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東北大学法科大学院メール・マガジン

第15号 03/15/2007

◇平成20(2008)年度東北大学法科大学院入学試験関連事項の日程について

本法科大学院では,2007年度入学試験の全日程を終了し,来る4/4に新入生を迎えることとなりました。
また,来る4月より,下記の予定で,2008年度入学試験関連の日程が始まります。現在のところ,本法科大学院で実施する事項はすべて予定ですので,日程と内容が確定し次第,追ってホーム・ページ上でお知らせいたします。

2008年度入試関連日程

2007/4月下旬
ないし5月
東北大学法科大学院,2008年度入試,学外入試説明会(予定)
2007/5月 東北大学法科大学院,2008年度入試,学内入試説明会(予定)
2007/6/10 法科大学院統一適性試験(日弁連法務研究財団)
http://www.jlf.or.jp/tekisei/index.shtml
2007/6/24 法科大学院適性試験(大学入試センター)
http://www.dnc.ac.jp/houka/houka_index.htm
2007/7月 2008年度東北大学法科大学院募集要項発表(予定)
2007/7月 東北大学法科大学院オープン・キャンパス:仙台,片平キャンパス(予定)
2007/8月 東北大学法科大学院ミニ・オープン・キャンパス:2008年度入試,東京説明会(予定)
2007/7/29 2007年法学既修者試験(日弁連法務研究財団による実施,東北大学法科大学院入学試験の加点事由となる予定,正式には募集要項による)
http://www.jlf.or.jp/hogaku/index.shtml
2007/10月 東北大学法科大学院,2008年度入学願書受付・第1次選考(予定)
2007/11月 東北大学法科大学院,入学試験・第2次選考(予定)
  既修者:法学専門科目筆記試験,未修者:小論文試験
2007/12月 東北大学法科大学院,入学試験・面接試験(予定)
2007/12月 東北大学法科大学院,2008年度入学者,最終合格発表(予定)

◇新司法試験,合格体験談 その3

去る平成18年11月2日(木)に開催されました「新司法試験合格者と語る会」での,合格者の講演録をお届けいたします。今回は最後の3人目として,村川耕平さん(現在,さいたまにて司法修習)の合格体験談をご紹介いたします。講演録の掲載にご快諾いただいた村川さんに心から御礼申し上げます。

村川耕平

1 自己紹介

こんにちは。東北大学法科大学院を修了した村川耕平といいます。簡単に最初,経歴をお話しますと,まず,99年,新潟県立新潟高校を卒業しまして,同年,東北大学法学部に入学,2003年卒業,同年から1年間研究大学院の方に行きまして,ロースクール開設と同時にこのロースクールに来ました。2006年卒業して,新司法試験を受けました。

話す内容としましては,勉強方法を時系列に話して,次に勉強法のポイントなどを話し,それから皆さんも多分聞きたいと思うので,授業と予備校の兼ね合いについて,最後に,ロースクールについて感じていることを話そうと思います。多分,私自身が結構変わった人間なので,特に聞いて欲しい方というのが,自分はちょっと要領悪いなと思っている人ですとか,自分が長距離選手じゃなくて,短距離選手だと思ってらっしゃる方に聞いていただけると,参考になると思います。

2 ロースクールでの勉強〜L2

まず,勉強方法を時系列に述べていきます。まず,L2についていいますと,L2の前期には民事訴訟,後期には刑事訴訟を重点的に勉強しました。結果的に言いますと,民事訴訟法と刑事訴訟法に関しては,この時期以後,試験までそんなに勉強していません。詳しく言うと,まず,生活態度としては,1限の授業を受けてから,早いときで,夜の12時くらい,遅い時は大体,3時くらいまで勉強していました。昼に一時間ほど休みを取る他はほとんど休みを取らない感じでやっていました。民訴については,先程,草薙さんが言ったと思うのですが,膨大な資料を渡され,それを読んでこなければならいないという授業形式だったので,大体,予習に12時間くらいはかけていました。予習内容としては,資料を読むのと,あと基本書,民事訴訟法で言えば,高橋宏志先生の重点講義の該当箇所を読んでから授業に臨みました。あと,そうですね,すごく頭の良い友達がいたので,その人と議論をしてから授業に臨むことも結構ありました。

