東北大学
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佐藤玖瑠実さん

留学先:トゥルク大学(フィンランド)
期間:2018年9月~2019年5月

 私は東北大学の派遣交換留学制度を利用し、3年生の9月から4年生の5月までフィンランドのトゥルク大学に留学していました。留学までの経緯やそこで得た学び、またフィンランドという国についてお伝えしたいと思います。
交換留学という選択は人によってはとても大きな決断になると思います。私自身も悩んだ時期があったのですが、今では留学をして本当に良かったと思っています。渡航前に想像していた学びとは全く異なる方向性での学びや、今の自分に大きく影響を与えるような貴重な経験をすることができました。
この体験記が留学に興味のある方にとって少しでもお役に立てれば嬉しいです。

留学までの経緯

 東北大学は留学関連のプログラムや奨学金が充実しており、調べてみると沢山あります。また英語を使い留学生と一緒に履修できるような授業、国際交流ができる団体も多く存在します。
私もこれらの活動に積極的に参加し、留学生の友人たちと話したり長期留学に備えたりしていました。具体的には短期留学プログラムのSAPニュージーランドとFLロシア、全学教育の国際共修授業に加えて法学部の英語開講の授業に参加していました。また国際交流サークルには所属していませんでしたが、国際祭りの運営に毎年携わったりしていました。 私は1、2年次にはこうした活動にも参加する一方で、実際には殆どの時間と熱を部活動に注いでおり、その中で学生時代にもっと何か違うことに挑戦したい、交換留学にも挑戦してみたいと思うようになりました。

 元々公務員を目指していたことや部活動の最も重要な時期に留学することに非常に悩みましたが、法学部の教務課やグローバルラーニングセンター、GCSなどの留学に関する悩みを相談できるサポートを利用し、納得して留学を決めました。
 前置きが長くなってしまいましたが、東北大学にはこうした留学を支援するような機会や制度が沢山あるので、長期留学を検討する際には積極的に調べて活用することがとても重要だと感じました。
 留学先では小さい頃から興味があった教育分野を勉強してみたいと考え、フィンランドの大学を選びました。また高校時代に本で読んで関心があったフィンランドの人の生き方について、もっと深く知りたいと思ったのも留学先をフィンランドにした理由の一つです。

フィンランドとトゥルク大学について

 留学先のトゥルクはフィンランドの西南に位置する港町で、首都のヘルシンキからバスで2時間ほどのところにあります。人口は17万人、国内5番目くらいでそれほど大きくはありませんが、国内最古の街で古都なので美しい街並みや伝統的な木造建築が残っています。
 フィンランドにはビジネスや教育、デザイン・建築分野を学びに来る留学生が多く、また教授や学生には女性の方が多い点が東北大との大きな違いでした。
 私は前述した教育分野に加えて、北欧の社会保障制度と東アジア研究の授業をメインに履修しました。
 講義形式のものもありますがディスカッション形式の授業が多く、レポートも毎週出されます。授業の一環で幼稚園、小学校、特別支援学校に行く機会があり、実際に教育現場の現実を知ることができたのが非常に良かったです。留学中は教育に関しての前提知識や英語力が足りておらず苦しい思いも何度もしました。しかし周りの皆が教育分野に対して熱意や思いが強く、放課後に熱心に一緒に勉強してくれたこともあり、刺激を受けモチベーションを高く保って取り組むことができました。留学中は勉強そのものがとても難しく同時にとても楽しかったです。人を頼ることの大切さも学びました。
 実は原則では教育学部の授業は教育学部の学生及び留学生しか履修できないのですが、教授に連絡して特別に履修させてもらいました。他にも大学院の授業を履修させてもらったのですが、どれも単位をもらうことができ、こうした点においてトゥルク大学は寛容でした。

現地での生活

 留学中は日常の一コマ一コマがゆったりしていて充実していました。
 普段から取り組んでいたことの一つはフィンランド語の勉強です。授業でも学んでいましたが、日本語サークルで仲良くなったフィンランド人の友人と一緒に、毎週真剣に言語交換に取り組みました。フィンランド語という言語が好きになりましたし、拙くても現地の言葉を話すことで地元の人とより深い関係を築くことができました。友人たちにフィンランド流を沢山経験させてもらい、またフィンランド語の習得は教育の授業にも活きました。
 フィンランド語を勉強したことで後期からは大学合唱団に所属することもでき、日本にいる時からの小さな夢(海外の合唱団で歌うこと)を叶えることができたのも良い思い出です。
 これに加えて日本であまり出来ていなかった読書や森での散歩をしたり、ジムやカフェに通ったりして、現地の人にならったゆとりある豊かな日常を心掛けました。
 フィンランドではサウナで深い話をするのが文化の一つで、友人たちと一緒に深い話も沢山しました。それまで友人と人生や社会、宗教や政治について話すことはあまりなかったので、当たり前に日常的にこうした話題について議論して自分にはない生き方や価値観に触れることができたのは本当に素晴らしい経験です。

おわりに

 振り返ると、反省点や悔しかったことも沢山あります。しかし新しい土地で新しい人に出会い、新しいことを学び、分からないながらも自分なりに踏ん張った経験は他には代え難いものです。  フィンランドのトゥルクという土地への留学を決めたこと、現地の生き方にどっぷり浸かってみたこと、自分とは全く異なる分野で活躍する友人たちと沢山話をしたことで、言葉で表すのは難しいですが、生きていくうえで大切にしていきたいことに沢山気づかされました。何事もそうですが、留学そのものというよりかはその機会を活かして行動することで得られるものがあるのだと思います。
 最期に留学に関して支えてくださった全ての方に深く感謝申し上げます。この経験を活かし今後の進路に向けて益々精進して参りたいと思います。留学を迷われている皆さんには東北大学にある様々なサポートを積極的に利用し、ぜひチャンスを掴んでほしいと思います。また留学ではない選択をしたとしても、それを素晴らしいものにできるようがんばってください、応援しています。

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