修了生からのメッセージ

牧 真理子 世に伯楽ありて千里の馬あり

牧 真理子 プロフィール  私は、2012年9月まで法制理論研究コースに所属していました。現在は、大分大学経済学部において、会社の組織再編に関する諸問題の研究を進めつつ、教育、学内行政、地域貢献に携わっています。私は博士前期課程まで関西の私立大学に所属し、社会人経験を経た後、博士後期課程に進学しました。本学に入学した理由は、専攻分野の内外を問わず法学界を牽引する先生方が多く所属されているので、そのような場に身を置いて教えを請いたいと考えた
こと、博士前期課程とは異なる環境で研究することは自分の成長に役立つと感じていた
ところ、本学は編入学希望者にも門戸開放されていることにありました。

 大学院での研究生活は、自分の研究論文を書き進めるほか、研究会に所属し議論に参加することが中心となります。私の指導教授の研究指導は、原稿が形になった段階でお送りすると、朱でコメントを入れて返して下さるスタイルでした。真っ朱な原稿ファイルを頂く度に、自分の無能さに打ち拉がれるのですが、頂いたコメントの奥に再検討の際に到達すべき点が明示黙示に埋め込まれており、指導教授の厳しくも温かい御指導に感謝しました。また、研究の進捗に合わせて、学内の商法研究会で報告する機会があります。研究会では、他の先生方からも、報告した研究内容が有益なものとなるよう、軌道修正や建設的なアドバイス等をして頂きました。

 博士後期課程には、多くの優秀な大学院生が所属していました。特に同専攻の院生仲間の存在は大きく、私は彼らの後ろをついて走ることで研究面でも導いてもらうことができました。研究ポストに就くには、縁や運が作用する部分もあると思います。そうであっても、挫けそうな時に励ましてくれる先輩や、立ち向かう強さをくれる院生仲間の存在は大きいものといえるでしょう。

 良い研究を行うには良い環境が必要だと思います。「世に伯楽ありて千里の馬あり」といいますが、これから大学院進学を目指される皆さんには、ぜひ良い指導教授および他の先生方と出会われることを願っております。

(商法専攻。2012年10月より大分大学経済学部専任講師、2014年10月より准教授)

中根 一貴 腰を据えて落ち着いて研究できる環境

中根 一貴 プロフィール  私は、東北大学法学部を卒業した後、法学研究科に進学しました。学部時代の私は、お世辞にも真面目な学生とは言えませんでした(今でも!?)。ゼミに一生懸命取り組みつつも、サークル活動やバイトなど、学生生活を謳歌していました。

 そのためだと思いますが、大学院時代はまさに大変でした。修士課程の初年度では、各演習で課された報告義務と予習以上に、演習で取り上げられる最先端の議論や古典に圧倒されていました。修士論文の構想を練り始めてから現在に至るまで、自分の研究に悩み続けていることはもちろんのこと、自分の才能のなさと不甲斐なさを嘆いていた回数は数えきれません。

 それでも、無事に修了することができたのは、広い意味での政治学を専攻する先生と院生のおかげです。先生方は、親切かつ丁寧に指導されるだけでなく、学問に対して真摯でなければならないことを自ら範を示されていました。同時に、先生方は人間味溢れる方ばかりであり、束の間のコーヒーブレイクも楽しい一時でした。院生とは、時には励まし合い、時には熱く議論をしてきました。このような人間関係こそが、私を支えてくれたのです。何より、生き馬の目を抜かれることなく、落ち着いて自分の研究をする雰囲気が東北大学法学研究科政治学の先生と院生の間にはあります。

 現在、都内の私立大学で教鞭を取っています。様々な関心をもつ学生に対して語るとき、大学院で学んできたことが非常に役立っています。じっくり腰を据えて研究することができたこと、自分の専門分野以外の幅広い知識をつけられたことと、専門が異なる先生や院生と議論してきたことが私の財産になっているのです。これから研究を志す皆さんには、落ち着いて研究のできる環境と雰囲気、人間関係が重要であることを強調しておきます。

(ヨーロッパ政治史専攻。現在,大東文化大学法学部政治学科に勤務)