次に刑事訴訟に関してなんですけれども,刑訴の佐藤先生の講義は非常に分かりやすかったので,その講義を本当に真面目に受けるという形でやっていました。分からない点に関しては,もう授業終わったらすぐに,先生が嫌がっているだろうなと思いながら,すぐ質問に行って答えていただいて,その日のうちに理解するということを心がけました。民訴・刑訴両方とも,疑問点は絶対に次の日に繰り越さないという方針で,その日のうちに解決してから帰るという方針でやっていました。

3 ロースクールでの勉強〜L3

(1) 前期

こういう風に,基本的に2年生の時はインプットをやっていました。それから,3年生になってそろそろアウトプットを意識しようかなと思い始めまして,まず,ゼミを組むことにしました。私,その当時,民法はあまり得意ではないと思っていまして,行政法もまだ分かっていなかったので,民法と行政法に関してゼミを組むことにしました。やはり旧司法試験を長く受けてらっしゃる方というのは,民法に関して全然違う,知識が全く私と違うと感じたので,そういう方とゼミを組ませていただいて勉強しました。形式としては,問題を選んでそれについて答案を書いてきて,それをベースに議論するという形にしました。でも,そんなに答案の巧拙にはこだわらないで,基礎からしっかり理解していくという形で,例えば,簡単な例で言うと,「民法の93条の心裡留保から虚偽表示,錯誤,強迫,詐欺」っていう風に流れる時にどういう風な違いがあるんだろうと相互関係を整理しながら考えてみたりという風なことをやっていました。

(2) 夏休み

夏休みにプレテストがありまして,その成績は普通だったんですけれども,なんとなくこのままでいいのかなと感じました。特に,私,刑法が非常に苦手でした。L2の夏休み前の期末試験で刑法に関してはD評価を受けまして,当時,本当に苦手だったなあと思います。前田先生,大塚先生,大谷先生と3冊くらい体系書を読んだんですけど,全く理解できなかったという状況で,非常に困っていました。

(3) 後期

後期に入って,やはり弱点補強ということを考えまして,刑法と民法に関して徹底的に本を読み込みました。読んだ本は,刑法は井田良先生の『刑法総論の理論構造』,民法に関しては加藤雅信先生の『新民法体系』というのを読みました。井田先生の体系書は理論的で分かりやすい本だったので,最終的に刑法を理解することができました。民法も同じで,加藤雅信先生の本が非常に理論的なので,それを読んでやっと民法を理解したと感じました。同時に後期に入りますと,刑法と刑訴のゼミを新たに組みまして,そこでも先ほど言ったのと同じような形式で勉強していきました。さらに加えて,後期から,予備校の答練を受けまして,書く練習をしました。

(4) 卒業から本試験

最後に,卒業後ですが,アウトプットを週2,3回やりつつも,基本的にはインプットを中心に勉強しました。コンビニ弁当を食べつつ,誰にも会わずに,昼夜なく1日18時間くらい勉強するということをしました。当然,体調を崩しまして,試験3日前に風邪をひいて,熱が出て引かなくなりました。一応,点滴を受けたんですが,医者にもさじを投げられて,「とりあえず,気合いで乗り切りなさい」とか言われてしまいました。1度は受験を辞めようと思ったんですけど,とりあえず「敵前逃亡だけはするものか」,「逃げることだけは絶対にしない」ということで試験を受けました。当然,頭も働かず,何を書いたかも覚えていないという状況で,受かるとは全く思っていませんでした。

4 試験に必要な能力と勉強方法

次に,勉強方法ですけども,基本的に,私は,3つの能力が必要だと思っています。基礎学力,書く能力,それから,思考力・常識という3点が必要だと私は考えています。

この能力をつけるために何が必要かと言いますと,まず,基礎学力に関しては,基本書を読むことと,先生に質問に行く,先生の話を聞かせていただくということが有用だと思います。特に,先生の話を聞くことは重要だと思います。先生の話を聞き,その思考方法を理解すると,試験で何を答えるべきかも分かるようになります。つまり,試験において,解答のポイントをはずさなくなります。それから,私のように要領の悪い人間は,基礎をしっかりやることが重要だと思います。加藤雅信先生の本にしても,井田先生の本にしても,しっかり理論的に説明されているので,それを理解すれば自ずと試験の結果もついてくるのかなと思いました。

