「『法の経済分析(Law and Economics)』の手法に基づく、多文化交流、男女共同参画の政策効果の分析」
Key questions
- 男女共同参画と多文化共生システムはどの程度効果的であるのか?
- 現在の人々の行動を変容させ社会厚生を改善するためには我々は何をするべきか?
研究の目的と方法
本プロジェクトは、多文化共生、男女共同参画、高齢社会にかかわる法制度や社会システムの改変・整備が、社会・経済・国民の行動変化や厚生に及ぼす効果を可能な限り実証的に検討することを目的としています。
この目的を達成するために本プロジェクトがとる方法は、次の5つです。第1に、多文化共生、男女共同参画、高齢社会データベース、アーカイブスを構築すること、第2に、アンケート調査の結果を利用に供するかたちで社会に引用してもらうこと、第3に、ノルウェー統計局の地域別男女平等指標の日本版を作成し、公表すること、第4に、上記データを活用しつつ、社会問題を法・制度を通じて把握し、経済モデルで分析、仮説を実証分析で検証し、法・制度の形で社会の改善へと還元すること (これが研究のコアとなります)、第5に、これらの過程や結果を逐次、DP等の形で公開し、最終的成果を叢書・教育用教材として出版することです。
このプロジェクト研究で期待されるのは、(1)社会制度に関するフロンティアなイシューについて、定量的な根拠に基づいて判断し、政策立案、議論のできる人材を育成する、という教育効果と、(2)これまで、ともすれば「べき論」やジャーナリスティックな議論が先行してきた分野において、何がどれだけ変わるのかという根拠に基づく公共政策の議論の土台を提示し、東北大学によってEvidence Based Public Policy という一分野を確立する、という研究効果です。
研究計画
2009 年の活動報告としては、(1)本事業資金によって行った「金融危機と大学進学に関するアンケート調査」の第1 次調査結果を「金融危機が大学進学に及ぼした影響」として『大学財務研究』Vol.6(pp.91-109)にて公表し、(2)「日本版地域別男女指標」 を作成、その結果を宮城県シンポジューム等で公表するとともに、GEMC journal にて公刊、(3)多文化共生の法と経済として論文「ソーシャル・レンディング」をGEMC journal にて公刊しました。
2010 年の活動としては、(1)引き続き「金融危機と大学進学の調査」結果から金融危機によって女性進学が男性進学に劣後する変化があったかを検証します。(2)2010年版の日本版男女平等度指数の推計を行い、統計の継続公表します。また、多文化共生の法と経済分野においては、国際的に異なる文化・社会構造を持つ国家間の交流が、経済成長に資する役割を計量経済学の手法で実証します。
プロジェクト責任者
吉田 浩
所属
東北大学大学院経済学研究科・教授
専門領域等
加齢経済
Web Site
http://www.econ.tohoku.ac.jp/~hyoshida/
メンバー
氏 名 | 所 属 |
---|---|
河上 正二 | 東京大学大学院法学政治学研究科(教授) |
森田 果 | 東北大学大学院法学研究科(准教授) |
米村 滋人 | 東北大学大学院法学研究科(准教授) |
田中 重人 | 東北大学大学院文学研究科(准教授) |
水落 正明 | 三重大学人文学部(准教授) |
水野 由香里 | 西武文理大学サービス経営学部(専任講師) |
根立 俊恵 | 一般社団法人知識環境研究会(研究員) |
大澤 理沙 | 東北大学大学院経済学研究科(研究員) |