東北大学法科大学院

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東北大学法科大学院メールマガジン

第29号 02/14/2008

◇トピックス−メンタルヘルス講演会

 東北大学法科大学院は,文部科学省平成19年度大学改革推進等補助金(大学改革推進事業)により,高等教育機関における高度専門職業人等の一層の充実を図るための専門職大学院等教育推進プログラムの事業として「心理学的法曹実務教育プログラムの構築」と題して様々の事業を行うことになりました。

 この事業の一環として,心理学,精神医学と法学との連携にかかわる講演会・研究会が企画されています。今回は,去る平成19年12月12日(水)午後,片平キャンパス第4講義室において,林みづ穂先生(仙台市精神保健福祉総合センター,精神科医)をお迎えして行われた講演会の概要を掲載します。

「精神疾患の基礎知識 −統合失調症・気分障害について−」
     仙台市精神保健福祉総合センター 精神科医 林 みづ穂

◎はじめに

 私は,仙台市精神保健福祉総合センター(はあとぽーと仙台)で精神科医として勤務しております。今回は時間にしてはなかなか盛りだくさんな内容ですが,「2時間分の内容を一般向けに1時間10分で」という無理難題を,山元先生のキラキラ光る瞳に押されてついお受けしました(笑)。早速,始めさせていただきます。

 今後,精神疾患を患った者の方に関わることも結構あるのではないか,ということから,「精神疾患の基礎知識」ということで,今回は統合失調症・気分障害についてお話させていただきます。精神疾患についてはあまりお分かりにならない方もいらっしゃるかもしれませんので,非常に基礎的なことからまずはお話致します。

◎精神疾患の成因による分類

 精神疾患といいますと,例えば親の育て方とか,何かショッキングなことで心を閉ざしたり傷ついたりして病気になるのではないか,と考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。勿論そういうこともありますが,それだけが原因ではないことも多い,ということをはじめに知っていただくために,精神疾患の成因による分類を見てみます。内因性,外因性,心因性の3つです。

 このうち,外因性精神疾患は,頭部外傷後遺症など脳そのものがダメージを受けて起こる場合,内分泌疾患など身体の病気にともなって起こる場合,覚せい剤精神病など何か精神に作用する物質を体内に取り入れたことによって起こる場合が含まれます。また,心因性精神疾患には,PTSD(posttraumatic stress disorder,心的外傷後遺症),強迫神経症などがあり,その人の性格的な傾向にストレスや環境,出来事などが加わって起こります。

 そして,内因性精神疾患は,遺伝的なもの,脳の脆弱性(ぜいじゃくせい)などがいわれていますが,未だに原因ははっきりしていません。狭義の精神病というのは,内因性精神疾患である統合失調症および気分障害(躁うつ病)を指します。いずれにしても,精神疾患は単にストレスから起こるものだけではない,ということを理解して欲しいと思います。

◎統合失調症

 統合失調症は,内因性精神疾患のひとつで,原因は特定されていません。家系として,多く出る場合というのはあるようです。10代後半から30代前半に発病する場合が多く,しばしば慢性化することもあります。人種や性別を問わず一般人口の0.7〜0.9%におこるといわれており,決して珍しい病気ではありません。

○症状

 大きく分けますと前駆症状,陽性症状,陰性症状の三つがあります。前駆症状は前駆期にみられ,ある人とない人とがいます。前駆期は,2〜3日から2〜3週間くらい続きます。不安,抑うつ,不眠,活動性低下/亢進など,何となく普段と違う状態になります。ただ,この時点で病気と分かることはあまりありません。

 急性期に入ると,陽性症状が目立ってきます。幻覚(幻聴,幻視など,実際にはないものを知覚する),妄想(実際にはありえないことを信じ込む),思考障害(考えのまとまりが悪くなり,連合弛緩,滅裂思考などが起こる),自我障害(自他の区別があいまいになり,作為体験,思考奪取,思考吹入,思考伝播などが起こる)などがあります。なお,幻覚や妄想は,その存在自体もさることながら,それによって引き起こされる感情や,影響された言動による日常生活上の支障にも注目する必要があります。ちなみに,統合失調症によって粗暴な言動をとる人もいないわけではありませんが,一般人に比べると,ずっと少ないです。まじめで心優しい人が多く,犯罪の発生率も,一般人より少ないのです。

