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東北大学法科大学院メールマガジン

第3号 06/16/2005

◇平成18年度入試・第二次選考・東京会場設置のお知らせ

 東北大学法科大学院は,平成18年度入試の第二次選考(11月27日(日))において,東京会場を設置することを決定しました。会場は,お茶の水女子大学(東京都文京区大塚2-1-1)です。なお,第三次選考(面接)の会場は東北大学(仙台)にのみ設置されます。

◇法科大学院オープン・キャンパスのお知らせ

 7月3日午後に法科大学院オープン・キャンパスが開催されます。入試制度やカリキュラムの説明、募集要項・パンフレットの配布のほか、模擬授業や教員・在学生との懇談会も予定しています。
 詳しくは下記のサイトをご覧下さい。

http://www.law.tohoku.ac.jp/lawschool/info/050703-opencampus.html

◇説明会のお知らせ

 8月6日に仙台で開催される入試説明会のポスターがアップされました。下記のサイトをご覧下さい。

http://www.law.tohoku.ac.jp/lawschool/info/050806-notice.pdf

◇教員エッセイ

 今回は,弁護士として幅広く活躍しながら,本学法科大学院でもその豊富な経験を生かした教育を行っている官澤里美教授のエッセイをお送り致します。

東北大学法科大学院での勉強は何のため?
―法曹倫理の授業の1コマから―

学生A 「先生、法科大学院では法曹倫理のように新司法試験の科目でない科目がたくさん開講されていますけど,どうしてこんな科目を勉強しなければならないのですか?
―  皆さんが法科大学院に入学したのは新司法試験に合格するためだけなんですか?
学生A 「私は国際取引に関係してバリバリ活躍する弁護士になりたいからです。
学生B 「私は弁護士がいない故郷で弁護士になって困っている人たちを助けたいからです。
―  二人とも良い弁護士になって良い仕事ができるようになるのが目的ですよね。すると、相談に来た人に的確なアドバイスができないといけませんよね。例えば、皆さんが弁護士になって早々、以前から親しくしていて近日中に顧問契約を結んでくれるガソリンスタンド経営の社長から『取引先のタクシー会社の運転手から給料が3ケ月未払いとなって困っているとの相談を受けたんです。かわいそうなのでアドバイスお願いします。』という簡単な相談がきたらどうアドバイスします?
学生A 「私は早めに裁判を起こすようにアドバイスします。
学生B 「私はまず請求書を送って交渉するようにアドバイスするかな?
―  請求書を送って交渉や裁判を行っている間にタクシー会社の財産が無くなってしまったら裁判で勝ってもタクシー会社からお金の取りようが無くなってしまいますよ。そんなことになったら、運転手さんは費用のかけ損になってしまいますね。
学生A 「ではどうすればいいんですか?
―  実務では仮差押えを行って財産を保全するのが必須なんです。そのため新司法試験科目ではないけど民事保全法の勉強が欠かせないんですね。それから、どんな請求書を送ってどんな交渉をしたらよいか、これはローヤリングで勉強するんですよ。
学生B 「先生、よく考えたら運転手さんには給料債権の先取特権があるんですね。
―  うん、だから裁判は不要ですぐにタクシー会社の財産の差押えを行えばいいんですね。差押えまで視野に入れた的確なアドバイスができるようになるためには、民法などの基本法のしっかりした理解だけでなく,民事執行法の勉強も必要なんですよ。タクシー会社が倒産しそうであれば、倒産法についての知識も必要となるしね。
学生A 「いろいろな勉強が必要なんですね。
―  弁護士になるといろいろな相談が突然くることになるから、いろいろな分野について幅広い知識が必要なんですよ。だから、法科大学院の授業で無駄になるようなものは何もないんです。ところで、運転手さんが給料をなるべくたくさんタクシー会社から取れるように熱心にアドバイスして問題はありませんか?
学生B 「えっ、何か問題ありますか?
―  給料が未払いになっているようだと、タクシー会社はガソリンスタンドへのガソリン代金も滞納している可能性が高いですよね。すると、運転手さんとガソリンスタンドでタクシー会社の財産の取り合いになる恐れがありますね。運転手さんの相談を受けてアドバイスしたり差押えを行うことを引受けてしまうと、利益相反する関係となるのでガソリンスタンドの相談を受けたり顧問弁護士になったりすることができなくなる恐れがあるんですよ。また、既にガソリンスタンドからガソリン代金回収の相談を受けていたら、運転手さんから相談を受けるのはまずいことになってしまうんです。
学生A 「あっ、そうですね…
―  そのような弁護士として引受けてはいけない事件のことや、法曹はどんな心構えで仕事を行っていく必要があるかなどを法曹倫理では勉強してもらうんです。
学生B 「新司法試験の科目以外もしっかり勉強しないと良い弁護士、いや普通の弁護士にもなれないんですね。
―  そうなんですよ。東北大学法科大学院では、皆さんに良い弁護士・良い法曹になってもらおうと幅広い科目を取り揃え、先生たちも準備万端てぐすねひいて待っていますからしっかり勉強して下さいね!

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発行:東北大学法科大学院評価広報委員会

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