでよく分かりにくいのですが,自分は≒「形容詞の付与」のことだと(もちろんそれが全てではないが)理解しました(例:危険な,高価な)。

 自分に都合のいい事実ばかりではなく,不利な事実も拾って,弾劾・減殺する(ここは評価を駆使)など,通底する認識としては,事実は多く拾えば拾うほど良いのではないでしょうか。ただし,あまり意味のない事実について,何とか説得的にしようとこじつけて厚く書かないように(そのためには,事実の重要・不要を最初に見分けた後,判例の事実をよく吟味して,それと比較する形になるのではないでしょうか)。

*小説を書くというよりも報告書を書く
 司法試験は実務家登用試験であり,「独創性」や「豊かな文章表現力」を争うものではありません。問われているのは「(法律的思考を前提とした)事案解析能力」,「法律解釈を通じての問題解決能力」「その問題解決方法を,わかりやすく提示する能力」だと思います。

 面白い文書を書きたいという希望は誰しも持っているものだと思いますが,ここは試験だと割り切って,文章自体の面白さは追求しない方が無難だと思います。むしろ,理路整然としているという意味で,つまらなければつまらないほどいいという可能性もあると思います。

*後輩(法律の初学者)に勉強を教えるつもりで書く
 相手を初学者(もしくは法律の素人(依頼者))であると仮定して書く視点が重要になってくると思います。とすると,簡潔に,整然と,わかりやすく書くということが求められると思います。ごちゃごちゃしているとわかりづらいですし,発展的論点の大展開や,自己がわからない論点についての独自の理論による強引な解釈は,求められていないと思います。

*「分解」と「組み立て」,これに尽きる
 問題文を読んで,どの点が問題となっているのか,論点は何かということが分かる,すなわち問題文を個別に分解するのが第一段階。論点が分かったら,自己の持っている法律知識と,問題文の具体的状況を吟味して,文章として「組み立て」ていく段階が第二段階。この点,組み立ての材料となる「自己の法律知識」は事前にまとめて整理しておくことが重要であると思います。「自己の法律知識」≒「論証」や「規範部分」と解することができると思います。新司法試験は「現場思考」も大事ですが,論証をその場で一から練っていたのではとても時間が足りません。「現場思考」は,問題文の具体的状況の理解及び,「自己の法律知識」との対応関係,コンテクスト,が分かっているかどうか,これを踏まえたうえで問題文に合う形に前もって用意していた「自己の法律知識」を修正できるか,といった形で問われるのだと感じます。

*答練はガチンコで
 本番は,参考答案など見ることができない,ガチンコです。なんのかんので,ガチンコで書いた枚数が実力に反映していくのだと思います。本番は本当に逃げたくなりますが,同じ状況をできるだけ再現して体験して,それを克服する姿までイメージトレーニングすることができれば,本番でも,比較的焦らず,頭が真っ白になったりしないで済むのだと思います。

*フラットな視点
 何事も決め付けはNGだと思います。自分にとって常識と感じられることが,他の人にとってとてもイレギュラーな発想であるという場合もあるからです。原告被告両者の中間に立ったフラットな姿勢が大切だと思います。

*こまめにチェック
 論文の能力は短答の能力ほど明確には上がっているのかどうか分からないものです。そして,上がっていないと感じてしまうと,勉強の指針にもぶれが出てしまいますし,自信も身につきません。そういった状況を回避するために,論文答練や勉強会での交互採点,模試等をこまめに行い,自分の能力の上下を確認していくことが必要だと思います。

○まとめ
 イメージトレーニングをしっかりしておくことが大事だと思います。私の場合,1年目の択一は睡眠不足で散々でした。また,コンディションは揺らぎますので,低調であっても対応できるよう,常に「先行する」という心構えも重要です。

 また,基本は判例をよく理解しておくことです。百選を活用したりして,読んでおくこと自体が自信につながるという側面もあると思います。

 これから寒い季節になりますが,体に気をつけて頑張って乗り切ってほしいと思います。今日はありがとうございました。

◆編集後記

 暦のうえでも冬となり,冷たい風に雪が舞うような時季となりました。
 法科大学院入学試験は,去る11月22日(土)に第2次選考試験が行われました。今後は12月8日(月)に第2次選考合格者発表,12月14日(日)に第3次選考試験(面接試験)が実施され,最終合格者発表は12月24日(水)の予定となっています。

 本号より,新司法試験の合格体験談を逐次ご紹介したいと思います。今回の掲載にご快諾いただいた坂本さんに,心から御礼申し上げます。

(平塚記)

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発行:東北大学法科大学院広報委員会

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