 このような陽性症状が出ると,大体の人は病院に自分で行くか,周囲の人に連れて行かれます。この時期に薬を飲み始めれば,良ければ1ヶ月,長くても2〜3ヶ月程度でだいたい治まってきますが,その頃から,陰性症状がみられ始めます。感情鈍麻,注意集中力の低下,自発性の低下,無為,自閉などがありますが,いろいろなリハビリテーション活動によってだんだん良くなるともいわれ,それに効く薬も出ています。

 以上のような症状について,病気の自覚がある場合も乏しい場合もありますが,自覚があるかどうかは,通院・服薬の継続に影響してきます。

○経過

 比較的急に症状が出る場合も,ゆっくりの場合もあります。特に発症年齢の若い方(10歳代以前)は,陰性症状が先行する場合が少なくなく,病気と分かるまで相当の日時を経過することもあります。

 前駆期・急性期の後は,疲弊期・回復期と続きます。周囲の人は,陽性症状が治まってきたため本人に以前のように活動することを求めがちになりますが,疲弊期はいわゆる病み上がりの時期ですので,休養が必要です。デイケアなどのリハビリテーション活動は,3〜6ヶ月程度たって回復期に入ってから行う方が望ましいです。

 以上の経過で良くなっても,病気の勢いが強まったり,服薬を勝手に止めたりすると,再発することがあり,再発を何度も繰り返すうちに慢性化する場合もあります。長い経過を見ると,統合失調症の患者さんのうち約2/3以上の方は完全に治癒するか,症状は多少残るものの社会生活が可能と言われています。近年,特に仙台市では,いろいろな社会資源,制度の充実などによって,地域で生活できる人の割合が増加しています。

○治療

 薬物療法が必須です。特に急性期は,たくさんの薬を必要とする場合があります。一般的に,疲弊期や回復期に入ると量を減らすことはできますが,再発防止のためには,服薬を自己判断で止めてしまわないように配慮しなくてはなりません。しばしばみられる副作用としては,眠気,ふるえ,動作の鈍さ,呂律の回らなさなどがあります。

 また,本人を支えながら病気の理解を深めていただく精神療法とか,環境調整も行われます。回復期にはリハビリテーションとして行う生活技能訓練(SST: social skills training),作業療法なども重要です。

○接し方

 統合失調症は,特に珍しい病気ではありません。皆さん自身や友人などがかかる可能性もあるわけです。また,近い将来,皆さんのもとを訪れる相談者が統合失調症の方で,幻聴や被害妄想を病気のためとは自覚できずに相談するかもしれません。ですから,とらえ方・接し方をここできちんと知っておくことが非常に大切です。

 @まず,本人の人間性を大事にすることが,あたり前ですが大前提です。Aまた,幻覚や妄想については,議論しても修正はまず不可能ですし,無益です。内容を根掘り葉掘り聞くことも危険で,異常体験を拡げてしまう可能性があります。ですからむしろ,そのような幻覚や妄想によってどのような気持ちになるか,生活にどんな支障が生じているかなど,起きている影響のほうを聴くようにしてください。異常体験に関してあなたにもあるかと問われたら,自分には感じられないが相手は感じているのですね,と,相手の感じていることは否定せずに,かつ自分も嘘をつかないように,伝えることが望ましいでしょう。

 その他,Bささいな批判でも重く受け止めてプライドが傷つきやすいので,配慮を要すること,C思考障害などのせいで話が進まない場合がありますが,本人のペースを大切にして話をゆっくり聞き,感じ方や考え方を受け入れること,D伝えられることがたくさんだと混乱しやすいので,可能ならば区切って伝えたり,重要なことは口述のみでなく資料やメモにして伝えたりすること,こちらから伝えるだけでなく本人がどういうふうに理解したかを本人の言葉で語ってもらって確認することなども重要です。

◎気分障害(感情障害,躁うつ病)

 一般的には躁うつ病と呼ばれていますが,最近の診断基準では気分障害とか感情障害とされています。これも内因性精神疾患のひとつで,原因は特定されていません。だいたい20代以降に発病する場合が多いです。発生頻度は,一般人口の0.3〜0.5%と言われています。

