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21世紀の「法曹」を目指すあなたへ
 
坂田 宏
(民事訴訟法)
東北大学法科大学院は、「優れた法曹」の養成を目指して、2004年4月の出航の時を待っています。裁判官、検察官及び弁護士という法曹の役割が大きく変わろうとしている21世紀の日本において、みなさんは、司法制度改革の潮流に乗って大きな飛躍をするチャンスを与えられています。私ども東北大学法科大学院の教員は、実務家教員、研究者教員を問わず、この航海の水先案内人、つまりパイロットです。
さて、みなさんは、法科大学院に入学されてから、1年次、2年次、3年次と階段をひとつひとつ踏みしめながら、新司法試験を目指すことになりますが、いったいどのような学習をすることになるのでしょうか。それを一言で言い表すとすれば、徹底した自学自習重視の学習です。要するに、予習、復習を質量ともにみっちりと詰め込んだ学習が待っています。授業は、まさに予習と復習のインターフェースの機能を果たすものとなるでしょう。双方向授業において、みなさんは予習で不確かにしか把握できなかった重要ポイントを知り、復習によってこれを体得してゆくのです。
このような自学自習重視の視点は、今までの大学教育が忘れてきたことかも知れません。しかし、もうひとつの点、つまり、実務基礎科目に見られる実務教育の初歩をみなさんに学んでいただくことは、より大きな改革でもあります。民事法分野に限ってみても、法曹の職業倫理を取り扱う「法曹倫理」、民事裁判のイロハとも言えるトゥールである要件事実を学ぶ「民事要件事実基礎」、実践を意識した「民事・行政裁判演習」「リーガル・クリニック」「ローヤリング」及び「エクスターンシップ」など、実務と理論の架橋を目的とする「実務民事法」と並んで、現行司法修習の前期修習に匹敵する教育内容となっています。しかも、現役の裁判官や弁護士が教員として授業を担当される予定です。このように、新しいカリキュラムの下、一方で「優れた法曹」の中から教壇に立つ実務家教員、他方で日本でも屈指の実績のある研究者教員が、それぞれの立場から実務と理論の成果をみなさんの前に提示し、みなさんの学習をサポートする水先案内人となります。出航を間近に控え、水先案内人はすでに乗船を終えようとしています。みなさんもご一緒に、この航海に旅立ってみませんか。
 
佐藤 隆之
(刑事訴訟法)
東北大学法科大学院では、多様な法領域ごとに、工夫をこらした科目が開講されます。私の専攻する刑事法の領域もその1つであり、そのカリキュラムには、次の2つの狙いがあります。
まず、1つ目の狙いは、条文を出発点として、バランスのとれた解釈論を展開し、個々の法律問題を解決する能力を養うことです。そのため、みなさんには、1年次の、「刑法」と「刑事訴訟法」を通じて、基本的な原理や制度を学習する中で、その発想法・思考法に親しんでもらい、それを基礎として、2年次の「実務刑事法」によって、判例や学説の内容・意義の把握を確実なものにしてほしいと考えています。なお、これらの授業は「双方向」方式で行われますから、常に自分の理解が試されることになります。心して臨んでください。
もう1つの狙いは、実務法曹として事件を解決する際に不可欠な能力、特に、事案を丁寧に分析し、そこに含まれる法律上の問題点を発見するとともに、証拠に基づいて、自らの主張を的確かつ説得的に構成・表現する能力を養うことです。その中核となる科目が、3年次の「刑事裁判演習」です。そこでは、事件記録を素材として、起訴状や判決文などを起案することを予定しています。
この、刑事訴訟実務に密接に関わる教育は、裁判官、検察官、弁護士として豊富な実務経験を有する教員が担当します(現在、最高裁判所、法務省に対して、現役の裁判官、検察官の派遣を要請しています)。「刑事裁判演習」のほか、「刑事事実認定論」や「刑事実務演習」の受講を通じて、実務法曹が、どのような視点から事件を捉え、手続の中で自らの責務をどのように果たしていくのか、みなさんが主体的に体得していくことを期待しています。
刑事法に関心を持ち、将来、裁判官、検察官、弁護士として刑事訴訟の実務に携わりたいと希望する人にとっても、有意義で、魅力的なカリキュラムになったと自負しています。意欲に満ちたみなさんと一緒に勉強できることを楽しみにしています。
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