「多文化共生政策の国際比較」
Key questions
- 多文化共生社会の望ましいあり方とはどのようなものだろうか?そうした社会に向けての政策的な対応として、どのようなものが考えられるだろうか?
- 農村の多い「東北型多文化共生」の現状あるいは将来像はどのようなものか?
研究の目的と方法
グローバル化の進展による人の国際移動の増大は、「国民」を社会の主たる構成員とする従来の国家のあり方に世界各地で変容を迫っています。また、先進国の多くで少子高齢化が進み、他方で人口爆発に喘ぐ国々が並存する状況下で、移民の受け入れ/送り出しの圧力はますます強まり、同時に各国内でのマイノリティ排斥や排他的ナショナリズムの高まりという現象が見られます。特に、人口減少時代を迎えた日本では、社会の存続のために、現状のキャパシティを超えるような速度で外国人を受け入れることや、多文化共生社会の構築が重要な政策課題として議論されています。
多文化共生をテーマに掲げるGCOEの一つのコアを為す本プロジェクトでは、上記のような問題関心に基づき、多文化共生政策について興味深い事例である数カ国を選んで国際比較を行い、その取り組みを検討します。その際に、各国が置かれた状況の異同や、各国の国内における外国人受け入れの多様性にも留意しながら、日本の多文化共生社会のあり方に有益な研究成果を得ることを目指します。具体的には、(1)移民統合の法制度、(2)言語教育政策、(3)多文化共生社会の人材育成、を三本柱として、実務家とも連携しながら、研究を進めます。
その際、重点的な調査対象となる東北地方については、農村部での後継者不足を背景に増加している外国人配偶者と地域社会の関係が一つの焦点になるでしょう。この外国人配偶者(女性)の増加についてジェンダー研究ともクロスさせながら、「東北型多文化共生」のあり方を探っていきたいと考えています。
研究計画
2008年12月に東北地方の実務家とも連携しながら本プロジェクトを立ち上げ、ヒアリング調査や研究会を重ねています。東北地方の多文化共生に関するネットワークも徐々にできつつあり、2010年度以降の本格的な調査に向けて、調査内容・方法の検討を行っています。
国際比較の研究対象としては、特に、多文化共生社会への政策的な対応を急速に進めている韓国を重点的に取り上げ、2009年2月には韓国を訪問し、韓国政府や関係者へのヒアリング調査を実施しました。今後も日韓において毎年交互に国際セミナーを行い、経験の共有と政策論議を積み重ねていく予定です。また、2010年以降、多文化共生に異なったアプローチで取り組んでいる国々や、移民送り出し国であるフィリピン、ベトナム、中国等に順次メンバーを派遣し、海外の研究協力者とも連携しながら現地調査を進める予定です。
研究成果は、オンライン・フォーラムにおいて随時公表するとともに、2012年度に研究をとりまとめ日本語版・英語版・韓国語版として出版する予定です。
プロジェクト責任者
戸澤 英典
所属
東北大学大学院法学研究科・教授
専門領域等
国際政治学
業績
メンバー
氏 名 | 所 属 |
---|---|
助川 泰彦 | 東北大学国際交流センター(教授) |
山脇 啓造 | 明治大学国際日本学部(教授) |
近藤 敦 | 名城大学法学部法学科(教授) |
J.F. MORRIS | 宮城学院女子大学国際文化学科(教授) |
市瀬 智紀 | 宮城教育大学教育学部(教授) |
井柳 美紀 | 静岡大学人文学部法学科(准教授) |
大村 昌枝 | 財団法人宮城県国際交流協会(参事兼企画事業課長) |
小原 信一 | 財団法人仙台国際交流協会(元企画事業課長) |
田村 太郎 | 特定非営利活動法人 多文化共生センター・大阪(代表理事) |
宮 順子 | 岩手県国際交流協会(主幹) |
幕田 順子 | 福島県国際交流協会(主任主査) |
李 善姫 | 東北大学大学院法学研究科GCOE(フェロー) |
梁 起豪 | 韓国・聖公会大学校日本語日本学科(教授) |
李 惟真 | 韓国・淑明女子大学校人文社会科学学科(教授) |