 ただし,近年では,内因性精神疾患としての躁うつ病だけでなく,性格やストレスなどと関係の深いうつ病へと,その範囲が拡がってきています。また,うつ病が一般的に知られるようになってきたことも関係してか,「自称うつ病」で,実際には異なる場合もしばしばあります。

○症状

 躁状態とうつ状態とがあります。躁状態では,感情の高ぶりがみられます。気分爽快になる人がいる一方,イライラする人もいます。思考は次々とわき出してまとまりがなくなり,誇大的になる人もいます。意欲は高まり,行動は多弁・多動,興奮,濫費などの傾向があり,暴力等逸脱行為に及ぶこともあります。身体症状としては,不眠や食欲亢進などが見られますが,本人は殆ど気にしません。不眠不休でも「大丈夫,疲れていない」と言い,病識に乏しい場合が多いです。

 うつ状態の場合は逆です。感情は抑うつ的になり,落ち込んで,悲観的になります。意欲はなくなり,考えの進み方も遅くなって,自責的になる人もいます。行動も遅くなり,普段よりも言葉少なになったり身なりにかまわなくなったりします。自殺しようかと考えたり,実際に自殺しようとしたりする方もいます。不眠,食欲低下,頭痛,腹痛などさまざまな身体的不調がみられ,躁病とは違って本人は非常に気にすることが多いです。うつ病の中には,「仮面うつ病」といって身体症状しか訴えない場合もあります。また,朝方に抑うつが強まるなど,気分の日内変動がみられる場合もあります。

 いずれにしても,気分障害の症状は,統合失調症に比べると一見分かりやすいため,病気だとは気付かれないことも少なくなく,気の持ちようだと誤解されることも多いので,注意が必要です。

○経過

 躁状態だけがみられるもの(躁病),うつ状態だけがみられるもの(うつ病),躁状態とうつ状態の両方がみられるもの(躁うつ病)があります。

 躁状態・うつ状態とも,その強さや期間は様々です。また,躁うつ病の場合,躁状態とうつ状態とが交互に来るとも限りません。多くは発病前の状態に回復しますが,再燃(統合失調症の「再発」に相当)したり,遷延化したりする場合もあります。

○治療

 多くの場合は,薬物療法が中心です。抗躁薬,抗うつ薬,気分安定薬(躁うつの波を小さくする)があります。支持的精神療法や認知療法などの行われる場合もあります。

 心の病は一回あたりの時間を長くかけたカウンセリングが有効なのではないかと期待される方がしばしばいらっしゃいますが,まずは薬をきちんと飲むことが大切である場合が多く,重症のときにカウンセリングのみに頼ろうとするのはかえって危険です。また,周囲にも病気を理解してもらい,治療に協力したり,本人がゆっくり休養できるようにする環境調整も必要です。必要なときに休めるということは,薬と同じくらい大切なのです。

○接し方

 躁病の場合,尊大で傲慢な振る舞いや怒りっぽさが見られ,本人はそれを自覚しない場合が多いですが,つられて怒ったり興奮したりせず,冷静に接することが必要です。

 うつ病の場合,@本人の辛さを受け止めて,支えていく方向で関わっていくことや,Aむやみに指示をしないことが大事です。B仕事や学業などさまざまな能率低下を自分の努力不足と思い込んだり,身体症状を不治の病と思い込んだりして悲観しやすいので,病気について理解を深めるよう援助することも大切です。

 C励ましは自責感を強めることが多いため,避けましょう。また,D気晴らしと称して誘い出すよりも,休ませることが大事です。E周囲に怠け者と思われていないか気にしやすいですので,怠け者扱いはしないでください。

 F離婚,辞職,退学などの重要な決定は,例えば「今はちょっと保留しておいたら」のように,病状の回復を待ってから行うよう助言してください。G几帳面で努力家の人が多いため,職場復帰を焦ったり,「薬に頼らず自分の力で」と服薬を中断したりすることもありますので,必要に応じて,十分な休養や服薬の継続が大事であることを伝えてください。

 Hうつ病では,初期だけでなく回復期にも自殺の危険がありますので,注意が必要です。I「死にたい」と言われたら,すぐに止めるよりも,死にたいくらい辛い,それほど悲しい,そういう気持ちをまずは受け止めてください。相手の気持ちの部分を十分に聴いて,その上で,「死んで欲しくない」ということを伝えて欲しいと思います。

