「多文化共生社会におけるジェンダー平等−ジェンダー研究と多文化共生研究の交錯に関する学際的研究序説−」
Key questions
- グローバル時代の多文化共生社会におけるジェンダー問題とは何か?
- ジェンダー平等、多文化共生、およびグローバリゼーションの関係をいかに捉えるか?
研究の目的と方法
このグローバルCOEプログラムは、21世紀COE「男女共同参画社会の法と政策」の研究 成果を深化・発展させて、グローバル化時代の「ジェンダー平等と多文化共生」に関する新たな研究教育分野を確立することを目的の一つにしています。そこで 本プロジェクトでは、グローバリゼーションのもとで起こっているジェンダー平等にかかわる社会問題を明らかにし、現代の多文化共生社会においてジェンダー平等を実現するための学際的な理論研究をめざします。
そのため、まず総論的アプローチとして、グローバリゼーション、ジェンダー平等、多文化共生の相互関係を明確にし、多文化共生社会のジェンダー問題の位相を明らかにすることをめざします。ここでは、ジェンダー法学・社会学・経済学等のいわばジェンダー社会科学という新しい研究領域にかかわる第一線の研究者と協力して、このGCOEプログラム全体の課題にも通じる理論的課題を抽出し、その解決にむけた学際的研究を行います。
ついで各論的アプローチとして、ジェンダー研究と多文化共生研究が交錯する領域の具体例について研究し、問題解決のための諸条件を明らかにして、政策的課題にも対応しうる理論の構築をめざします。例えば、ジェンダー平等と宗教・文化が交錯するイスラムのスカーフ問題のほか、移民政策、経済格差と女性の労働、シチズンシップ、人身取引・性暴力の問題などを取り上げます。
研究計画
このプロジェクトでは、多文化共生社会のジェンダー平等の課題の宝庫であるカナダ・アメリ カ・北欧・フランス等の研究者との共同研究を踏まえて、成果を英語と日本語で出版する計画のもとで活動してきました。2009年度5月にはフィンランド大学で開催された国際シンポジウムで基調講演を行い、北欧等の海外研究者と共同研究を行いました。また同年8月には、カナダ・アメリカ等から多くの研究者を招いて大沢PT・田中PTと共同で国際セミナー2009を開催し、200人に及ぶ参加者を得て大きな成果をあげました(39-40頁参照)。この国際セミナーの成果を中心としたメンバーの論文を東北大学出版会から英語と日本語版の2冊にまとめて2010年3月に刊行し、当初の目的を達成することができました(39-40頁参照)。さらに2010年2月にジェンダー法学会と共催で「司法におけるジェンダー」に関する研究会、国際憲法学会日本支部と共催で韓国憲法裁判所の判例等に関する研究会、同年3月には東京日仏学院、日仏女性学会等の後援を得て、国際女性デー記念のシンポジムを開催するなど、活発な活動を続けています。2010年度からはアジアに関するプロジェクトなどと協力してさらに本GCOEのテーマにかかわる総論的研究を続ける予定です。
プロジェクト責任者
辻村 みよ子 (拠点リーダー)
所属
東北大学大学院法学研究科・教授
専門領域等
憲法・比較憲法・ジェンダー法学
業績リスト
メンバー
氏 名 | 所 属 |
---|---|
大沢 真理 | 東京大学社会科学研究所(教授) |
吉田 浩 | 東北大学大学院経済学研究科(教授) |
廣渡 清吾 | 専修大学法学部(教授) |
木本 喜美子 | 一橋大学大学院社会学研究科(教授) |
佐々木 弘通 | 東北大学大学院法学研究科(教授) |
Isabelle GIRAUDOU | 日仏会館(研究員) |
Cornelia VECCHIO | パリ第1大学法学部(講師) |
川人 貞史 | 東京大学大学院法学政治学研究科(教授) |
岩本 美砂子 | 三重大学人文学部(教授) |
糠塚 康江 | 関東学院大学法学部法律学科(教授) |
早川 のぞみ | 桃山学院大学法学部(講師) |
Nathalie DES ROSIERS | オタワ大学法学研究科(教授) |
Caroline ANDREW | オタワ大学社会科学研究科(教授) |
Alain-G GAGNON | ケベック大学モントリオール校法学・政治学部(教授) |
Frances OLSEN | カリフォルニア大学ロサンゼルス校法学部(教授) |
Jackie F. STEELE | 東京大学社会科学研究所(准教授) |