それから,書く能力ですけども,ロースクールにはアウトプットの勉強になる授業というのが少なかったので,自分でゼミを組んだり,予備校を利用したりして勉強しました。

思考力・常識についてですけど,これが私は一番困りました。私は,理論的な点は自信があったんですが,常識的な思考力という点についてはあまり自信がありませんでした。どうしたかと言いますと,基本的にはいろんな人と議論しました。L2の時は,1日3時間くらいは議論していると思います。授業が終わったら必ずその授業後に友達と議論しました。そうすると何が良いかと言いますと,リーガルマインドというか,法律家の中で共有されている常識みたいなものを共有することができるようになると思うんです。そうすると,試験でも外れたことは書かなくなるんですね。みんなと同じものを全教科について書いていれば,基本的に落ちないだろうと思っていました。

5 授業と予備校のバランス

次に,授業と予備校の兼ね合いですけれども,基本的には,私はメリハリをつけるべきだと考えています。例えば,要件事実論について言えば,授業で十分すぎると思います。皆さん,レポートを書いていらっしゃると思うんですけど,もし,レポートを何も見ないで書くことができれば,ダブルA,トリプルAぐらいで合格するはずです。基本的には「説例15題」で問題ないですし,さらに,紛争類型別の主要部分が分かっていれば,要件事実に関しては十分だと思います。それから,実務刑事法についても,授業で十分すぎると思います。実務刑事法の授業をしっかり聞いていて,試験で点数が取れていれば,本試験の方が簡単だと感じるくらいだと思います。確かに,中には不十分な授業というのがありまして,皆さんいろいろ感じてらっしゃると思うんですけど,そういう科目に関しては,私でしたら自主ゼミで補うとか,一人で勉強するという形で逐次フォローしていました。

皆さん,予備校を利用することを考えてらっしゃるかもしれませんが,私が答練を受けて思ったのは,まず,問題がひどいですね。最新判例のつぎはぎで問題を作っていました。結局,一番新司法試験で重要なのは,問題文を見たときに,どこが問題になるのか,何を書くべきか,どういう筋で自分の論を立てるか,ということだと思います。そういう能力はこの問題を解いても習得しにくいのかなという印象を受けました。それから,採点された際のコメントも多少的外れな場合がありました。この採点者分かっているのかな,というひどいコメントを書かれたこともいっぱいありました。コメントと問題の質については,予備校には,あまり求めることができないのかなという気がします。ただ,予備校の答練を受けて良かったのは,緊張感をもって,時間を計って答案を書くという練習ができることだと思います。

6 ロースクールの感想

最後に,ロースクールについて思うことなのですが,アウトプットの授業はもっと行われてもいいのではと思います。さっきも言いましたとおり,アウトプットの能力というのは絶対に必要なので,授業で培われない以上,学生は,どこかで補わなければならないわけです。予備校を利用することも考えられますが,真面目な方は,答練の際の的外れなコメントを真に受けて悩んだりすると思います。

あと,授業形式ですが,科目によっては,基幹科目でも持ち回りで行われる授業がありまして,それはちょっとどうなのかなと思います。先生同士の意思疎通がはかられているのかなと思う面もありますし,体系的に何かを教えようとしているのかなと,疑問を感じる時もないわけではありませんでした。そういう形式面は,多少改善の余地はあるんじゃないかと思いました。ただ,逆に言いますと,学生の方も漫然とロースクールの授業を受けるんじゃなくて,ちゃんと予習して,復習もしっかりしないとダメだと思いますし,教員に話を聞きに行くなど,積極的な姿勢も必要だと思います。クオリティーが高い授業が多いので,それを利用しないというのはもったいないと思います。

私は先生方がいなかったら多分受かってないと思うので,信用できると感じた先生に関しては信用していいのではないかと思います。私自身がどうして受かったか分からないので,なんとも合格のポイントというのは言いにくいんですけども,ひとつ試験を受けたときに気をつけたのは,基礎をしっかり書くという点です。受験テクニック的には,基礎の部分は書いておけば点数になる部分ですし,基礎を書かないでいきなり応用を書いて筋を間違えたときは非常に印象が悪くなるので,基礎をしっかり書くのは重要だと思います。あとは,日頃培った常識なり,思考力で筋を立てて論理的に書く,ということが重要であると思いました。

7 最後に

最後になりましたけど,みなさん多分,来年,精神状態が辛くなると思うんですけど,点滴を打っても受かったやつがいるんですから,「まあ,あいつよりましだ」と思って頑張っていただけると,私も嬉しいです。ありがとうございました。

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発行:東北大学法科大学院広報委員会

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