◎おわりに〜基本にして忘れてはならないこと〜

 当たり前のことですが,心の病にかかった人を,「おかしな人」「言っても分からない人」というふうには思わないでください。統合失調症の○○さん,躁うつ病の○○さんではなく,その人全体をとらえて欲しいと思います。また,自分だけで抱え込もうとせず,医療機関,保健福祉センターなどと適切な連携をとっていただきたいと思います。

 精神疾患を患うこと自体やそれらによるさまざまな支障,世の中の偏見などから,自己評価が下がってしまう方は少なくありません。もちろん,リハビリテーションをして生き生きと社会生活を送っている方もたくさんいらっしゃいます。精神疾患は特別なことではありません。皆さんも,ポジティブな暖かい視点をもって接していただければと思います。

 ということで,本当に駆け足でしたけれども,これで終わらせていただきたいと思います。ご清聴ありがとうございました。(拍手)

◇新司法試験,合格体験談 その4

 去る平成19年11月7日(水)に開催されました「新司法試験合格者と語る会」における講演概要の第四弾です。今回は,佐藤 奈津さんの合格体験談をご紹介いたします。講演概要の掲載にご快諾いただいた佐藤さんに心から御礼申し上げます。

佐藤 奈津

1.略歴

 私は,福島県の県立高校を卒業して,東北大学法学部へ入学しました。学部時代は,国際法の模擬裁判に取り組むサークルに所属し,国内法をほとんど勉強していなかったので,学部卒業後1年間友人たちと勉強して,2期既習として入学しました。大阪大学の既習コースにも合格していましたが,東北大学がジェンダー関係に強いことから,ジェンダー論に興味がある私は東北大学を選択しました。入学当時は,知識不足・勉強不足との実感があり,不安な気持ちでいっぱいでした。

2.使用した教材

 教科書には,入学以来,基本書を利用しました。通読を何回か繰り返したいと考えたので,薄さが教科書を選ぶポイントでしたが,記述が少ない分他の教材で知識を補完する必要があります。また,判例百選や,2年次からは調査官解説も使いました。重要な最高裁判例について,下級審判例・学説の状況など分かりやすくまとめて解説してあり,様々な評釈の前に読むと議論の全体像が把握できます。受験直前には,民事法1・2・3を苦手な民法を克服するために利用しました。共著のため執筆目的が統一されていないと感じることもありましたが,各論点を深く検討してあり,話題となっている議論を知ることができて,有意義でした。また,肢別本は,択一対策だけに留まらず,基礎知識の定着のために利用できました。旧司法試験論文過去問は,答案作成や答案構成など使い方は色々ですが,問題文から書くべきことを見抜く訓練になると思います。

3.勉強方法

(2年次)
 午前8時過ぎから午後11時まで,学校の自習室にいました。授業の予習と授業を受けることだけの1年でした。必修の授業は,ほとんどの科目が判例分析を中心としていたので,授業の予習をする段階で,薄い教科書を使っている分調査官解説や評釈などでしっかり知識を補うよう気をつけました。2年次で,各科目の基本書を1,2回は通読しました。要件事実の授業の中では,事実を規範にあてはめるということが何かということを考えさせられました。結局,予習→授業→試験直前の復習によって,授業で取り扱った分野については3回学んでいることになります。知識獲得のイメージは,予習7割,授業2割,復習1割でした。この期間に,法的思考と基本的な判例の理解が身に付きました。2年次で学んだ理解は後の受験勉強で大きな助けになりました。

 夏休みには,友人と会社法の勉強会を行いました。ジュリストの会社法特集号を利用して,後期に配置されていた商法の予習をすることができました。長期休暇はまとめて勉強をする良い機会ですが,ついつい勉強をサボってしまいがちになります。友人と勉強会を組むことで,勉強をする良いきっかけを作ることができると思います。

