「少子高齢化をめぐる国家と私的領域」
Key questions
- これまで、社会法制および家族法制において、国家は私的領域にどのように介入してきたのか?
- 少子高齢化が進展するなか、社会法制および家族法制における国家の介入はどのように変容するのか?
研究の目的と方法
少子高齢化時代においては、たとえば雇用における性差別の禁止、働く女性に対する子育て支援、年齢差別の禁止を通じての高齢者の雇用の促進、児童虐待に対する行政の介入等の法政策を進めていくことが要請されます。そこで、本プロジェクトは、少子高齢化をめぐるさまざまな領域における、国家の機能・介入・規制のあり方と私的当事者の機能・役割・権利義務についての研究を行います。
本研究プロジェクトは、社会法制グループと家族法制グループの2つのサブプロジェクトに分かれて研究を行っていきます。
まず、本プロジェクトの基礎研究的な性格を有しているのが、社会法制グループの行う研究です。まず、(1)少子高齢化問題に対する具体的な法政策のあり方を模索し、さらに、(2)私的自治への国家の介入の可能性を模索してきた「社会法」分野を改めて検討しなおします。これらの研究を通じて、「少子高齢化」時代における国家と私的領域の関係を見据えた基礎理論的な視座が提供されます。
少子高齢化時代の下で具体的に問題となりうる、家庭への国家の介入という具体的局面に焦点を当てていくのが、家族法制グループの行う研究です。すなわち、「近代法」が家庭に対して不介入を原則としてきたことを再確認し、そのような原則の自明性を問い直しつつ、家庭への国家の介入が従来の家族法制に対していかなる変容をもたらすのか、という点を研究する予定です。このような研究を通じて、「『家族』という特殊な私的領域への国家の介入の可能性」についての理論的な視座が提供されます。
研究方法としては、毎年度10回程度研究会を開催し、上記の社会法制グループと家族法制グループにおける具体的研究課題について、グループ相互のインタラクティブな議論を通じて連携を図りながら調査・研究を進めます。
研究計画
2009年度は、昨年度に引き続き、東北大学で合計10回の研究会を開催したほか、7月にシンポジウム「新時代の医療と法の役割—ボーダーレス・グローバル化社会における医療・医学研究規制の基本思想」を開催しました。また10月の日本私法学会ではプロジェクト代表者が責任者となって「家族法改正」シンポジウムを運営するなど、プロジェクトメンバーはGCOEの研究成果を活かしてそれぞれ専門領域での活動を続けています。滝澤紗矢子「競争機会の確保をめぐる法構造」(有斐閣)が出版されたのをはじめ、メンバーの研究活動の成果も多く活字となって公表されました。2010年度は、今年度と同様に研究会等の活動を継続しますが、クロスナショナルドクトラルコースの学生たちの教育活動とも連携させることを計画中です。さらに、再来年度以降に予定されている成果出版に向けて共同研究を展開させる予定です。
プロジェクト責任者
水野 紀子
(拠点サブリーダー)
所属
東北大学大学院法学研究科・教授
専門領域等
民法・家族法
業績
メンバー
| 氏 名 | 所 属 |
|---|---|
| 芹澤 英明 | 東北大学大学院法学研究科(教授) |
| 坂田 宏 | 東北大学大学院法学研究科(教授) |
| 渡辺 達徳 | 東北大学大学院法学研究科(教授) |
| 久保野 恵美子 | 東北大学大学院法学研究科(教授) |
| 森田 果 | 東北大学大学院法学研究科(准教授) |
| 米村 滋人 | 東北大学大学院法学研究科(准教授) |
| 中林 暁生 | 東北大学大学院法学研究科(准教授) |
| 嵩 さやか | 東北大学大学院法学研究科(准教授) |
| 滝澤 紗矢子 | 東北大学大学院法学研究科(准教授) |
| 桑村 裕美子 | 東北大学大学院法学研究科(准教授) |
| 中原 太郎 | 東北大学大学院法学研究科(准教授) |
| 竹下 啓介 | 東北大学大学院法学研究科(准教授) |
| 内海 博俊 | 東北大学大学院法学研究科(准教授) |
| 阿部 裕介 | 東北大学大学院法学研究科(准教授) |
| 河上 正二 | 東京大学大学院法学政治学研究科(教授) |
| 大村 敦志 | 東京大学大学院法学政治学研究科(教授) |
| 水町 勇一郎 | 東京大学社会科学研究所(教授) |
| 郭 珉希 | 淑明女子大学校法学部(助教授) |
