TOP > メールマガジン > 第26号(12/21/2007)

東北大学法科大学院メールマガジン

第26号 12/21/2007

◇新司法試験,合格体験談 その2

 去る平成19年11月7日(水)に開催されました「新司法試験合格者と語る会」における講演概要の第二弾です。今回は,山中俊介さんの合格体験談をご紹介いたします。講演概要の掲載にご快諾いただいた山中さんに心から御礼申し上げます。

「法科大学院における学習・生活について」
 山中俊介

 こんにちは、山中俊介と申します。入学時は29歳でした。物覚えも要領もあまり良くないほうで、気が散りやすく、しかも怠け者という私が、新司法試験をどのように乗り切ってきたか、今日はお話したいと思います。

1.法科大学院における生活について

 一番大切なのは健康だと思います。生活リズムが整わないと勉強に集中できないからです。精神的な健康という意味では、息抜きも大切だと思います。ただし、あくまでも勉強を順調にまわすためのものであって、主従の関係が逆転しないように注意する必要があります。

 また、人間関係も重要です。私は一人では勉強が続かないほうだったので、周囲の方々には非常に支えられました。一緒に勉強する人たち、というスタンスを崩さないことが大切でしょう。私の場合、いっしょに勉強会をする人たちが、穏やかかつ前向きに続けられる方々ばかりだったので、非常に恵まれていたと思います。

 ただし、友人たちを一方的に利用して楽をしよう、という考え方では続かないように思います。最後、試験当日は一人だけど、ともに苦労して、ともに合格したいという気持ちが大事ではないでしょうか。

 それと、試験直前の精神状態はとても辛くなりますので、リラックスする方法を見つけておくことが大事です。私の場合、試験直前の土日月、まったく勉強できなかった…というより、勉強する気になりませんでした。

2.授業の活用方法

 卒業しないことには受験できないのですから、授業に力を注ぐのは決して間違っていない、と思います。実際私は、3年の模擬裁判終了まで、授業のこと以外はほとんどできませんでした。

 授業のノートをぎっちり作っておくのは役に立つかも知れません。自分の場合、字が汚く、自筆のノートのままでは定期試験対策などに支障を来すので、午前の授業のあとにまずそのノートをパソコンに落とす作業を欠かさずしていました。結果的には、直後に授業の復習をして、記憶を定着させていたことになるのかも知れません。予習をしないと授業は乗り切れませんが、振り返って考えると、この復習もまた効果的だったように思います。

 また、私の場合、司法試験の直前期に授業のノートや資料の見直しをした科目も結構あります。特に、適度にポイントを絞り込んでやってくれていると思われる科目については、重要論点についてコンパクトにまとまっているので、短時間での効率よい見直しにつながりました。この点から考えても、授業をおろそかにしないことは大切だと思います。

 3年次に試験科目の勘が鈍ることを心配される方は、実務基礎科目でセンスを磨くことをお薦めしたいと思います。思いのほか司法試験に関連の強い内容を多く取り上げてくださるので、試験当日にも役立つと思います。

3.学習上の苦労や工夫

 1年次の勉強方法については、授業についていくことがまず大事です。ただ、1年次の授業の中身ですでに試験に対応しうるものであることを意識しておけば、もっと良かったと思いました。したがって、短答対策はすぐにでも始めておくことがよいと思います。条文をめくるくせをつけることにもなります。

 また、夏休み、春休みの過ごし方について、私は文字通りだらだらと休んでしまったので、このようなことがないようにしたほうがいいと思います。基本書や定評のある参考書をじっくり読み込みつつ、短答をやってみるのがいいのではないでしょうか。やり方に試行錯誤が必要なものはやり方を決めるだけで日が経ってしまいます。どうしてもやる気が出ないときは、裁判所に傍聴に行って手続きの流れを肌で感じる、という方法もありうるかなと思います。

 短答対策としては、○×式の問題集を2まわししたぐらいでした。丁寧に条文と見合わせるだけでも、だいぶ力になりました。あとは適宜模擬試験を受けました。

 試験が近づいてきた時期でも、何をしたらいいのかよくわからない上、多額の金銭を支払う余裕がなかったので、比較的長期間、ひたすら基本書を読んでいました。無駄ではないでしょうし、おそらく何らかの力にはなっていたとは思いますが、あまり効率がいいとは言えないかも知れません。

 過去問を勉強会で解き続けたのがとてもためになりました。予備校答練を使わない人にはおすすめです。その際、答案を見せ合うことが必要と思います。また、答案構成を示しているホームページなど参考にしましたが、内容については批判的な検討も必要になると思います。

4.法科大学院に対しての要望など

 あまりありません。ただ、私が一番困ったのは、いわゆる答案構成について、見様見真似でやってはいたのですが、実際どうすれば大外ししないように確実にできるのかわからなかったことです。長文の問題に出会ったとき、まずどうやって整理をしていくのか、について何らかの機会に指導があれば、と思いました。定期試験の解説などでも、そのような観点で説明される機会がほしいと思います。全員に合うものはないと思いますが、先生方がどういう観点で問題の整理を行うか、というのはすごく参考になると思います。

 以上で私の話を終わります。こんな取り留めのない話でも何かのお役にたてれば幸いです。ありがとうございました。

◆編集後記

 今年も残り少なくなりました。仙台では,先週より光のページェントも始まり,いよいよ年の瀬といった風情です。面接試験の日曜日は,時おり雪もちらつきましたが,交通の混乱等もなく,予定通り実施することができました。最終合格者発表は12月25日(火)の予定となっています。

 今回は,新司法試験の合格体験談の第二弾をお送りしました。講演概要の掲載にご快諾いただいた山中さんに,心から御礼申し上げます。

(平塚記)

メールマガジンの配信停止をご希望の方は,
lawmm-contact
まで,登録されたメールアドレスと配信不要の旨を記載したメールをご送信下さい。

発行:東北大学法科大学院広報委員会

前のページへ戻る