東北大学
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杉本ひかりさん

留学先:ウィーン大学(オーストリア)
期間:2019年2月~2020年2月

 私は、学部4年生時に東北大学の交換留学制度を利用し、オーストリアのウィーン大学法学部で1年間学びました。近年、短期留学をする学生は増えましたが、長期留学を目指す学生はまだ限られているように思います。しかし、長期留学では、自分でビザや住居の手配をしたり、人間関係を構築したりと、自力で行わなければならないことが増えるぶん、そこから得られる経験も倍増します。そこで、私の体験記が、将来長期留学を検討している在学生や、留学に興味のある受験生の方の参考になれば幸いです。

長期留学準備

東北大学では、短期留学を気軽に経験でき、そこから長期留学を考える学生も多いと思います。私も同様で、1,2年次にマレーシアの短期留学プログラムSAPとロシアのFLプログラムに参加したことで、長期留学の準備練習をすることができました。3年次は、TOEFLのスコアアップと平行して、法学部の英語開講科目を多く受講しました。英語での開講授業は演習形式がほとんどでしたので、ディスカッション能力やプレゼンテーション能力、リーガルライティング能力が養われました。これらの能力は、留学時の授業で確実に役立ったと感じています。
私の場合、留学先に迷いましたが、開講科目の充実さからウィーン大学の法学部に決めました。多くの授業が英語で開講されており、自分の学びたかった分野において開講科目が揃っていました。また、第3言語を習得してみたいという理由もありました。

留学先のオーストリア・ウィーン

 留学先であるオーストリアは中欧に位置します。国全体の人口が東京都の人口よりも下回る小さな国ですが、アルプス山脈などの豊かな自然に囲まれ、夏はハイキング、冬はスキーを楽しむことができます。一方、私が1年間滞在した首都ウィーンは文化的に洗練された街で、様々な角度で魅力が詰まっています。例えば、日本ではコンサート、オペラ、演劇、美術館は高いように感じていましたが、ウィーンでは安くチケットが入手できるため、気軽に足を運べます。交通網も発達しており、学生定期券を発行すれば地下鉄、トラム、バスで基本的にどこへでも行けます。また、ウィーン市内でも少し移動すればワイン畑が広がる素敵なハイキングスポットがあります。そのエリアでは夏の間ホイリゲという屋外のレストランが営業するので、リラックスした雰囲気で食事が楽しめます。

ウィーン大学での授業

 ウィーン大学では時間割が存在せず、各授業で全く異なる開講期間や時間帯が設定されているため、少し複雑です。また、授業の多くがディスカッションや発言を必要とするので、事前に予習資料を読んでおき、質問や意見を考えておくことが求められます。授業では、積極的に発言をする学生が多いので、躊躇していると発言の機会はほとんど巡ってきませんでした。基本的なことですが、留学では特に、授業に貢献するために予習が肝心だと思います。夏セメスターで履修した比較家族法の授業では、グループごとにテーマ発表を行い、最後にレポートの執筆が課されました。各メンバーの出身国のオーストリア、イギリス、日本の代理出産について比較検討しましたが、各国で違った価値観が大きく反映されており、非常に興味深かったです。家族法について、国際的な視点を織り交ぜつつ理解を深められたのが、留学のメリットだったと思います。
 現地で法学の授業についていけるか不安な方は、前述しましたが、前もって法学部の英語開講の授業を履修してみてはどうでしょうか。法律に関する文章を理解したり、言葉で表現したりする練習することができ、ある程度自信になります。演習科目を履修し、プレゼンテーションやディスカッションを中心としたインタラクティブ型の授業形式に慣れるのもおすすめです。

現地での生活

 自由時間は、主にタンデムパートナーとカフェで言語交換をしていました。ウィーン大学の言語学校のホームページでは、タンデムパートナーをマッチングするサイトが一般に公開されていましたので、大学生に限らずいろんな方と友達になることができ、ドイツ語のスピーキングとリスニング能力が向上しました。ウィーンでは基本的に英語が通じますが、ドイツ語の方が人々は心を開いてくれます。それが私のドイツ語のモチベーションになりました。
 また、私は寮ではなくWGと呼ばれるシェアハウスに住んでいたので、ルームメイトとよく買い物にいったり、散歩したりしました。彼女はインド人だったので、私と同じく外国人としてウィーンに住む上でのストレスや悩みを共有できたのがとても助けになりました。
 さらに、留学中に趣味としてコーラスとヨガをはじめました。特に2019年は、日墺友好150周年記念だったので、各地でイベントが開かれていました。コーラスの一員として、有名な楽友協会やシェーンブルン宮殿の舞台で歌えたことは、印象的な思い出です。

 留学を考えている方の中には、現地の生活に馴染めるか、友達を作ることができるか不安な人もいると思います。留学中はぜひ、焦らずに自分に合う方法で居場所を見つけてみてください。例えば、パーティーに行かなければ友達が見つからないわけではありません。私の場合は、大人数が集まる場所に行くよりも、言語交換等を利用して深くコミュニケーションをとるほうがいい友人関係をつくることができました。また、趣味も、自分が新しい土地で生活する際に、一定のコミュニティーに属することができるので、大いに役立ちます。留学中は自分に合った形で、心地良い場所や仲間を見つけていてほしいと思います。

留学を終えて

 長期留学を経験したことで、勉強面だけでなく自分のライフスタイルや価値観の面でも大きな収穫があったと感じています。長期留学に興味のある方は、ぜひ前向きに検討してみてください。東北大学ではグローバルラーニングセンター等で留学に関して積極的に情報提供がされているほか、法学部でも先生方や留学経験者、留学予定者を交えた交流会が開かれています。長期留学は準備に時間と労力がかかりますが、法学部で同じく長期留学を目指す仲間がいたことで、モチベーションを保つことができました。また、私の留学をサポートしてくださった法学部の先生方、教務課の方々には大変お世話になりました。ありがとうございました。

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