(3年次前期)
 午前9時から午後11時,12時まで,学校の自習室にいました。受験対策としての勉強よりも,裁判手続に理解を深めた時期です。授業の予習,授業,課題にひたすら取り組んで,新司法試験の論文問題を友人と週末に解いていました。実務基礎科目では,裁判手続や訴訟記録などに触れて具体的な訴訟のイメージを持つことができました。法曹会「刑事第一審公判手続の概要」「民事訴訟第一審手続の解説」はすぐに読めて,すぐに基本的な裁判手続を学ぶことができました。起訴状,冒頭陳述書,論告,弁論,判決書等の起案が要求され,起案とその検討をする中で,事案の把握,問題点の把握,規範に対するあてはめの方法や,日本語の使い方を学びました。問題文に書いてある事実を適当にあてはめるのではなくて,規範が求めている事実を適切に抽出し評価しあてはめることを意識するようになりました。論旨を明確にするため,1文はできるだけ短く,適切な接続詞を用いて,読み手に伝わりやすい文章を目指しました。

 夏休みには,弁護士事務所に1週間研修に行ったり,模擬裁判などに取り組んだりしました。その結果,裁判手続や法律を使った紛争解決ということを具体的なイメージを伴って身につけることができました。

(3年次後期)
 10〜12月は,午前9時から午後11時まで,学校の自習室にいました。模擬裁判が終わった後,択一の点数が伸びないのも論文で論点を落とすのも,知識の絶対量不足のためと分析し,知識不足を解消するために,試験までの時間を考慮して優先順位をつけ,年内に百選を潰し,1月から3月までに肢別本,旧司法試験論文過去問を潰し,基本書の通読も3月までにもう1回と決めました。計画通り,年末までの2ヵ月半で百選12冊の事案と判旨を読破しました。しかし,12月末のTKC択一模試の結果は平均点を切ったので,1周の予定だった肢別本を2周以上やろうと決意しました。辰巳法律研究所の論文答練を基本書通読のペースメーカーとして利用しようとしましたが失敗して,結局,年内は,憲法,行政法と会社法の半分までしか読み終わりませんでした。

 1〜3月は,午前8時から午後12時まで,学校の自習室にいました。受験勉強中もっとも頑張っていた時期です。友人と旧司法試験論文過去問の憲法,民法,民訴,商法を毎朝8時から1問解いていました。民事系科目,刑事系科目,法学教室「演習」の答案練習会も始まり,答案作成・議論後にもう一度答案を書き直して,自分なりの模範答案を作るようにしました。結局,1月から3月までは1日平均1.5通くらい答案を書いていました。元旦からは肢別本を解き始め,1ヶ月半で全科目を終了しました。旧司法試験の過去問である憲法,民法,刑法は新司法試験の択一にも直結していたが,他の科目は少し知識が細かすぎるように感じました。隙間時間を見つけて試験直前まで,2周目,3周目と繰り返しました。2月上旬の学校の試験にあわせて,新司2回分,サンプル問題,プレテストの国際法の論文過去問を書き,基本書を読み込みました。行政法も,基本書,受験新報掲載の行政法ノート,法学教室演習行政法1年分を読み込みましたが,それ以降ほとんど手をつけなかったせいで,新司法試験本番では曖昧な知識で戦うことになってしまいました。また,基本書の通読が終わっていないことに気がつき,肢別終了後はひたすら基本書を読みました。結局,憲法・行政法・国際法以外の基本書をどうにか3月中に読み終えました。

(卒業後)
 午前8時半から午後9時前後まで自習室にいました。夜道での物騒な事件が続いているとの新聞報道を受けて,帰宅時間を早めました。集中力があまりなく,精神的にも不安定でしたが,4月,5月はないものとして計画を立てていたのが幸いしました。食欲がなくなったりホームシックになったりしましたが,周囲の友人たちと一緒に耐えました。これまでのすべての勉強会が終了し,かわって,苦手な民法対策のつもりで,週に2回,「民事法」を使った勉強会に途中参加させてもらいました。答案を書いて議論をすることで,理解が深まりました。勉強会で扱わない部分は自分で読むことにし,4月中に民事法1,2,3を読み終えました。旧司論文過去問民法,新会社法百問を4月中にすべて答案構成し,改訂された憲法百選を読みました。4月中は毎週択一の模試があり,その復習に追われました。5月は重判を読むくらいで新しいことは何もせず,これまでの6回分の択一模試の復習や,1月以来国際法に触れてないことを思い出して,百選を読んだり,2年次の授業のノートを見直したりしました。

