東北大学グローバルCOE「グローバル時代の男女共同参画と多文化共生」(平成20年度・社会科学分野)
このGCOEプログラムは、東北大学21世紀COEプログラム「男女共同参画社会の法と政策」の成果を発展させて、社会科学を総合する視点から「グローバル時代の男女共同参画(ジェンダー平等)と多文化共生」に関する世界的な研究教育拠点をつくることをめざすものです。この拠点は、東京大学社会科学研究所や国内外の諸機関との連携に基づく研究体制および人材育成機構を確立することにより、国際舞台で活躍できる若手研究者・法曹実務家・政策担当者など高度な専門家を養成するとともに、研究教育の成果を政策に還元することを目的としています。
ここでは、近年のグローバリゼーションが生み出した新しい社会問題を分析し、多文化共生という視野のもとにジェンダー平等やその他の社会的平等を実現し、異なる社会集団間の紛争を解決するための社会的条件を探求します。グローバル化時代の男女共同参画問題へのアプローチを、よりダイナミックで多次元的なもの発展させ、性差にとどまらない人種・文化・年齢・障害の有無など、多元主義的な要素を共存させる多元主義的共生社会の実現という課題を展望する、チャレンジングな試みであるともいえます。
このようなチャレンジングな研究教育プログラムを実現するために、研究面では15の研究プロジェクトを形成して多数の研究協力者とともに研究を進めてきました。その成果は、2010年度までに、叢書の著者シリーズ4冊、プロジェクト研究成果シリーズ4冊、GEMC journal 2008、2009、2010などによって公表しています。人材育成面では、国際連携機関である世界の諸大学との間でダブル(ジョイント)ディグリーをめざす共同博士課程としてのクロスナショナル・ドクトラル・コース(CNDC)を実施して成果を上げています。実際に、シェフィールド大学、ENS-Lyon、リヨン第2大学、清華大学、中国社会科学院から、2011年4月までに22名の大学院博士後期課程の学生が入学して、学位論文の執筆や共同研究に励んでいます。2011年10月には新たに7名のCNDC学生が入学する予定です。昨年度以降この提携機関に、延世大学校、ソウル大学校、国立台湾大学が加わりました。
また、東北大学法学研究科「ジェンダー平等と多文化共生研究センター」(Research Center for Gender Equality and Multicultural Conviviality)は、2010年7月より東北大学片平キャンパス、エクステンション教育研究棟1階に移設し、蔵書7,500冊以上を擁する資料センター兼若手研究者の研究拠点として機能しています。今後は広く一般の利用に供することで、社会貢献の面でも、また東北大学の男女共同参画施策のシンクタンクとしても重要な研究センターとして飛躍してゆきたいと念じております(詳細は、ジェンダー平等と多文化共生研究センターのホームページをご覧ください)。さらに、東京には東京大学連携オフィス、海外(例えばカナダのオタワ大学)にも海外連携オフィスを設置してネットワークを拡大しています。広報ツールも、6ヶ国語のホームページを開設するほか、本誌を活用して、本拠点の概要や活動内容をご紹介しています。
多くの研究者の皆様や内外の研究教育機関、行政機関、市民団体などと連携して、大きな成果をあげたいと念じておりますので、力強いご支援とご協力をお願いする次第でございます。
2011年6月
拠点リーダー
辻村みよ子(東北大学大学院法学研究科教授)
拠点サブリーダー
大西仁(東北大学大学院法学研究科教授)
水野紀子(東北大学大学院法学研究科教授)
連携拠点リーダー
大沢真理(東京大学社会科学研究所教授)