4.選択科目の決定

 労働法か国際法と考えていました。国際法は学部4年間サークルで接してきたので一定の知識もあるし,勉強は楽しかったのですが,受験者が選択科目中最も少なく,国家間の法律であることから法曹になってからよく使うかどうか分からない。これに対して,労働法は最も受験者が多く,弁護士となった後はよく利用しそうですが,これまで勉強をしたことがないため,1年で習得できるのか不安でした。3年次で労働法を受講しましたが,結局他の公法,民事法,刑事法の勉強が不安で勉強時間が少なくて済む国際法を選択することにしました。結果としては,勉強量は最小で予想以上の点数を稼げました。また,試験では論文試験の最初が選択科目であり,国際法で「何とかなったかな」と思えて論文のスタートを切れたのは,精神的に良かったと思います。

5.リラックス法

 東北大学法科大学院内では,スポーツが盛んでした。サッカー,バスケ,野球,バレー,ボーリング,ダーツ,ビリヤード,企画されれば何でも参加していました。特に,2年次の5月以来卒業直前まで,毎週1回3時間テニスをし,飲みに行くのが習慣でした。3年次では,夏から冬にかけて,毎月マラソン大会に参加しました。10キロ走るために,週に2,3回ジョギングをしました。体を動かすと精神的にも身体的にもすっきりして,その後の集中力やモチベーションが上がりました。

 切磋琢磨する友人との交流が最も重要だったと思います。やる気がおきないときでも,友人が隣で一生懸命勉強していたら自分も頑張ろうと思えます。逆に,「今日はやる気でないね」と互いに慰めあったりして,和むことも多かったです。試験本番の日も含めて,毎日友人たちと夕飯を一緒に食べたりして緊張をほぐしたり息抜きをしたりしていました。ただし,家でテレビは見ないことにして,日々の息抜きは友人と話すことのみにしていました。自宅は,睡眠と朝食を採るためだけの場所でした。

6.勉強に対する姿勢

 抽象的な議論を振り回すのではなくて,事実としての紛争を解決するに当たってどのような規範を使うのかということを問われている試験だと感じていたので,勉強の際には,具体的な事実と法律の文言との関係を意識しました。たとえば,「占有」という言葉を理解するにしても,手に持っていた場合,1メートルあるいは10メートル離れていた場合,他人に預けていた場合,という具体的な事実を考えて,理解するようにしました。

 また,目的を持って勉強をするよう心がけました。何となくバットの素振りをするより,フォームや筋肉を意識して素振りをしたほうが,効果が上がります。同様に,基本書の通読にしても答案練習をするにしても,なぜこれをするのか,どのような効果を期待してこれをやるのかということを常に意識しました。また,苦手なこと,やりたくないことほど積極的に取り組みました。一人ではつい後回しにしてしまうため,友人と勉強会を組んだり,約束や競争をしたりして,強制的に行うようにしました。1日のタイムスケジュールが一定になっていると,振り返ったときに自分が何に時間を費やしたかを検討できて良かったと思います。

◆編集後記

 文明が発達し,日常生活が便利になる一方で,精神的な豊かさも求められています。先月,法学部の経済産業行政論演習(佐分利先生)で「自殺者対策」,「うつ病と貧困」に取り組んだチームの発表を見ました。デリケートかつ難しい問題ですが,学生諸君の取り組みにエールを送りつつ,小さいことからの積み上げが大事に思われた今日この頃です。
 法科大学院でも,「心理学的法曹実務教育プログラムの構築」と題して様々の事業が予定されております。今回は,その一環として行われた「精神疾患の基礎知識」講演会の概要をお送りしました。他にも「神経症性障害」,「受験期のメンタルヘルス」等の講演会が行われておりますので,今後,順次紹介していく予定です。

 また,今回は,新司法試験の合格体験談・第四弾をお送りしました。講演概要の掲載にご快諾いただいた佐藤さんに,心から御礼申し上げます。

 来る3月8日(土)のミニ・オープンキャンパス(平成21年度入試・東京入試説明会)では,東北大学法科大学院の受験を希望される方はもとより,法曹の仕事に関心のある方,法科大学院への進学を考えている方など,たくさんの方のご参加をお待ちしています。ミニ・オープンキャンパスに関しては,下記サイトをご覧下さい。
 http://www.law.tohoku.ac.jp/lawschool/opencampus/#tokyo

(平塚記)

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発行:東北大学法科大学院広報委員会

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